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市場にて

                                   ・


 スベニールの市場は大通りを挟んで聖堂の向いにあった。

アルツの市場よりやや広いようだが売られている品物は圧倒的に農産物が多い。

他に目に付くのはパン屋か。 大きなバゲットが彼方此方に立掛けられている。

調理済みの総菜・料理を売っている屋台も多い。

湯気をあげている鍋や、煙をあげている鉄板もある。

だが"香り"というものが欠落したこの世界では食欲がそそられる事はない。

飢えることのないFQのプレイヤーにとって食品はパフアイテムに過ぎないのだ。


「・・匂いを嗅げればいいのに」


 ケバブ屋のような屋台の前を通り過ぎながら思わず呟いた。

武蔵小杉駅前の屋台で漂う香りに惹かれて購入したケバブサンドを思い出す。


「それはどうかな」

「 ! 」

背後から掛けられた声に驚いて振り返る。


「・・・貴方は」

アルツの市場でオーガの金棒を買い取ってくれた鑑定士が立っていた。

( 何故此処に !? )

軽いパニックに陥ったのを何とか堪える。


「ジョーだったか。 息災のようだな」

「・・・その節はお世話になりました」

頭を下げて丁寧に挨拶する。

彼女には最大限の配慮を払わなければならないと本能が告げていた。

『何処にでも行ける』 と言っていたのは真実だったようだ。


「お前達ゲラーデンに味覚や臭覚が備わっていないのには意味がある」

私を指差して鑑定士は言った。


「良く考えてみろ。 仮にそれらがあったとしたら。 そして "それ" も」

彼女は私の顔を差した指を下に向けて付け加えた。


お前達の世界(ヒュマニア)は一体どうなってしまうかを」








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