帝国を行く 2 ★
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帝国の領土は広大だ。
他の国家全てを合わせてもその半分にすら及ばない程に。
それは軍事力も同様で 全ての国家が連合しても帝国は容易くそれを撃破できる。
この世界の安定は地理的にも中心に位置する帝国の存在に依る所が大きいのだ。
その帝国の領内を私は歩き続けた。
アルツから帝国に入り2に上がった私の”旅人”レベルはそのままだったが
"行脚" のレベルは既に9に達しておりカンスト間近だ。
帝国の領内に多数の聖堂都市が存在するのは言うまでもないが
西端のアルツから東の国境までは最短経路でも更に五つの都市を経ねばならない。
そう。
西南諸国連合から始まった私の旅は帝国を横断しその東端に達しようとしていた。
帝国最東の聖堂都市であるスベニールが私の眼前に迫っている。
軍港都市であるアルツと比べるとその佇まいはずっと牧歌的なものであった。
物々しい城壁などは無く建物は広範に分散している。
都市自体が国境要塞を兼ねるアルツに対しスベニールには軍事的要素は乏しい。
東部国境には強力な要塞が独立して設けられているからだ。
街の周囲には黄金色の麦畑が拡がっている。
最強の軍事国家とは言っても領内は長閑なものだ。
日の光に輝く穂波は背後の地平線まで一様に続き視界の全周を占めていた。
此処等一帯、帝国の南東部はブラン大陸一の穀倉地帯である。
帝国が群を抜いているのは軍事力ばかりではない。
その農業生産力は帝国のみならず大陸の全人民を養い得る程に大きいのだ。
プレイヤー・NPC共に飲食が不要であるというFCの基本仕様は置いても
デルモニアには"飢え"というものが存在しない。
何処であろうと飢餓や貧困、不幸や悲惨さを目にしたという話を聞かない。
その様式は異なれど社会(国家)の様々な理想形がモザイクに構成されている、
というのが私の印象だ。
( ・・・美しい世界だな )
柔らかな風が麦穂を穏やかに靡かせている。
豊饒な風景の中で私は仄かな多幸感に包まれていた。
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