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市場にて 3

                                   ・


「あ 貴方は一体・・・」


『何者なんですか?』  という言葉は続けられなかった。

鑑定士が私の口を塞いだからだ。


「それを尋ねて如何する」

微笑みを浮かべたまま諭すように彼女が言う。

「あんたにはその真偽を知る術は無いのに」


 確かにその通りだ。

『イスマイラの現身だ』 と言われれば信じてしまうだろうし、

『ログイン中の運営スタッフだ』 と言われても納得してしまうだろう。



「あんた達とは異なる。 この世界(デルモニア)の住人だとは言っておこうか」

鑑定士はそう言って胸の前で腕を組んだ。

「ゲラーデンの言葉では "NPC" と云うのだろう?」

「・・・・」


 確かに。

サーバー駆動のAIキャラであるなら王族から盗賊まで全てその括りになる訳だが。

彼女はあまりにも異質過ぎる。




「何故此処に? そして何故私に?」

抑え切れぬ疑問を投げ掛ける。


「前に言っただろう。 『私は何処にでも行ける』 と」

勿論それは私も覚えている。

「市場に鑑定士は付き物だからな。私の主な立ち回り先だ。何の不思議も無い」

そう言われれば反論の余地はない。

「偶々此処に居たらアルツ以来気に掛かっていたお前(ゲラーデン)がやって来たという訳さ」

「・・・・」


 納得するしかないのだろう。

特定のロケーションに縛られないと云う事か。 

確かにそのようなNPCは存在する。

一部の王族等はイベントによって各所に登場するものだが。

どう考えても今の私の状況は設定されたイベントやクエストだとは思えない。

( 彼女自身の自由意思で移動しているのだろうか )

加えて彼女は現実世界(リアル)の事情を知っている。

これは我々プレイヤーが天上界(ヒュマニア)から女神(イスマイラ)が招いた客である、という一般NPCの認識とは明らかに異なるものだ。 

( しかし 私の事が "気に掛かった" とは? )




「私は鑑定士だからな」

言葉も無く見詰める私の心情を察してか否か彼女が話し始めた。

あんた達(ゲラーデン)各人の事情も()()()()分る。 どの程度かは想像に任せるが」

やはりシステムにより近い存在だということか。

「今ではあんたが何処から来たのかも知っているぞ」

「 ! 」

思わず息を呑んだ。

TF(テクノフロンティア)のアカウントを参照出来るという事か。

やはり彼女は通常のNPCの範疇を遥かに逸脱している。


 鑑定士は私を指差すと歯を見せて笑った。


「・・そして約束通りあれから私の事を口外していない事もな!」







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