拳神と討伐隊
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市場の方へ歩いていると大勢の男達が行く手の角から現れた。
皆が駆け足で急いでいる様子だ。
「いたぞ!」
「見つけた!」
先頭を走る者達が口々に叫ぶのが聞こえた。
ジョギング程度の足取りだったのが全力疾走に近い速度で私の方に向かって来る。
「逃がすな!」
「囲め!」
などと叫んでいる。
( 何だろう。 プレイヤーのように見えるがまた新たなPK集団か? )
私は正直ウンザリした心持で脚を停めた。
「よし、捕らえたぞ!」
男達の一人が叫ぶ。
瞬く間に私はすっかり取り囲まれてしまった。
完全武装した七人の男達が隙間なく私の周囲を固めている。
全員が既に抜剣して構えていた。
先程の連中よりは実戦的なようだ。
何時でも戦闘状態に入れる、という態勢をとっている。
・・・今回は少々手間が掛かるかもしれない。
「? ビギナーじゃん」
「一人かよ」
「丸腰だし」
「タグは? 出てないけど??」
私を包囲した面々がお互いに言葉を交わし始めた。
どうも強盗やPKの類とは異なる集団のようだ。
そもそも彼等には先程の三人に表示されていたPKタグが表示されていない。
( 一体何だというのだろう )
「おい お前」
リーダー格らしき男が声を掛けて来た。
「俺達はPKの連中を追っているんだが」
ああPKKのプレイヤーさん達でしたか。
システムの通知があって間もないが、もう活動を始めたチームもあるんだな。
「それはお疲れ様です」
私は短く応えた。
7人の男達の装備は明らかに先程の三人のそれを上回っていた。
そして戦闘練度も数段高いように見受けられる。
( PK犯連中の先行きはどう見ても暗そうだ )
「このアルツにPKプレイヤーが潜伏しているという情報があった」
リーダー(仮)が言葉を続ける。
「お前は見掛けなかったか? 三人連れなんだが」
間違いない。 先程の連中だろう。
私は何気なさげに周囲を見渡して見せた。
PKの首領?はもう先の角を曲がって見えなくなっている。
1000ルドで装備の剥奪は免れたものの この七人相手ではどうにもなるまい。
彼のことが少々哀れにも思えて来た。
「どうなんだ!?」
男が声を荒げた。
何だというのだろう。 私は彼の部下でも手下でもないというのに。
「・・・随分と喧しいですね」
私は鬱陶しさを露わに吐き捨てた。
「何様ですか貴方は」
男の顔を指差して宣言する。
「道を開けなさい。 さもなければ運営に報告しますよ」
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