表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/85

拳神の闘い 8

                                   ・



 件の剣士に対し余程憎悪を募らせていたのだろう。

必殺の勢いで鉄棒を振り抜いたオーガは私に右背中を晒して体制を崩していた。

千載一遇のチャンスだ。

私は最も手近なオーガの身体部位である右踵に向かって剣を振り下ろした。

鈍い音が響く。

刃はオーガのアキレス腱を切断したが脛骨で止まってしまった。

右足首を断ち切るつもりで切り付けたのだが。

西瓜を切るようだったゴブリンの頭とは別次元の硬さである。

剣の刃先が僅かしか骨に食い込んでいない。 

これでは一振りで上肢を切断するのもほぼ不可能だろう。



 FQには"レベル"というものがある。 

先程ゴブリンを倒して幾らかアップしたとはいえ私はまだビギナーレベルだ。

対してオーガはゴブリンより数段上の魔獣だ。 当然防御力もずっと高い。

( 身長は4メートルに迫るのでリーチも倍近くある )

KFは違う。ビギナーも拳神もスペックは変わらない。

初めてのプレイヤーに私が後れを取ることも有り得ない話ではないのだ。

( 将棋の初心者が竜王に勝利するのと同じくらいの可能性はあると思う )




 オーガが前のめりに倒れた。

アキレス腱を切断された為に踏み込んだ右足で踏ん張れなくなったのだ。


( よし! )

両手持ちで剣を打ち込もうかとした私はその転倒を目にして考えを変えた。

浮き上がったオーガの左足に向かってステップする。

「やっ!」

目の前のオーガの左脹脛を真上から切り下ろす。

今回は固い脛骨に当たらないよう、左アキレス腱のみを最狭部で切断した。

ほぼ脛を切断したのに近い効果が期待できるだろう。



 オーガが怒りの咆哮を上げた。

( どうやらこのオーガは右利きのようだ )

振り抜いた鉄棒を倒れたまま右手で地を払うように振り戻そうとしている。

私はオーガを挑発する為に右膝の後ろに剣を突き立てた。

靭帯や半月板を破壊するように差し込んだ刃先を抉り回す。

( これでオーガの右脚は殆ど機能を失うだろう )

唸り声をあげてオーガが鉄棒を右側に振った。

二百キロはありそうな鉄棒を片手で振れるのだ。 人間離れしたパワーである。

私は鉄棒の軌道から逃れようと俯せになったオーガの尻に駆け上がった。

オーガの鉄棒が自身の両脚の上を薙いだが既に私はそこにいない。



「せいっ」

オーガが鉄棒を振り切った瞬間、私は鉄棒を握るオーガの拳に剣を振り下ろした。

剣が鉄棒の柄部分に当たる甲高い金属音が響く。

続いて響いたのは怨嗟と苦痛が綯交ぜになったようなオーガの悲鳴だった。



 脛の骨は絶ち切れなかったが "指" ならば。

鉄棒を持つオーガの母指は私の一撃によって根元から切断されていた。





                                   ・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