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第1章 ―絆の流星龍― 第3話 「守る力と外されたツメ」

 夕焼けに染まる川沿いの道を、

 蒼井ハルと、黒鐘リクは並んで歩いていた。


 二人の間に言葉は少ない。


 リクは、手の中のカードを何度も見つめていた。

 ドラゴン――ゴウエンのカードだ。


「……なあ」


 リクが、ぽつりと言う。


「強いってさ……なんだと思う?」


 ハルは、すぐに答えられなかった。


 そのとき――

 ハルのポケットの中で、カードがかすかに光った。


「ん……?」


 取り出したカードには、小さな盾の描かれている。


「それ……!」


 リーフが、目を見ひらいた。


「ハル、それは――守りの鎧だよ!」


 守りの鎧


 このキャラが 受ける ダメージ-1


「え……ぼくの?」


 ハルがきくと、リーフは頷いた。


「うん。 戦うためじゃなくて、

 誰かを 守るための 防具」


 リクは、そのカードをじっと見ていた。


 そのときだった。


「――いたぞ」


 低い声が、川の向こうから響いた。


 黒い服の大人が、カードをかまえて立っている。


「そのドラゴン……中々、 良いカードだ」


「……!」


 リクが一歩前に出る。


「ゴウエンを狙っているのか」


 男は、にやりと笑った。


「ちょっと 試したいだけさ」


 男は、カードを地面に叩き付けた。


 現れたのは大きなオークのような魔物。


「いけ!」


「……ゴウエン!」


 リクは、一瞬だけ迷い、それでもカードを出した。


 ゴウエンが現れた。

 ――だが、その爪には、あの武器がまだ付いていた。


 滅びのツメ。


「リク……!」


 ハルが叫ぶ。


 ゴウエンは、オークに飛び掛かる。

 強烈な一撃。


 オークは吹き飛ぶ。


 ――しかし。


「グ……ッ!」


 ゴウエンの体にも、同じだけのキズが走る。


「やっぱり……」


 リクは、歯を食いしばった。


「このままじゃ……」


 オークが再び、立ちあがる。


 そのとき――


「リーフ!」


 ハルがカードを出した。


「これを、付けて!」


 光の盾が、リーフを包む。

 守りの鎧。


 オークの攻撃が来る。

 でも、ダメージは小さい。


「大丈夫!」


 リーフが叫んだ。


「ハルが守ってくれてる!」


 その声を、ゴウエンが聞いた。


 ドラゴンは、自分の爪を見つめた。


 黒く光る、危険な武器。


「……グ」


 ゴウエンは、ゆっくりと――

 そのツメを、地面に叩き落とした。


 カン――

 響く音。


「ゴウエン……?」


 リクが目を見開く。


 ゴウエンは、リクのほうを見て、頷いた。


「……強さはこれじゃない」


 その声は、小さかったけれど、

 たしかに、そう言った気がした。


 ゴウエンは、素手で立ちあがる。


 オークが最後の攻撃を仕掛ける。


 リクが叫ぶ。


「ゴウエン!」


 ゴウエンは、まっすぐ前を見て、突っ込んだ。


 ――勝負は、終わった。


 男は、舌打ちして後ずさる。


「……今日は、ここまでだ」


 そう言って、闇の中へ消えた。


 しばらくして。


 川の音だけが、静かにながれる。


 リクは、カードを見つめて言った。


「……オレ、間違っていた」


 ハルは、首をふった。


「違うよ。選んだんだよ」


 リーフが、にこっと笑う。


「守る力も強さなんだ」


 ゴウエンのカードは、

 夕焼けの中で、やさしく光っていた。




 ――強さの意味が少しだけ、変わった日だった。


 ーーーつづく

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