拳神と討伐隊 9
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「・・・話としては分かるんだがなぁ」
「有り得るっちゃ有り得るかもだけど」
「実際、そんな上手い事行くもんか?」
聴衆から疑問の声が上がる。
真っ向から否定する者はいなかったが。
( 確かにドラゴンをワンパンで倒した というような話ではない )
「アキラが言ってる事だぞ」
「他人に手柄を譲るような奴じゃねぇし」
それらを嗜める声も上がった。
「結局、戦闘自体は勝利となり倒れたメンバーにも多量の経験値が入りました」
天ぷらナイツのプレイヤーが続ける。
「アキラさんはこうも言ったそうです」
そして視線を私の方に向けた。
「"その旅人"は見掛けはビギナーでも実体は"マスター"だ、と」
「・・・・・」
誰も言葉を発しない。
「もし何処かで出会ったら 決してナメた態度をとってはならない、と」
「・・・・・」
全員が無言で私を見ている。
非常にいたたまれない雰囲気になって来てしまった。
「大変興味深いお話でした!」
私は意図的に朗らかな声色で宣言した。
「タイムアウトが迫っておりますので私はこの辺りで失礼させて頂きます!」
次回のログインからはコスチュームを変更した方が良いだろう。
「あ、 あの!」
リーダーらしき男が気を付けの姿勢を取った。
「先程は大変失礼いたしましたっ!」
深々と頭を下げて来た。
「・・どうぞ頭を上げて下さい」
私は男に声を掛けた。
「そして、これを受け取って下さい」
男の右手を取ってその掌に三枚の金貨を載せる。
「・・・これは?」
戸惑った表情で男が訊ねて来た。
「先程頂いた物をお返しします。 その代わりと言ってはなんですが・・」
私は周囲のプレイヤー達を見回して告げた。
「出来ればその"旅人"とやらに関するお話は吹聴を控えて頂きたい」
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