第5章 ― 共鳴する光と影 第3話「完全共鳴」
空が、曇っている。
だが雨は降らない。
まるで世界そのものが、決着を待っているかのようだった。
アリーナ中央。
ハルは深く息を吸う。
「今日で、終わらせる」
対する闇の少年も、静かにカードを構える。
「終わるのは、どちらだろうな」
開始。
少年は即座に展開する。
――《闇の継承者・真》
攻撃力3
効果:自分のライフが1になると攻撃力+1
さらに――
――《深淵の鼓動》
効果:場の闇カードを強制覚醒状態にする
闇が濃くなる。
継承者の攻撃力は4。
「最初から全力か……!」
ハルはゴウエン(2)とリーフを同時に場へ。
「共鳴準備!」
だが少年は叫ぶ。
「今だ――倍化!」
闇がさらに膨張する。
攻撃力5。
圧倒的。
カイトが叫ぶ。
「ハル、防御に回れ!」
だがハルは首を振る。
「違う。逃げない」
カードが震える。
《闇の残滓》と《光の共振》。
二枚が同時に光る。
ゴウエンとリーフが浮かび上がる。
炎が闇を包み、風がそれを循環させる。
闇は拒絶しない。
光も否定しない。
衝突ではなく――融合。
「いくぞ……!」
――完全共鳴合体:《絆の流星龍・黎明》
攻撃力4
効果:闇効果を吸収し、自身の攻撃力に加算する
光が夜を裂く。
闇の攻撃力5。
黎明の攻撃力4。
少年が低く笑う。
「まだ届かない」
ハルは前を見る。
「いや――届く」
闇が突進する。
継承者の拳が振り下ろされる。
その瞬間。
黎明が闇を受け止める。
吸収。
攻撃力、+1。
4 → 5。
互角。
だが吸収は止まらない。
闇の倍化効果の余波まで取り込む。
5 → 6。
少年の目が見開く。
「吸収……だと……」
「闇も力だ」
黎明が翼を広げる。
流星の軌跡。
衝突。
闇が砕ける。
継承者が膝をつく。
ライフ、0。
アリーナが静まり返る。
少年は、その場に立ち尽くす。
「……俺は、飲まれなかったのか」
ハルが歩み寄る。
「一人で抱え込むから、重くなるんだ」
少年は俯き、やがて小さく笑った。
「俺の名は、レイ」
初めて明かされる名前。
「まだ終わらない。闇は俺の中にもある」
「なら、一緒に使いこなそう」
黎明が静かにカードへ戻る。
空の雲が裂け、光が差す。
第5章・第3話。
完全共鳴。
闇は敵ではなくなった。
だが――
その奥に、さらに深い影が潜んでいる。
レイの背後。
誰も気づかない場所で。
黒よりも濃い“何か”が、わずかに蠢いた。




