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異世界服屋ユルク◊ドレスアップ〜スキル【ファッションブック】で定番から最新まで理想のスタイルを叶えます 〜   作者: 鏡野スガタ


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20/21

素材屋 その装備と名は

 従業員用の試着室に移動だ。

 事務所の隣、広い部屋に箱型の試着室が並んでいる。

 ワードローブスタンドには服類が掛けられており、ツリースタンドには帽子が掛けてありシューズボックスには靴も色々ある。テーブルにはブローチやカフスボタンなどが並ぶアクセサリーボックスもある。

 オシャレな小さな服屋みたいだ。

 ここで新商品を試着したり制服に着替えたりしているんだ。

 私と一緒に素材屋も興味深そうに部屋を眺めている。

 マスターの手から服と装備のセットが渡された。


「ユルク、俺の代わりに着た感想を聞いておいてくれ」

「はい」


 マスターからの司令も出たし遠慮なく。

 素材屋が着替えるのを待とう――


「お待たせ」


 まずは服を試着して出てきた。


「サイズは間違いなくぴったりだね」

「ああ」

「着心地は?」


 服を触った感じは、しっかりしているが柔らかさもある。


「凄くいい、問題ない」


 満足そうだ。


「素材は素材屋が採集してきたんだね」

「ああ、デモニソスっていうモンスターの皮だ」

「強そうな名前だね」

「強かったぞ。外殻は硬いが柔軟な動きをするモンスターでな、防御力が凄かった。服にしても凄い防御力を発揮するかどうか試しに着て素材集めをしてみるから、問題なければユルクの店でも、この服を売るといい」

「うん、そうしよう!」


 素材屋はこうして時に "(ため)()" をしてくれる。


「色は目立たない暗色だね」

「今回は夜行性のモンスターから素材を頂くための服にもしてもらった。暗いとこで完全に目立たなくなる色だ。この染めは加工屋にしてもらったから魔法色でもあるぞ」

「ちょっと暗くしてみようか」

「してみてくれ」


 明かりを消して闇魔法でさらに暗くしよう。

 素材屋の姿は?


「本当だっ、暗くてボヤッとして、どこにいるかわかりにくくなったよ!」

「ふふ、そうか。助かるな。動いてみようか」


 素材屋は嬉しそうにウロウロしてみせた。

 こうしているとやっぱり普通の客と同じ普通の人だ。


 そんな素材屋が集める素材というものは服になる前、いや、生地になる前の物。

 客の目に触れることはほとんどない。

 素材屋という立場の彼自身も服飾ギルドメンバーの中で一番地味な存在と町の人から思われているようだ。

 ――名前なんだっけ? あの一番地味な人とか言われてるし。私も名前知らない始末だし。さっきの普段着よりさらに目立たない、こんな服装をしたらもう存在が危ぶまれるかもしれないが――

 本人は気にせず素材屋という人生を楽しんでいる様子だ。

 素材屋は元冒険者で世界中を旅してきたという。

 探索技術、知識、能力、戦闘力の凄さは、あらゆる場所や植物や生き物から素材を入手してくるスキルから伺える。

 強さはギルドメンバーどころか国一番かもな。

 平和主義なので実力は素材集めと服飾ギルドを守るためにのみ使っている。

 素材屋の仕事と服飾ギルドのことを最優先にしてくれている。サブマスターを担っているくらいだ、マスターとメンバーからの信頼も厚い。私も信頼している。

 そんな彼に相応しい装備も身に着けてもらおう。



 素材屋の服と装備

挿絵(By みてみん)

 まずは服からチェック。

 フード付きの長袖と長ズボン。

 装備の下に着ているものは装備下 、アーミングダブレット、インナーなどといわれるが。

 夜間や目立たない用の服なので隠密服、ステルススタイル、エクリプス (日食、月食のこと。姿を隠すの意味)スタイルなどともいう。

 フードがあることを強調するならフーディ (フードのある服) 革製はレザーフーディ。フーデッド (フード付きの服、フードを被っているの意味)、レザーフーデッド。

 魔法の服はマジカルウェア、魔導外装(まどうがいそう)、マジカルフーディ (フーデッド)など。

 闇に溶け込む暗い色は漆黒、闇色、ステルストーン、ナイトカラーなど。

 ツヤの無い (マット、ツヤ消し)色にしておくと月明かりなどに照らされてツヤやか (グロッシー、ツヤ有り)に輝いたりして居場所がバレるような心配が無い。


 装備クローズアップ

挿絵(By みてみん)


 次は装備をチェック。

 目を引くのは素材採集に使う大きなハサミ。

 ハサミのケースが付いている革帯(かわおび)はバルドリック (武器や道具を装備するためのベルト)。

 胸用のハーネスベルトでもケースや武器ホルスターや剣の鞘 (シース、スキャバード)を付ければ同じようになる。ソードハーネスというのもある。

 ウエストバッグ。便利道具入れがあるベルトはユーティリティベルト、戦闘用の道具入れがあるベルトはタクティカルベルトともいう。

 ベルトの下には布。

 布の下には革製の腰の防具レザータセット。ベルトで腰に装着している。

 布はタセットをしっかり固定するために巻いているが入手した素材を包むためにも使うそう。素材屋ならではの装備だ。

 太ももにはレッグバッグ。

 ナイフを装備しているブーツはナイフブーツ。

 ナイフの鞘はブーツシース (Boot Sheath)。

 腕の防具はヴァンブレイスまたはアームガード。

 指が露出している手袋はフィンガーレスグローブ。


 後ろ姿

挿絵(By みてみん)

