第4章 ― 再臨の刻 第4話「選ばれし欠片」
アリーナの光が、わずかに脈打っていた。
闇の少年――その名を、まだ誰も知らない。
だが彼の足元には、確かに“影”が広がっている。
「君たちは、本当に封印したと思っているのか?」
少年の声は静かだった。
挑発でも、怒りでもない。
ただ事実を告げるように。
ハルはカードを握る。
「冥界の王は封じた! あれは終わったはずだ!」
少年は首を振る。
「終わったのは“王”だ。だが――感情は消えない」
黒いカード《残滓の影》が脈打つ。
「冥界の王は、もともと小さな闇だった。恐れ、嫉妬、後悔……そういうものが積もって形になった存在だ」
リーフが息を呑む。
「……まさか」
「その欠片は、今も世界に残っている」
少年はカードを場に置いた。
――メインカード:《影の継承者》(攻撃力2)
――永続効果:相手が合体カードを使用するたび、闇カウンターを1つ得る
黒い戦士が現れる。
その身体は不安定に揺らぎ、まるで未完成の存在のようだった。
「俺は選ばれたんじゃない。選んだんだ。この力を」
ハルは歯を食いしばる。
「力に飲まれてるだけだ!」
「違う。俺は試しているだけだ。闇を扱えるかどうかを」
戦いが再開する。
ハルはゴウエンを場に出す。
――メインカード:ゴウエン(攻撃力2)
カイトもボルトを展開。
武器カードはまだ使える。
だが合体を使えば、闇カウンターが溜まる。
「合体は……使いどころを見極めるしかない」
シンプルなルール。
だが選択が重い。
ハルはあえて合体せず、武器《炎双刃》のみを装備。
攻撃力3。反動1。
ゴウエンが踏み込み、影の継承者と衝突する。
炎が影を焼く。
だが少年は静かにカードを伏せる。
――《闇反転》
効果:受けたダメージを次のターン倍にして返す
「しまった……!」
反動+反転。
ゴウエンの炎が揺らぐ。
ハルのライフが削られる。
「どうする、ハル!」カイトが叫ぶ。
合体すれば突破できる。
だが闇カウンターが溜まる。
カウンターが3つ溜まれば、《残滓の影》が覚醒する。
ハルは一瞬、目を閉じた。
「……ゴウエン。信じてる」
ゴウエンの炎が静かに燃える。
「今は耐える。合体は、まだだ」
少年がわずかに目を細める。
「判断を誤れば、闇は拡がるぞ?」
「それでも、俺たちは焦らない」
炎と影が再びぶつかる。
闇カウンターはまだ0。
だが時間の問題だ。
少年の胸元で、《残滓の影》が脈動する。
「……面白い。なら、次は“覚醒”を見せてやる」
黒い光が、アリーナの天井を覆う。
第4章・第4話。
闇はまだ小さい。
だが確実に――成長している。




