製靴ギルドの服と靴
製靴ギルドマスターの靴屋。
『ステップ&ルミナス』についた。
ショーウィンドウから靴が並んだ店内が見える。
ずっと覗いていたくなる美しい世界だ。
お客さんが出てきたので、丁度良い入るとしよう。
「いらっしゃいませ、ようこそ」
製靴ギルドマスターが出迎えてくれた。
店内に似合う美しい店主だ。
製靴ギルドマスターの服装
愛用の魔法のスティックが目を惹く。
彼女にかかれば、どんな靴でも履かせてくれそうだ。
そんな靴特化魔法使いの服装観察。
まずはヘアアクセサリーの金の髪飾り。
留め方に種類がある。
1、ピン→飾りの付いたピンを髪に差す。
2、コーム→飾りの付いた櫛を髪に差す。
3、バレッタ→飾りの付いた二つ折りの金属で髪を挟んで留める。
次は服、スタンドカラー (立襟)のフリルブラウス。
シンプルな胸飾りはクロスタイ。タイ (帯状の首飾り)を交差 (クロス)させてまたは結んでブローチで留めている。
金の刺繍とパイピングがされたラペルのあるタイトなジャケット。
ダブルブレスト (ボタンが二列) でボタンはブレード (金の紐状の飾り)で繋がっている。
長袖は動きやすいようパフ (肩の膨らみ)は小さめ。
カフス (袖口)にも金の刺繍とパイピングがある。
スカートは両サイドにスリットがあり金のパイピングがされフロントは前垂れになっているダブルフロントスリットスカート。
サイドの裾は足首丈と長く直角だが。
フロントの裾は膝丈と短く、まるで舞台の幕を上げたように優雅にカーブした半円になっており、製靴ギルドマスターとして靴屋として肝心の履いているブーツがよく見えるデザインになっている。
このように変わった形をした裾はイレヘム (イレギュラーヘム、不規則な裾)という。
説明を省いた簡単な名前はスーツドレスだ。
名前が真逆のドレススーツというのもある。
どう違うのかはこうだ。
1、スーツドレス→スーツのようなドレス。
ジャケットとスカートが繋がっている、ワンピースタイプ。
2、ドレススーツ→ドレスのようなスーツ。
ジャケットとスカートまたはズボンが別々になっている。セットアップともいう。
マスターの服はスーツドレスなのでジャケットとスカートが繋がっておりワンピースのように着脱する。
メインのブーツも特徴的だ。
アッパー (つま先から甲を覆う部分)はしっかりした形状でシャフト (足首から太もも、筒の部分)はレースアップになっており素足を見せている。留め具は幅広のストラップ。
この形状のブーツは履き方の違いで二種類ある。
1、レースアップは自分で足に編み上げる。
2、レースアップはデザインになっており足を入れるだけ。
ひと手間かけるか簡単に履くかお好みで。
ブーツ全体を見ると神話の人物が履いていそう。
神秘性と実用性を兼ね備えた美しいブーツだ。
説明を省いた簡単な名前はレースアップリボンブーツ、カットアウトレースアップブーツだ。
1、レースアップリボン→自分で足に編み上げる。
2、カットアウトレースアップ→足を入れるだけ。マスターはこちらを履いている。
編み上げリボン、カットアウト編み上げでもいい。
「このブーツは今一番オススメですよ」
製靴マスターの営業スマイル。
ほうほうと、うなずいておこう。
このように店員はオススメや新作を履いてアピールしている。
履く靴に合わせて服の裾の長さや形も変えている。
このような仕事場での服装はドレスコードという。
ドレスコードは服装規定の意味、身分や着る場所で服装が決められていること。
貴族や高級店の客だけに必要なイメージだが仕事場にもあり、この靴屋のドレスコードは「靴がよく見える服装」だ。
〇〇式とするのもある。様式、様式美のことで「靴屋式ドレスとブーツ」となる。
組織や団体などの制服 (リヴァリー)にもいい。
例えば「騎士団式リヴァリー」とすることで簡単に他の制服との違いと美しく決まってる感がでる。
「いかがですか? ドレスアップさん」
「そうですね、素晴らしいデザインです」
感嘆とともに検討しよう――
私自身が履くより我が店の商品にしたいものだ。
よし、そう答えよう。
「何足か私の店に置かせていただきたいですね」
「ありがとうございます! さっそく後でお届けしますわね」
突然だが商談成立となった。
良いものはすぐに仕入れないとな。
製靴ギルドマスターも靴屋の店主として嬉しそうだ。
「ユルク◊ドレスアップに置いていただけるなんてテンション上がりますわ。新しい服と、このブーツを履いてドレスアップ、ドレスアップ!」
彼女はドレスアップという私のファミリーネームを気に入っている。
たとえネーム狙いでも "あなたとファミリーになりたいわ " とか言ってくるから嬉しくなってしまう。
彼女の名前ルーシー・クレピドゥラがルーシー・ドレスアップになったら「私、ドレスアップ!」という感じでテンションが上がるのかもしれない。
私も確かに常時テンションが上がっている。
「ありがとうございます。製靴マスター」
私は彼女をこう呼んでいる。
服飾ギルドマスターや他のギルドマスターと区別するための呼び方だ。
「新しいといえば、新しい靴を作っていただきたくて」
丁度良い、本題に入ろう。
「結婚式用の靴の依頼をお持ちしました」
「おめでたい依頼ね。喜んでお引き受けしますわ」
祝福を共有するスマイル。
「こちらへどうぞ」
応接室に案内してもらい美しい長椅子に座ってと。
注文書を渡して説明しよう。
「新郎と新婦はこちらのお客様で靴型があるそうで」
「ええ、このお二人の靴型はありますからすぐに制作が可能ですわ」
よかった、安心と信頼のスマイル。
「あら」
製靴マスターが笑顔をなくした。
「何か?」
問題発生か!?
