拳神の闘い 5
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四匹目のゴブリンは私に組み付こうとして来た。
あまり賢い戦法とは言えない。 此方の方がリーチが長いからだ。
ゴブリンの両手が私に届くより早く私の前蹴りがゴブリンの鳩尾を捉える。
私は二匹目と同じシークエンスで四匹目を倒した。
「よし!」
早く剣士を援護してやらなければ。
件の剣士は当初闘っていたオーガから離れ 残りのゴブリン達と闘っていた。
既に数体のゴブリンを倒している。
やはり長剣の威力だろうか、それとも彼の剣士としての技量か。
周囲に散らばる大小数十体ものモンスターを倒して独り生き延びている男。
単なる"幸運" だけのせいとは思えない。
だが、既に限界が近いようだ。 足元が覚束なくなって来ている。
しかも彼を囲んでいるゴブリン達は皆粗末なものであるが剣を手にしていた。
( 剣を振るゴブリンに勝てるのか? )
脳裏を過る懸念を振り払って最も近いゴブリンに駆け寄る。
「とぁっ!」
そのままジャンプして空中でゴブリンの後頭部を蹴った。
倒れようとするゴブリンの後頚部を更に足底で蹴り地表に向けてプッシュする。
ゴブリンの前額部が接地する瞬間に全体重を乗せた両踵で頭蓋を踏み抜いた。
KFの対人戦では一度も使った事の無い技だ。
( 対CPU 戦では何度も練習している。私にはそういう技が他にも多数あった )
足裏にゴブリンの頭部が拉げた感覚が伝わる。
断首と同様 有無を言わせぬ完全なクリティカルだ。
「ゴブリンは引き受けます!」
剣士に向かって声を掛けた。
ボスであるオーガに専念して欲しい。
オーガもかなりの傷を負っている。 一対一なら勝ち目があるかも知れない。
「おま…アンタ何なんだ? 素手…だよな? 剣を拾えよ!」
混乱した声で剣士が叫ぶ。
「強いのは分った! だが素手じゃ剣に勝てねぇぞ!」
一息入れていたように見えたオーガが鉄棒を持って剣士に向かい始めた。
それに気づいた剣士が私に背を向けてオーガと対峙する。
「まぁ 助かったよ。 だけど此処で死んだら意味ねぇからな?」
背後の私に向かって語り掛けて来た。
「剣を持てば勝てる。 拾っとけ!」
凄まじい殺気のようなものが剣士から放たれた。
ゴブリン達が彼から後退り私の方を向く。 今度は ”威圧” を使ったのだろう。
( 剣、か・・・ )
確かに剣で切り掛かって来る相手と無手で闘うのは不利なのは確かだ。
しかも相手のゴブリンはまだ三体も残っている。( 三体しか残っていない )
地上のあちらこちらには倒されたプレイヤー達の装備が散乱している。
勿論その中には剣もあった。
その何れもがゴブリン達が持つ粗末な代物よりは上等に見えた。
当然ながら威力も数段上だろう。
”不利になる” という事はあるまい。
( ・・どうする? )
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