表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/85

拳神と討伐隊 6

                                   ・



 今日は忙しかった。 私も暇ではない。

謎掛けをして他者の頭を捻らせる為にここに居る訳ではないのだ。


「襲って来たPKは私が倒しました」


 コンプラ説教の後なので私に圧を掛けられずにいる男に私はそう告げた。

本来なら 『あった事をありのまま話せ!』 と怒鳴り付けたい心持ちだろう。



「え」

「倒した?」

「この格好で」

「ビギナーが?」

周囲の男達が騒めく。


「あんた、流石にちょっとそれは・・」

リーダー格の男が苦々し気な表情を浮かべた。

心情は理解できる。 彼(等)の常識からすればそれは当然な事だろう。

・・・仕方ないか。



「これが倒したPK達の遺留品です」


 私はPK二人分の装備を収納から取り出した。

あれこれ口で説明するよりも "証拠" を提示するのが手っ取り早いだろう。

『百聞は一見に如かず』 だ。

裏通りの敷石の上に二組の防具・武器一式が並んだ。


「おぉ」

「これは」

「確かに」

プレイヤー達が口々に呟く。


「・・・PK達(やつら)のもののようだな。 情報と一致する」

しゃがみ込んで確認していた男が顔を上げて言った。


「疑ってすまなかった。 ・・しかし、どうやって」

詫びを述べてから訊いて来る。

「企業秘密です」

私は説明を拒んだ。

そこまで話す義理は無い。


「・・・そうか。 分かった」

男はそこで口を噤んだ。

説明を強いる権限は無いのだからそうせざるを得まい。



「二人を倒したらリーダーらしき男は逃走してしまいました」

私は開示した遺留品を再収納しながら言った。

どうせその質問は避けられないだろう。

時間を浪費したくない。

「散策中だった私は敢えて彼を追ったりしませんでした」

真っ赤な嘘、とまでは言えまい。

「皆さんと違って討伐目的で此方に来た訳ではないので」

周囲の面々を見渡して続ける。

「戦意を失った者を敢えて倒す必要もないでしょうしね」


「・・・・・」

討伐隊に沈黙が下りた。

当初は私を単独行動のはぐれビギナー、くらいに思っていたのだろうが、

今は得体のしれない物を見るような目つきに変わっている。




「・・どうするんすか?」

考え込んでしまっているリーダー格に他のメンバーが声を掛けた。

ここからは彼等の問題だろう。 私の出る幕は無い。

話せる事は話した。

私も此の場を辞する頃合いだろう。

そう思った時だった。


「アッ!」

メンバーの中に小さく声を上げた者がいた。


「 「 「 「 「 「 「 ? 」 」 」 」 」 」 」 」


 (私を含め)全員の注目が集まる。

衆目を浴びながらそのプレイヤーはゆっくりと私を指差した。

その指先が震えている。


「もしかして」

そして小声で呟いた。



「貴方は ”旅人(トラベラー)” さんでは ? 」





                                   ・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