「このウエディングドレスでは靴が見えませんわね。残念だわぁ〜」
一緒に残念そうな顔をしておこう。
丹精込めて作る靴。
見えないとあっては目に見えて製靴マスターのテンションが下がっている。
靴屋として職人として当然の反応だろう。
しかし、製靴マスターは "作る気にならなぁ〜い!" とか言い出す人ではい。
「残念だけど、心を込めて作りますわ」
やはり。心のこもった笑顔をみせた。
「良い靴なら履いているだけで幸せになれるし、誰かに見せて自慢してもらえることもありますもの」
うんうんと共感のスマイルをみせよう。
「さて、ご注文の靴のデザインは?」
注文の靴
ガラスの靴だ。結婚式用の靴で一番人気。
こちらはシュービジュー (宝石の飾り)があるタイプ。
とても美しいので見えないのは本当に残念だ。
履いて歩いて壊れたり脱げたりしないか心配にもなるが。
こちらのガラスの靴はぴったりとしたフィット感だけを追求しており、ガラスに足を入れている痛み違和感のようなものは無くもちろん歩きやすく壊れない!
ガラスの質感やカツンとした音はそのままに非常に軽いので歩行からダンスから逃走までなんなくこなせ、それなのに脱ぎたい時にはすんなり脱げてくれるスグレモノ!
説明を省いた簡単な名前は魔法のウエディングシューズ。
こんな全ての願いを叶えてくれるガラスの靴。
それを作る製靴ギルドは凄いな。
「よろしくお願いします」
「お任せくださいな」
製靴マスターもテンションが上がってきたようだ。
「新郎様の靴はと……」
注文書をめくった時、
「いらっしゃいませ!」
元気いっぱいだが小さな声かけが聞こえてきた。
製靴マスターの隣からだ。
手乗りサイズの小人の青年が立っている。
彼は製靴ギルドサブマスターだ!
名前はビクター。
「サブマスター、こんにちは」
うるさく聞こえない声かけとスマイル。
「こんにちは、ユルク」
親しみのあるスマイルをくれた。
我が店は小人の服も揃えているので、サブマスターはお客さんでもあるのだ。フククッ。
ふふふっとサブマスターも笑っている。
「話は聞かせてもらった!」
どこに居たんだろう、いつもわからない。
「結婚式用の靴の依頼か、めでたいな!」
サブマスターとも祝福のスマイルを交わそう。
「しかし、新婦の靴はガラス製かぁ」
サブマスターもテンションが下がった!
無理もない。
「サブマスターと仲間の職人達が得意とするのは革靴ですもんね」
「そうなんだよ、出番ないかぁ」
「そんなことはありませんわ」
製靴マスターが微笑んだ。
「新郎様の注文は革靴です」
「おおっ、出番だ!」
いえーい! とサブマスターのテンションは一気に上がった。
よかったよかったと私も喜びのスマイル。
製靴マスターはサブマスターに注文書を見せた。
「私はガラスの靴を、サブマスター達は真っ白い革靴をお願いしますね」
「わかった、任せておけ!」
「製靴マスター、サブマスター、よろしくお願いします」
これで安心して待つことができるな。
帰るとしよう。
「それでは私はこれで。何かありましたらご連絡ください」
「ええ、それではまたね。ドレスアップ!」
製靴マスターの見送りのスマイル。
そうだ、店を出る前に。
「職人さん達にも、ご挨拶して帰ります」
製靴ギルドの工房は店の奥だ。
立ち上がった時、
「それなら肩に乗せていってくれ!」
サブマスターが飛び乗ってきた。
長椅子からテーブルを超えて。
ひとっ飛びで。
サブマスターが履いているブーツなら軽々と遠くまでジャンプできる。
これも製靴マスターのかけた "フェザーステップ" という魔法のおかげだ。
大きな人の町で活動する小人達はとても助かっているようだ。
私も喜んで肩を貸そう。
サブマスターはフードを掴んでいるが、揺れたり落としたりしないように歩調をゆっくりめにして。
小人職人用の作業部屋についた。
「みんな! 注文が入ったぞ!」
サブマスターはさっそく肩から飛び降りた。
着地したのは大きな作業机だ。
私からしたら小さいので見下ろすかたちで見守ろう。
職人達の視線もサブマスターに集まった。
「注文内容は?」
「結婚式を挙げる新郎の真っ白い革靴だ!」
「おめでたい注文だ!」
「腕がなるな!」
いえーい! とまたもやテンションが上がった。
「みなさん、よろしくお願いします」
私も満面のスマイルで声かけ。
「任せておけ! それじゃあ、いま制作中のブーツを完成させたら、すぐとりかかるぞ!」
