拳神と討伐隊 8
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話を聴いている者達の目が期待に輝いている。
( ・・・"ヒーローの登場シーン" みたいだな )
当日の記憶が蘇る。
全くの"散歩モード"であった自分としては気恥ずかしさしかない。
「此方の方と同様に完全なビギナー装備でしかも"手ぶら"だったそうです」
全員の視線が私に集まる。
( 勘弁して欲しい )
「旅行者だと思ったアキラさんは退避を勧告して雑魚のヘイトを引きました」
・・確かにそうだった。
「しかしその方は瞬く間に四匹のゴブリンを倒してしまったのです」
「ちょっと待て」
「四匹も?」
「"手ぶら"って言ったよな?」
「どうやって?」
質問が沸き起こる。
「素手のまま殴り殺したそうです。 主に頭部を殴打して」
「「「「「「・・・・・」」」」」」
再び私に視線が集まる。
( 感心させられる。 あの剣士は周囲をしっかりと観ていたようだ )
「そして五匹目は蹴り殺した、と」
「五匹、だと?」
「マジかよ」
「それを視たアキラさんは『剣を使え』と言ったそうです」
「そりゃ言うよな!」
「ムツじゃあるまいし」
「いや、リアルで”それ系”の人なんじゃ?」
・・・皆の視線が痛い。
「その方は剣を拾うと武装した三匹のゴブリンを全て一太刀で仕留めたそうです」
「えぇ・・」
「剣持ちゴブリンを一撃で?」
「ホントにビギナーなのか?」
反応に懐疑的な色合いが濃くなって来た。
( しかしあの剣士の観察眼は驚異的なレベルだと言える )
「やがてアキラさんは動けなくなってしまいましたが・・・」
HPが5%を切ったのだな。 それは私も今日体験している。
「その方はお一人でオーガに立ち向かい 拾った剣で倒したのだそうです」
「だから待てよ!」
「オーガってオークの更に倍デカいんだろ?」
「そんなのどうやって(剣で)倒せるんだよ」
反応はもう殆どブーイングに近い。
「まず右アキレス腱を切断して転倒させ、左アキレス腱も切って立てなくした,と」
「・・・・・」
「次いで倒れたオーガの背に乗ると金棒を振った右手の母指を付け根から切断し」
「・・・・・」
「最後に左肋間に剣を突き立てて背側から心臓を破壊した、と聞いています」
「・・・・・」
周囲を沈黙が支配した。
( それにしても全てを本人と同レベルで記憶しているアキラというのは何者だ? )
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