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異世界服屋ユルクドレスアップ !  作者: 鏡野スガタ


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店主と店員の服装 開店前の身支度

 小鳥の鳴き声で目が覚める――


「もう少しだけ……」


 いつものように、二度寝して。

 目覚ましの音で起きることにする。


「おはよう」


 今日も良い天気だ。

 小鳥は既に飛び立っていていない。

 私も、屋根裏の寝室から出よう。


 3階の住居スペースに降りたらキッチンで朝食を食べて、お茶を飲みながら新聞を読む。

 今日も特に大事件も、服屋に影響ありそうな事件もない。


「いつも通り平和だな。よし、身支度だ」


 まずは、シャワーを浴びて。

 下着を身につけたらルームガウンを着る。

 風魔法の付与されたタオルで髪を乾かして、洗顔と歯磨き、基礎化粧、髪を整えたら。


 着替えるための部屋に移動。

挿絵(By みてみん)

 服屋になるために必要な服類が全てある。

 メインの服が収納してある家具はワードローブ。こちらは魔法のワードローブなので、シャツ、ズボン、ローブと呼びかけに応じて開けるたびに希望した服を出してくれる。

 ガラスケースの付いた家具はディスプレイチェスト。

 ディスプレイしてあるのはローブの留め具。

 綺麗に並べられるので沢山ある時に選びやすい。

 展示品のように見て楽しむこともできる。誰かがこの部屋に来ることは滅多にないが、自分で見るだけでもオシャレしようという気分が上がってくるな。

 首のないマネキンはトルソー。色々な服を着せてコーディネートを考えるのに使っている。

 このような着替え部屋自体をワードローブということもある。


 ここで着替える前に――

 分身を二人出す。

 男性バージョンと女性バージョン。

 どちらも標準体型、店員として働いて経験値を稼いでもらう。

 それぞれ、好きに動いて用意してもらってと。


 私は、性別消去魔法で中性的になろう。

 これが一番臨機応変に動ける。性別とともに恋愛感情もなくなっているので、服屋一筋でいられるのもいい。


 さぁ、今日の服装を選ぼう。

 といっても、だいたい決まっている。

 シャツとズボンと靴下。きっちりとアイロン掛けをしているが、シワがないかチェック。

 気になる部分があったので、これで綺麗にしよう。

 ガラスアイロン!

 手のひらサイズのツヤツヤした丸い石。

 アイロンを使うほどではない時に良い、小回りが効く小さなアイロンだ。


 ガラスアイロンとアイロン

挿絵(By みてみん)


 アイロン台に置いた服を、ガラスアイロンで優しくこすりシワを伸ばしていく――

 よし。シワ一つないシャツとズボンと靴下を身につけよう。



 着た姿を鏡に映したら――スキル『服装図鑑(ファッションブック)』を発動!


 これで、服装を見ただけで服の名前、素材、作り、特徴、着脱方法まで全てわかる。


 自分の『服装観察(ファッションチェック)』も毎日の日課だ。



 今日の服装

挿絵(By みてみん)

 服の前にまずは、接客のための表情を確認。

 優しそう良い人そうと評価されているスマイル。

 お客さんへの対応も印象通りになるよう心がけている。

 もう一つ、印象を左右するのが服装だ。

 さぁ、服装観察をしよう。

 清潔感のあるホワイトシャツ。ワイシャツともいう。

 ベージュのタイトズボン。留め具は紐。紐留め、ドローストリング、ドロストともいう。

 真っ白い靴下。

 全体的に優しい色合いのスタイル。


 これに、トレードマークとなるローブを着よう。



 今日のローブ

挿絵(By みてみん)

 優しい目元と服が隠れてしまったが、見えないところまで気を遣うのが服屋ユルクドレスアップだ。

 もちろん、見えるこの服も抜かりはない。

 素材、生地の加工技術、仕立て、デザイン。

 我が店の素晴らしさを宣伝する一着だ。

 落ち着きのある濃紺のフードローブ。

 パイピングという金の縁取りと胸のロゴが目を惹くデザイン。

 前開き、オープンフロント。

 留め具はクローククラスプ。小さな金の蝶ネクタイのようで、留め金の中央で青い石が清廉な輝きを放つ。

 歩きやすく丈夫なワークブーツ。


 説明を省いた簡単な名前は服屋の仕事服、ワークウェアだ。

 制服というわけではないが、制服っぽさのあるスタイルだな。

 男性バージョンの分身にも、色違いの同じローブを着てもらおう。

 男性分身とは結構見た目がそっくりになるから、同じ店員?とお客さんに驚かれるんだ。


 女性バージョンの分身とはかなり違いが出る。



 今日の服装2 (分身女性バージョン)

挿絵(By みてみん)