サブマスターの声かけで職人達は手元の作業に戻った。
靴職人達の服装
まずはサブマスターの服装から観察。
白い長袖のシャツに青い半袖チュニックを重ね着している。
腕に着用しているのは手の保護と疲れ回復の魔法が付与されている革製 (レザー)アームカバー。
手に持っている靴を作る道具のハンマーはポンポンともいう。
他にもワニやウマなど可愛い名前の道具もある。
革製のエプロンにはフラップポケット (蓋付きポケット)がある。
道具を入れるウエストバック付きベルトはツールベルト。
ダブついているズボンはニッカーボッカーズ、ワイドパンツ、オーバーサイズ。
折り返しレースアップロングブーツ。
説明を省いた簡単な名前は作業着、仕事服、ワークウェア。
サブマスターはいかにも職人の格好をしているが。
次は、職人達の服装観察。
糸巻き (スプール)に座っている女性職人はパフスリーブのワンピースを着ている。
後ろにいる男性職人達もそれぞれ違うデザインのシャツ。ベストを着たりサスペンダーをしている。
説明を省いた簡単な名前は私服だ。
しかし、アームカバー、ツールベルト、ブーツはサブマスターとお揃いで魔法もお揃い。
服装は色々で自由だが靴職人に必要なアイテムは装備している。
靴作りにも色々な工程があり職人がいる。
1、製靴職人、シューメーカー、マイスター→靴職人の総称。
2、ビスポークシューメーカー→オーダーメイドの靴を全て一人で作る職人。
3、コードウェイナー(Cordwainer) 高級靴職人。
4、木型職人、ラストメイカー→靴型を作る。
5、パターン職人→デザインを型紙に起こす。
6、アッパー職人→アッパー (靴の甲の革)を縫い合わせ靴の全体を形作る。
7、底付け職人→アッパーと靴底を接合する。
8、パティーヌ職人→染料を塗り靴に色を付ける。
9、カービング職人→彫刻のように革靴に模様を彫る。
10、メダリオン職人→つま先部分に小さな穴をあけ模様にする。
11、金具職人→バックルなど金属の飾りを作る。
12、靴修理職人、リペアマイスター、コブラー (Cobbler)→靴の修理をする。
13、シューフィッター→靴の採寸の専門家。
小人職人達は4〜10までの工程を手分けして作業している。
小さな体で私達サイズの靴を作るのは大変そうだが。
特殊な魔法や技術を持っており凄い早さで完成させたりしてくれるのだ。
邪魔しないように、この辺で帰ろう。
「それでは、よろしくお願いします」
「またな!」
サブマスターが代表で見送りをしてくれた。
「今度服屋にも行くから安くしてくれよ!」
「も、もちろんですよ」
これも仕事を円滑にするためだスマイルスマイル。
「私も今度は客として来ますので革靴も安くしてくださいね」
「いいだろう!」
フククッ、ギブアンドテイクに持ち込めた。
靴の制作も始まるようだし。
安心して我が店に戻り、出来上がりを待とう。
補足です。
製靴マスターのブーツは古代ギリシャやローマのサンダルが元になっています。戦闘用だとロンググラディエーターブーツが近いです。
しかし挿絵のブーツの足元の形状から素足にレースアップに切り替わるデザインはファンタジーのものです。
ブーツの名前ですがレースアップブーツまたは編み上げブーツで検索すると足元の形状のものしか画像がでません。
なので素足にレースアップを画像検索の場合はカットアウトレースアップブーツとする必要があります。
レースアップリボンブーツのほうでは素足にレースアップの画像は残念ながら出ません。
バレリーナシューズみたいな靴などは「レースアップリボン 靴」と検索すると出ます。
古代ギリシャやローマのサンダルは神話の神なども履いていたりしてファンタジーでも定番なのですが、ご紹介したように名前が微妙に難しくてですね、サンダルの名前もクレピスやグラディエーターなどでしてパッとデザインが浮かばないですね。
ですがグラディエーターはとてもカッコイイと思いますので、ぜひファンタジーキャラにはグラディエーターブーツやサンダルを履いていただきたいです。
スーツドレスとドレススーツの使い分けは曖昧でありほとんど混同されているようです。
中世のドレスは重ね着のセットアップもあるのでファンタジーではさらに使い分けが曖昧になるでしょう。
私もスーツドレスのほうが良いなと感覚で選びワンピースかセットアップかはどっちでもいいです。
キャラによる必要性や気になる人のための使い分け用ですね。




