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弓を持つ拳神 3

                                   ・



 ポインタの赤色光に照らされた標的に向けて矢を放つ。

標的となった石をもう一つ横に置いたくらいの場所に土煙が上がった。

勿論ポインタの光斑の中には収まっている。


「・・・・」

 

 私は無言で次の矢を番えた。

FQでは番え動作をすれば矢は自動供給される。

ショップ等で有償で調達する必要は無い。 "弾切れ" の心配がないのだ。

それ故か最近は弓の人気が急上昇中だという。

初期装備の主武器として選択される事が増えて来ているらしい。

( 当初は汎用性が高く接近戦で威力を発揮する剣が断トツで選ばれていた )


 次弾を射った。

今回は標的の反対側に着弾。 偏差は先程と同じくらい。


 三の矢を番える。

ポインタを合わせて 放つ。

今度は標的の手前に着弾した。 左右への偏移は無い。


 エフェクトが見えた時には矢は消えている。

( これは私が被弾したクロスボウの矢と同じだ )




 大体の感触は掴めた。

実際の戦闘ではこの仕様で何の問題も無いのかもしれない。

だが、隠密裏に接近しピンポイント狙撃でクリティカルを狙うには足りない。

マイル単位のロングスナイプではないのだ。

たかが50メートルである。

何とか手持ちのこの弓で必中させられないものか。


『ソリューションがあるものなら解き明かし我が物としたい』

それはKFに於いて私が常に堅持して来た精神であり姿勢である。

これまでFQでは抱いた事の無い感情が私の胸中に沸々と湧いて来ていた。




( ・・・とにかく命中するまで射ってみるとしましょうかね )


 私は再び弓を構えた。

四の矢を番えて標的を狙う。


( 照準をホールドした方が良いのか? )

二つ目の標的を射た時の記憶が脳裏に蘇る。

ポインタを的の中心に三十秒程固定したら光点の輝きが増したように感じた。

そして命中時には初回より明らかに強力な効果が認められたものだ。

三つ目の標的を外れた着弾は何れも左程の威力を伺わせるものではなかった。

・・照準した直後に射っていたからではないのか。


 その事に思い至った私は矢を番えたままポインターの光斑に目標を捉え続けた。


「 ? 」


 二十秒を過ぎた頃に気付いたのだが光斑が収縮しているような気がする。

二つ目の標的では光点の輝度が増したように感じたのだが。

ポインタが光斑の形態の時はまずその領域が狭まって来るのかもしれない。

弾着の範囲が収束して命中率が上がる、という事だろうか。

( ・・間違いない )

標的を照準に捕え続けること三十秒。

光斑のサイズは最初の1/2程になった。


 更に三十秒照準をキープした。

かなりの、いや、物凄く集中力を消費する作業である。

少しでもポインタを的から外したら全てがリセットされてしまうのは明らかだ。

ポインタの光斑は1/4になっている。

もう標的の石そのものとほぼ同じ大きさだ。


( これは "発見" だな )

チュートリアルやネットで得た知識では無い。

私が独力で得た知見である。 

これが弓と云う武器の一般的性質であるのか否かはまだ分からない。

だが、今の私に有用な知識である事は確かだ。


 弓術の深淵を覗き見る事が出来たような気がする。



 ポインタの光斑が標的より小さくなった。

( 最終的にはビームスポットの如く一点にまで収束するのだろう )

集中力の限界に達しかけていた私はそれを確認するなり矢を放った。






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