 優しそうだし可愛いと評価されているスマイル。確かに、我ながら可愛い。

 その印象に合わせた丸襟の白いブラウス。

 明るめの紫のベストとロングスカート。

 セットアップ。ベストワンピースともいう。

 黄色い紐のリボンタイ。ベストのボタンとスカートの裾模様の黄色に合わせている。

 シンプルなアンクルブーツ。


 こちらも制服っぽさのあるスタイルだ。


 三人揃って、あまり個性がないな。

 お客さんに服装を見てもらった時に『着たい』と思ってもらいたいんだけど。

 あわよくば、流行らせたいのに……

 つい、店の者とわかりやすい服装にしてしまう。

 こうして見ると、ありがちで定番の服装だな……

 ユルク◊ドレスアップの服として流行るとか流行らないとかの話じゃないような。

 仕方ない。個性を出す服装については、また今度考えよう――


 さて、服も着たし!

 服屋ユルク◊ドレスアップとして行動開始だ。

 事務所で今日の予定を確認、仕入れや予約客はなし、客待ちの一日になりそうだな。

 転送ボックスを見て、何か知らせが来てないか確認。何も来ていないな。私も何も知らせることはない。

 服飾ギルドのメンバー全員が、いつも通り一日を始めるようだ。


 私も、下に降りて開店準備。

 明かりをつけて、分身と手分けしていこう。

 温もりのある木と服の匂いが落ち着く店内。

 2階の魔法服、冒険服、鎧装備コーナー。

 1階の普段着、貴族服コーナー。

 各コーナーに合わせたデザインの商品棚、ワードローブスタンド、服を飾るトルソー。


 商品や説明書の補充は充分かな――商品に髪の毛や獣人の毛ながついてないかも見ていく。

 服用ブラシ片手に歩く。どんな生地にも最適な馬モンスターの馬毛ブラシだ。気になる服をサッと綺麗にしていく。

 試着室(フィッティングルーム)とオーダーメイド申し込みなど対話用のテーブルも綺麗か、飾る花も萎れてないかも確認してと。


「商品もディスプレイも問題ないな」


 レジにお金を用意して、カーテンを開けてと。

 ショーウィンドウのガラスもピカピカだ。

 飾られた服まで輝いてみえる!

 早く、お客さんに着てもらいたくなってくるなぁ。

 時間も丁度いい――分身と集合。


「店員達、準備いい?」

「いいよ、店主」

「それでは。今日も、お客さんに最高の服を提供しよう! フククッ」

「フククッ」


 気合いを入れたら、扉をオープンだ!



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ここからは補足です。ファンタジーの服について書き手と読み手視点での感想と考察もあります


登場人物紹介

名前 ユルク・ドレスアップ

服屋の店主で服飾ギルドのメンバー。

20歳の頃にギルドに加入して数年間、先代店主の元で店員として修業しつつ、服屋を営むために必要な知識や魔法を取得した。店主になったのは最近で、やっと周りに目を向ける余裕が出てきている。


ユルクはオランダ語で服という意味です。日本語の(ゆる)くともかけて、町の服屋にピッタリな名前だなと思います。

ユルクの使える魔法は分身魔法に性別転換に消去魔法に、その他色々と服屋に役立つ魔法とありまして、かなりチートですね。

マスターも同じ魔法が使えるしメンバーも凄いので、自分はまだまだと思っている無自覚チートです。


ルームガウンはナイトガウンやバスローブのような前開きで帯留めの部屋着です。赤いベルベットの上質なものは貴族などが着ますね。ユルクが着るのは素朴な布の白いガウンです。


ガラスケース付きの家具は名前が色々あります。

ショーケースチェストまたはキャビネット。

アクセサリーを入れるものはジュエリーチェストまたはキャビネット。

チェストとキャビネットの違い

チェスト→引き出しだけがある。

キャビネット→扉だけまたは扉と引き出しがある。

扉も引き出しもない棚のような家具はシェルフといいます。


アイロンについてですが、中世にはガラスアイロンという丸い石があり、リネンの服のシワ伸ばしに使われました。

挿絵のような黒っぽい深緑のガラスです。人口ガラスで不純物が混ざっているために現代のような透明ではないそうです。ファンタジーだとシワ伸ばし効果のある魔石とかでしょうか。

中世には他にも熱した棒でシワ伸ばしをする鉄コテのようなものもあったようです。

現代のようなアイロンは中世後半になってからで、アイロン内部にお湯や石炭を入れて蒸気を出したり、アイロンの底面を火に当てて熱したりと種類があります。

ファンタジーも同じ方法に火魔法を使ったりがあるでしょうか。


服用ブラシは馬毛の他に豚毛もいいそうで、植物繊維のホウキもあります。

服に関わるアイテムも紹介していく予定です。


こんな風に後書きも長いですが、お楽しみいただき、お役に立つと幸いです。

ブクマや星や感想、お待ちしています。

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