第1章 ―絆の流星龍― 第1話「カードとの出会い」
放課後の帰り道。
蒼井ハルは、ひとりで空を見上げていた。
「……なにも、起きない日だなぁ」
雲ひとつない青空。
いつもと同じ道。
いつもと同じ景色。
そのはずだった。
足元で、きらりと光るものがあった。
「……ん?」
しゃがみこんで拾い上げる。
それは、一枚のカードだった。
見たことのないデザイン。
ふちが、かすかに光っている。
「カード……?」
その瞬間。
――ドクン。
胸の奥が、鳴った。
「……え?」
カードが、あたたかい。
まるで、生きているみたいに。
ハルが思わずカードを見つめた、そのとき――
「……だれ?」
声が、聞こえた。
「……え?」
ハルは、あわててあたりを見回す。
でも、だれもいない。
「ここ……暗い……」
声は、たしかに、カードの中から聞こえていた。
「……カード……なの?」
ハルがそう言うと、
カードが、ふわりと光った。
光の中から、ちいさな影が現れる。
緑色の服。 とがった耳。
少し、不安そうな目。
「……ぼく……リーフ」
ハルは、目をまんまるにした。
「エ……エルフ……?」
リーフは、ほっとしたように息をつく。
「よかった……だれか、見つけてくれたんだ……」
「えっと……」
ハルは、頭が追いつかない。
「きみ……カードの中に……?」
リーフは、こくりとうなずいた。
「ぼくたちは……カードに、封印されたんだ」
「こわい力から……にげるために……」
そのとき。
ハルの後ろから、元気な声がした。
「おーい、ハル!」
黒鐘リクだ。
「なにやってんだ?」
ハルは、あわててカードをかくす。
「な、なんでもない!」
リクが近づいてくる。
「……それ、カード?」
「え?」
リクは、目を輝かせた。
「なにそれ! 新しいカードゲームか?」
その瞬間――
別のカードが、ハルのポケットから落ちた。
ドン、と重たい音。
地面が、わずかに揺れる。
「……なに?」
カードが、赤く光る。
次の瞬間――
ドオオオオッ!!
炎とともに、巨大な影が現れた。
赤いウロコ。
大きな翼。
鋭いツメ。
「……ドラ……ゴン……?」
低く、重い声が響く。
「……オレは……ゴウエン」
ゴウエンは、ぎろりと周囲を見回した。
「……ここは……どこだ……」
リーフが、あわてて叫ぶ。
「ゴウエン! ダメ! 力を……!」
ゴウエンの体から、炎があふれ出す。
「……とめられない……!」
ハルの足が、すくむ。
「ど、どうすれば……!」
そのとき、
ハルの手の中で、カードが光った。
リーフの声が、まっすぐに届く。
「ハル……ぼくたちと…… パートナーに なって」
「いっしょに…… たたかって……!」
ハルは、カードをにぎりしめた。
理由なんて、考えなかった。
「……わかった!」
その瞬間、
カードが、強く光った。
――こうして、
少年とカードの物語は、始まった。
まだ、
恐怖の闇も。
合体も。
冥界の王も。
なにも、知らないまま。
――つづく。




