帝国を行く3
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帝国の領内は治安も良いようだ。
”戦闘上等” へと心持の切替っていた私は日没後や夜明け前もログインしていたが
帝国を東西に横断するこの街道( マザーロードと呼ばれる )を歩いている限り、
賊や魔獣に襲われることは絶えて無かったのだ。
勿論クエストやイベントのステージとなるスポットは各所に少なからず存在したし
そこでは討伐対象となる敵が待ち受けていた事だろう。
しかし私は敢えて街道から外れる事はなかった。
KFで日々4時間以上もシビアで激しい戦闘に身を晒している私にはFQはあくまで
"癒しの場" であったからだ。
旅の途上で賊の襲撃に遭うのは構わないが 賊の討伐目的で寄道する気はない。
此処までの旅路が平穏無事であったことに不満は無かった。
いや、
正直に言えば”賊による襲撃”を期待していなかったとは言い切れない。
KFでの闘いは常に徒手による1on1 という形である訳だが
FQで賊に襲われる時は多くの場合が武装した複数の敵が相手となる。
技能レベルの違いは置いても戦闘の内容が全く異なるのだ。
加えてKFでの対戦相手はマナーを意識する同格のプレイヤーであるのに対し
FQで襲って来る賊達は情け無用で屠ることが出来る。
KFではAIの練習相手にさえ使うのを憚られるような技も遠慮なく試せるのだ。
そう。
当時の私はKFに於いて他のプレイヤー達との実力差が隔絶して来つつあった。
KF本来の闘い方では他プレイヤーから脅威を感じなくなるほどに。
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【 名前 】 ジョー
【レベル】 7
【ジョブ】 旅人 2 剣士 1 弓術士1
【スキル】 行脚 10 疾駆 1 対獣格闘 1 剣術 1
対人格闘1 弓術1
【 HP 】 21/21
【 MP 】 21/21
【 装備 】 シルクチュニック ハイブリッドアーマー
エンハンストブーツ バスタードソードmkⅡ
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私の行脚スキルが上限の10 に達している。
スベニールに到着した私は聖堂でホーム登録を終えステータスを確認していた。
目の前にはお馴染みの女神像が剣を掲げて屹立している。
アルツでPK達と闘って以来戦闘はしていないので他のスキルはそのままだ。
ビギナーセットからアップグレードした装備はまだ一度も実戦に使用していない。
( 帝国を出るとエンカウント率は上がるので何れ役には立つだろうが )
「・・市場を覗いてみるとしましょうか」
帝国領内で買い物が出来るのはこのスベニールが最後だ。
最西端のこの街で何が売られているのか。 確かめてみるのも悪くあるまい。
私は聖堂を出ると煉瓦敷きの大通りを市場へ向かって歩き始めた。
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