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異世界服屋 番外編 ファンタジーキャラ服装解説  作者: 城壁ミラノ


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7/12

ブランド化計画、デザインとネーミング問題

 閉店。

 今日も無事に営業できたし、売り上げもよかった。

 満足感の中で店の片付け。

 事務所の金庫に売り上げを入れて。

 今日の締めと明日の営業の準備だ。

 それが済んだら少し休もう。


挿絵(By みてみん)


 貴族の部屋っぽい豪華すぎる事務所。

 最初は無理した感じがして落ち着かなかったが。

 最近の自分には似合ってきた気がする。

 今日は貴族の客も多かったし、今後に備えて商品を増やしておくかな。


 ユルク◊ドレスアップのオリジナルブランドの服も作りたいし、貴族の服を作ることにしようか。


 オリジナルブランドの服を作るために決めること。

 ターゲット、貴族。

 コンセプト、高品質、高級感、ドレッシー。

 デザイン……

 ネーミング……

 どんなデザインの服にしてどんなネーミングにすればいいかまるでわからない。

 いつもここで詰まって進まない。

 完全オリジナルのデザインは諦めて、既存のデザインを参考にするか。


 スキル【ファッションブック】を開く。

 まだ知らないデザインの貴族の服を調べる、情報画面が本のページをめくるように動く。


 【ファッションブック】から得た服のデザインと情報をデザイン画にして、服飾ギルドメンバーに見せて意見をもらう。デザインにオリジナリティを加えたり、素材や機能など細かい部分を決める。最終的にギルドマスターの許可がでたら、素材屋が服の素材を用意する、加工屋が素材を生地にする、仕立て屋が生地を服に仕立てる、服に店のロゴや洗濯方法のタブをつける、価格を設定したら商品化されて我が服屋やギルドマスターの服屋に並ぶ。


 自分がデザインして命名した服を提案できたら。

 商品化される喜びも凄いものになるだろうな。


 貴族のジャケットが表示された。

 今回は【ファッションブック】のお世話になろう。



 スペンサージャケット

挿絵(By みてみん)

 丈の短いジャケット。

 スペンサー伯爵が着ていたことで広まったジャケット。

 スペンサー伯爵が暖炉で燕尾服の裾を焦がしてしまい裾を切り取り短くしたことで誕生したといわれている。


 誕生秘話か。

 私の作る服にもほしいなぁ……

 そうだ。

 私が着てるローブの裾も暖炉で焦がして切り取って短くして、みんなに知られたら "ユルクローブ" と名付けられるのだろうか。



 ユルクローブ イメージ画

挿絵(By みてみん)

 胸のロゴバッジは取って。

 スペンサージャケットと同じくローブのデザインは違うものでもいい。男女どちら用も作る。とにかく。

 丈の短いローブは全てユルクローブとなるのだ!


 フククッ、自分の名前がついた服着たいなぁ……

 暖炉あるし、やってみるか。

 まずはローブをちょっと燃やして焦がす――怖いな。やけどしたら嫌だし。最悪火事になったら大変だ。命より大事な店まで燃えてしまうかも。

 ああ、大丈夫だった。ローブにも店にも防火魔法がかかっているから燃えない。いや、たとえ燃えるとしても。

 自ら焼いて短くしにいくなんておかしくないか?

 こういうのは偶然の産物だから誕生秘話になるものだろう。

 それに誰も見てないのに、どうやって短くなったローブを広めるんだ?

 自分で燃やしてさらに "見てください! 暖炉の火で焦がしたので切り取って短くしましたー!" とか宣伝行為をするのか? 違うのでは?

 自作自演、やらせみたいだ。そんな風に認識されて広まったら困る。

 商品に悪い評判がつくのは最も避けるべきことだ。

 評判になる前に危ない気をつけろ!って注意されるだろうし。

 スペンサージャケットの誕生秘話のように貴族がスーツの裾やドレスを暖炉の火で焦がしてしまう事故は多い。

 服屋の私はそれを防ぐために "暖炉で服を焦がさないよう気をつけしましょう" と注意喚起する立場だ。

 そんな私が自分でローブを焦がして服のデザインを作り名前をつけるのは間違いだな。

 ヤバい服屋と思われて客離れにつながるかも。

 オリジナルブランドの服を作りたいばかりに。

 暴走してとんでもない過ちを犯すところだったかもしれない。

 冷静になるんだ。


 それなら、デザインとネーミングはどうすれば……


 私が貴族だったり有名人だったりしたらなぁ。

 ただ服を着てるだけで、その服が評判になり広まって、みんなが真似して着だして、私の名前が服の名前になったりするのに。

 知名度と流行から生まれる服。

 自分でなんとかしなくても勝手にデザインとネーミングが決まってくれる。

 私も長年同じデザインのローブを着て仕事してるけど、評判になって広まって "ユルクローブ"と名前がついて、みんなが着たりしてない……


「うっう、どうせ私なんか何を着たって! 真似したいとか思われない、どんな服より地味で目立たない、名前さえ知られてない存在なんだ!」


 ――それでもいい。


 私の作った服さえブランドになり、みんなが着てくれれば。


 私の名前がつかなくてもいい!


 そう吹っ切れたら気分もすっきりして前向きになれた。


 気持ちを新たに!


 オリジナルのデザインとネーミングを考えよう――



 一時間くらい考えたが、なにも浮かばない。

 デザインセンスもネーミングセンスもないから。

 ないから既存のローブを燃やして無理矢理デザインを作り自分の名前をつけようとしたんだからなぁ。

 ユルク◊ドレスアップのオリジナル服を作りブランド展開するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 服屋の名前も浮かばなくて自分のフルネームだし。

 先が思いやられるなぁ~……

 だが――!

 いつかは世界中にブランド展開して複数店舗を持つ身分になりたいなぁ。

 この大企業はこんな小さな店から始まった!

 みたいなヒストリー憧れる。

 道のりは遠く、明日も早い、夢を見ながら今日は寝よう。



補足です。


スペンサージャケットの誕生秘話には燕尾服の裾が狩猟の際にイバラに引っかかるので切り取ったというのもあります。

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