 まず、こういう長い剣はどうやって抜くの?と思うが上に引っ張って抜くのではなく横にスライドさせると鞘が開閉するようになっている。収める時も剣で鞘を押すと開閉する。早抜きできる鞘はクイックドローシース (スキャバード)、クイックリリースシース (スキャバード)などという。

 背中は見えないので抜き差しが不安な場合は補助してくれる魔法の鞘がいいだろう。

 背中の剣の鞘 (バッグシース、バッグスキャバード)もバルドリックに付いている。

 背中の剣専用ベルトならバッグソードベルト、ソードハーネス、背負式剣帯がある。

 今回は装備するものが沢山あるのでベルトでしっかり固定する頑丈な作りになっている。素材屋専用の特性バルドリックまたはハーネスベルトだ。

 防具は腕と腰だけで必要最低限の動きやすさ重視の装備は軽鎧(けいがい)ともいう。

 説明を省いた簡単な名前は軽装備の旅装だ。


 またこのような服と装備のセット、装備一式はギア (Gear)ともいう。アクティブギア、ステルスギアなど。

 素材屋はギャザラー (素材採集専門職)ともいうからそこからつける簡単な名前はギャザラーギアだ。



「どうかな? 装備した感じは?」


 素材屋は体を動かし歩いてみた。


「いいよ、動きやすい。いつも通りの感じでいられる」


 さっきよりさらに満足そうな笑顔になった。


「よかった!」


 服屋としても満足感と達成感が爆発する瞬間だ。

 マスターも喜ぶことだろう!


「完璧な服と装備だ」


 素材屋の言葉に引っかかった。

 まだ、完璧じゃない――

 この服装に相応しい名前をつけたいものだ。

 ネーミングセンスを鍛えるためにも!


「さらに完璧にするために服に名前をつけよう」

「え? どんな?」

「そうだね……」


 闇に溶け込む色と装備からインスピレーションを受けて名前が浮かんだ!


「この服装の名前は "漆黒の外装、ナイトハンターギア" ! どうかな?」


 素材屋は、え?という顔をした。


「ああ、カッコイイな!」


 ハハハッて、愛想笑いだ。

 自分が着ている服の名前なのに他人事のよう。

 酷い反応だ、しかし、めげない!


「誰かに "その服、カッコイイですね! どこで買ったんですか?" とか聞かれたら服と店の名前を教えてあげてくれ!」

「ああ、誰かに聞かれて服の名前を覚えていたらな」


 覚える気はなさそうだ……


「頼んだよ」


 これ以上、強制はしないでおこう。

 素材屋の仕事はあくまで素材集め。

 服の宣伝はついでだからな。

 だけど、


「本当に旅の途中で見かけた冒険者の服とかが着たくて "こんな服ありませんか?" って聞きに来るお客さんもいるんだよ」

「そうなのか、確かに冒険者の装備なんかは参考になるもんな」

「素材屋の服も他の素材屋の参考になるだろう。素材屋向けの服として売り出したりもできる!」

「そうだなっ」


 素材屋は圧倒されたようにたじろいだ。


「服屋は本当に商売熱心だな」


 少しクールダウンしよう。


「ごめん、服のことになると熱くなって」

「よくわかるよ。俺も素材のことになると熱くなるからな、その素材はどこで手に入れた? 場所を名前を教えてくれ!とか聞いたりもするし」

「うんうん」


 わかってくれて嬉しい。

 やはり服飾ギルドの仲間だ!


「この服の名前も覚えておくよ。誰かに聞かれた時のために」

「ありがとう」

「えっと、漆黒の……」

「えーと、漆黒の外装 ナイトハンターギアだ」

「ユルクもちゃんと覚えておけよ」

「うん……」


 忘れないように服の絵を描いて名前を記しておこう。


「漆黒の外装はこのまま着ていこう。このナイトハンターギアを装備したらますます、すぐに行きたくなってきたよ」


 うんうん、新しい服を着ると出かけたくなるものだ。

 服屋の前で素材屋の出立を見送ろう。

 マスターも出て来てくれた。


「良い素材を頼むぞ」

「頼むよ、気をつけて!」

「任せてくれ」


 頼もしい返事と後ろ姿だ――


 漆黒のハンターギア。似合っているな。

 漆黒のナイトギア、ハンターの外装だったか。

 なぜ、二つ名にした? 覚えきらないくせに。

 ネーミングセンスはまだまだだな。


「あぁ、それと素材屋の名前も」


 また聞き忘れたな――


「マスター、素材屋の名前ってなんですか?」

「あぁ、なんだったか……ずっと素材屋と呼んでいて名前で呼んでないから忘れてしまったな。帰って来たら聞くといい」

「そうします」


 またしばらくは謎のままか。


補足です。


素材屋の背景が月と雲がある屋外なのは魔法の試着室の演出です。


素材屋の服装や装備はアサシンやシーフなどによく見られる隠密服ですね。


試し着は試着と同じ意味ですが試し斬りみたいな少しカッコイイ表現です。


長い剣は前屈みになって勢いをつけても抜けるようですね。

服屋なので便利な鞘を紹介しました。


レッグバッグのリングの下にあるサーフボードみたいな形の革はリングが足に当たって痛くないようにそしてリングの滑り止め用の板ですね。考察ですので確かではありません、多分です。


試着室は箱型の一人用スペースから一つの部屋みたいな広さまで色々あるようです。わくわくしますね。

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