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市場にて 9

                                   ・


「・・・・・」


 私は暫し言葉を失った。

鑑定士の言葉は正鵠を射ている。

確かにKFやFQは従来の娯楽コンテンツの延長にあるものだ。

だがこれまで私が何度も夢想して来た如くそのVR技術の可能性はもっと大きい。

とてもエンタメ領域のみに収まりきるものではないだろう。

( TFはゲーム市場とは比較にならない市場を握ることになるかもしれない )


「貴方はテクノ社のアンバサダー的な御立場でもあるのでしょうか?」

私は鑑定士に問い掛けた。

独立した意思を持ち、FQ世界で自由に振る舞えるAIアバター。

NPCでありながら外部(現実)世界の情報にアクセスできる存在。

それが単なる "実験体" である訳がない。


『夢を諦めなくて良い』 

という彼女の台詞にも今ならより強いリアリティが感じられる。


「あんたの想像に任せるよ」

アルカイックスマイルとは懸け離れたいつもの笑顔で鑑定士が答えた。

「分るだろう? その辺りも "秘密" と云う事になる訳さ」

彼女の表情は分かり易い。

そうでないならはっきり否定して来た事だろう。

明確に肯定することは出来ないのだ、というニュアンスが感じられる。

( それもあくまで此方の想像に過ぎないのだが )


「・・そうでしょうね」

私は頷かざるを得なかった。

強く問い詰めたり、伏し拝んで答えを請う愚を犯してはならない。

TFの企業戦略は当然 超級のトップシークレットだ。

一プレイヤーに過ぎない私が詳細を知る事など到底叶うまい。

『夢を諦めなくて良い』 と知れただけで十分だ。

この世界で彼女の知己を得られた事をただ慶ぶべきだろう。


 と しきりに自分を納得させていた私に彼女が声を掛けて来た。



「あんたのような者達のコミュニティがあるんだよ」


 




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