拳神とPK 2
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( プレイヤーもNPCと変わらないな )
男達の振る舞いを観ていてそんな事を思った。
いや、『NPCが人間と変わらない所まで来ている』 と言った方が正しいのか。
強盗を行うような輩の行動パターンは高い再現性が確立しているという事だろう。
しかし『ぶっ殺せ』とは些かあからさまに過ぎないか。
せめて『やっちまえ』くらいにして欲しかったところだ。
「それは困りますね」
そう呟くと私は剣を抜こうとした右側の男の左テンプルを右フックで打ち抜いた。
兜も付けず納刀したまま という状態は(私にとって)裸でいるのとほぼ同じだ。
私への攻撃命令が下されたからにはクリティカルを与えるのに何ら躊躇は無い。
剣を鞘から抜きかけていた左側の男は右テンプルを左のハイキックで蹴り抜いた。
二人共に動作が緩慢過ぎる。
本来ならリーダーから指示される前に私に切り掛かっていなければならない。
よもや自分達が攻撃されるなどという事態は想定していなかったのだろう。
地に尻を付いた男の両側に仲間の装備が積み上がった。
「殺したのか? ・・す、素手で?」
狼狽えた声色で男が尋ねた。
左右に残る仲間の遺品を確かめるように交互に見ている。
「? 人が死ぬのを見るのは初めてではないでしょう」
見れば分かるだろう、とばかりに二組の遺留品を指差して私は応えた。
「お前、分かってるのか? 俺達はプレイヤーなんだぞ!」
尻を付いたままで男が叫んだ。
笑わせてくれる。 PKを犯すような輩の理屈など所詮はこの程度ということか。
「そうなんですか? 実は私もプレイヤーなのですが」
そう言うと私は二組の遺留品を回収した。
「それで、貴方はどうするのですか?」
何も出来ず呆けている男に尋ねる。
「600ルドと今着けている装備を差し出しますか?」
そしてクロゼットからクロスボウを取り出した。
「それとも此処で死にますか?」
クロスボウのポインタは構えずとも拡散することなく弓体に追従して来る。
「いッ」
男が呻き声を上げた。
私がクロスボウで彼の左大腿部を撃ったからだ。
「何しやがる! ・・ってこれは??」
毒効果に気付いたようだ。
男の表情が焦燥に染まる。
「あと一分で貴方のHPは尽きます。 条件を呑めば解毒薬を差し上げましょう」
( 結局こういう風に使う事になってしまった )
「それと、ご存知ないようなので教えて差し上げますが・・・」
半ばは親切心から私は付け加えた。
「貴方達の頭上には”PKマーク”がタグ表示されているのですよ。
該当者である貴方達には知らされていないのはもっともですが
( 当事者であるPK犯同士にはPK表示は視認できないのだろう )
本日のログイン時システム通知で全プレイヤーが知っている事です。
表示付きのPK犯を攻撃してもキルしてもペナルティは課されないと」
「・・・・・」
男があんぐりと口を開けた。 驚愕の表情で固まっている。
「装備を失った貴方が裸でドームに転送されたらどうなりますかね?」
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