第5章 ― 共鳴する光と影 第6話「深淵の本体」
裂け目は閉じた――はずだった。
だが空気は重いまま変わらない。
アリーナ中央に、黒い紋様が浮かび上がる。
「……まだ終わってない」
ハルが呟く。
レイの胸の奥がざわつく。
まるで“呼ばれている”ような感覚。
紋様が回転し、立体化する。
――《深淵核・原型》
攻撃力8
効果:属性攻撃を半減する
巨大な人影。
顔はない。
ただ、空洞。
「これが……本体」
リーフの声が震える。
ゴウエンが炎を強める。
「数値が違いすぎる」
8。
今までで最大。
ハルは歯を食いしばる。
「暁冥でいく!」
――《絆の流星龍・暁冥》
攻撃力6
衝突。
だが深淵核の効果が発動。
属性攻撃半減。
6 → 3。
圧倒的に足りない。
反撃。
黒い衝撃波。
ハルのライフが削られる。
残り1。
カイトが叫ぶ。
「下がれ!」
だがレイが前へ出る。
「俺の闇が呼んだんだ……俺がやる」
継承者を展開。
――《闇の継承者・真》
攻撃力3
深淵核がわずかに揺れる。
レイの闇に反応している。
『同質……帰属せよ』
黒い触手が伸びる。
レイのカードが震える。
「……飲まれるな」
ハルが叫ぶ。
「レイ! 一人で背負うな!」
その瞬間。
ハルの《闇の残滓》が光る。
レイのカードと共鳴。
闇と闇が反発する。
ゴウエンが吠える。
「闇は一つではない!」
リーフが叫ぶ。
「恐れの闇と、向き合う闇は違う!」
ハルは新たなカードを引く。
――《対極覚醒》
効果:同属性同士をぶつけ、強い方を倍化する
レイの闇と深淵核の闇が衝突。
光ではない。
闇同士の激突。
深淵核、8。
継承者、3。
だが。
レイの目が変わる。
「俺は……逃げない」
攻撃力が上昇。
3 → 4 → 5。
対極覚醒が発動。
5 × 2 = 10。
アリーナが震える。
闇の継承者が巨大化する。
「終わらせる!」
衝突。
深淵核の空洞が砕ける。
黒い粒子が散る。
攻撃力、0。
静寂。
紋様が消える。
レイはその場に崩れ落ちる。
「……勝ったのか」
ハルが駆け寄る。
「うん。でも」
空を見る。
雲の奥に、微かな影。
完全には消えていない。
リーフが静かに告げる。
「これは“根”ではない」
ゴウエンも頷く。
「深淵には源がある」
レイは立ち上がる。
「なら、次は源だ」
ハルが笑う。
「行こう。最後まで」




