拳神と討伐隊 3
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「謝っただけで済むとは思ってない。 これを受け取ってくれ!」
リーダー格の男が土下座したまま両手を前に差し出した。
掌の上に金貨が三枚のっている。
「何の真似ですか?」
私は激しい既視感に襲われながらも一応は尋ねてみた。
「俺の今の持ち合わせの略全てだ。 所謂 "誠意" ってやつかな」
確かに、口だけなら何とでも言える。
ある程度は世間というものを分かっている人間ではあるようだ。
「・・認めるよ」
頭を下げたまま男が呻くように言った。
「言われてみれば運営に通報されても仕方ない振る舞いだった」
他のプレイヤー達も全員が正座して聞いている。
「だが、オフでPKKの事を悪し様に言い触らすのは勘弁して貰えないか?」
その他の面々が無言で激しく頷いた。
そして全員が縋るような表情を私に向ける。
懇願の視線が私に集中した。
「PKがのさばるようになったらFQは終わる。 それは絶対に阻止しないと」
男が言った。
言いたい事は分かる。
先程の連中みたいな輩が通りをうろついていたらどうなるか。
大半のプレイヤーはFQから去ってしまうだろう。
それは私も望む処ではない。
「二度とログインする気が失せるまで奴らを徹底的に駆逐しなければならない」
男が話を続ける。
「此処にいるのはその為に様々な有力チームから集まった有志達なんだ」
成程、それなら頷ける。
各員が高レベルに見える割にパーティとしての纏まりが感じられなかった。
おそらくメンバーは固定されておらず各チームから都度要員が集まるのだろう。
言ってみればFQ界の”エリート”の皆様 という訳だ。
KFで言えば "拳聖"クラスか。
ビギナーに対して上からの物言いになるのはあるかもしれない。
「初出動で皆気が立っていたんで乱暴な口をきいてしまった。
二度とこのような事がないように周知徹底するよ。
本当に済まなかった。 どうか受け取ってくれ」
再び土下座の姿勢を取った男の前には三枚の金貨が積まれていた。
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