第5章 ― 共鳴する光と影 第5話「裂け目の向こう側」
夜空に、黒い裂け目が走った。
細い線だったはずのそれは、今やはっきりと視認できるほど広がっている。
「……来る」
レイが低く呟く。
アリーナ中央。
ハル、カイト、そしてレイが並ぶ。
裂け目から、黒い粒子が降り注ぐ。
それはやがて形を成した。
――《深淵獣》
攻撃力4
効果:場に闇がある限り破壊されない
低く唸る獣型の影。
目は虚ろで、意思は感じられない。
「自我がない……暴走した闇か」
リーフが険しい表情で言う。
ゴウエンが炎を揺らす。
「ならば叩き伏せるのみ」
戦闘開始。
ハルは《絆の流星龍・黎明》(4)を展開。
レイは《闇の継承者・真》(3)。
カイトは雷属性を重ねる。
三方向から攻撃。
だが深淵獣は崩れない。
効果発動。
“場に闇がある限り破壊されない”。
レイが歯を食いしばる。
「俺の闇が……足を引っ張ってる」
ハルは即座に言う。
「違う。使い方だ」
カードを引く。
――《光環浄化》
効果:場の闇カードを一時的に“光属性扱い”に変える
レイのカードが淡く白く輝く。
深淵獣の効果条件が崩れる。
「今だ!」
黎明が突撃。
雷が貫く。
闇の継承者が追撃。
深淵獣、崩壊。
だが裂け目は閉じない。
むしろ、さらに広がる。
『個の共鳴……確認』
裂け目の奥から、声が響く。
『次は、全体だ』
空が黒く染まる。
新たなカードが自動的に生成される。
――《深淵門》
攻撃力0
永続効果:毎ターン、深淵獣を生成する
「量で押す気か……!」
カイトが舌打ちする。
レイが前へ出る。
「俺が閉じる」
「無茶だ!」
「違う。俺一人じゃない」
レイはハルを見る。
「共鳴だ。完全なやつを」
ハルはうなずく。
ゴウエン、リーフ、継承者。
三体が光に包まれる。
炎、風、闇。
衝突ではない。
調和。
――《絆の流星龍・暁冥》
攻撃力6
効果:闇と光を同時に扱い、永続効果を無効化する
巨大な翼が広がる。
黒と金の流星。
深淵門の効果が停止。
裂け目が揺らぐ。
暁冥が空へ飛翔する。
「閉じろォォッ!」
光と闇の奔流が裂け目を貫く。
夜空が白く染まる。
やがて――
静寂。
裂け目は消えていた。
レイはその場に膝をつく。
「……まだ、終わらない」
ハルも空を見上げる。
「うん。今のは“門”だった」
リーフが静かに告げる。
「門があるなら、本体がある」
ゴウエンが炎を灯す。
「深淵は、まだ世界のどこかに在る」
レイは小さく笑った。
「なら、探そうぜ」
その目に、迷いはなかった。




