拳神の闘い ★
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FQ世界には日周変動が無いので四季は存在しない(気候は各地方毎に異なる)が
天候はそれなりに変化する。 雨が降る時も強風が吹く時もあるらしい。
だが私の歩むエリアでは概ね ”穏やかな晴天” がデフォルトとなっていた。
平穏な旅が続き"デルモニア散歩"が私のリラックスタイムとして定着して来た頃、
それは起こった。
前日にログアウトした場所に日の出時刻にログインした私は一瞬凍り付いた。
路上に夥しい数の死体が散乱していたからである。
十や二十ではない。 50体、いや、それ以上かもしれない。
プレイヤーの体は死亡判定後速やかに消失するので全てが敵獣の屍である。
人型の魔獣だ。
殆どがゴブリンのようだがそれより上位と思しき大躯の死体もある。
夜明け前からの大規模な戦闘が終了せずに続いているのだろう。
しかし、趨勢は殆ど決しているようだった。
立っている人間は一人しかいない。
長剣を地に突いて身を支えている。 満身創痍だ。
対峙しているオーガにもかなりのダメージが入っているように見えるが。
倒れていて息のある人間は見当たらない。 地上に装備だけが残されている。
ざっと見て十名分以上。
パーティとしては異例な程の大人数だ。
「旅行者か? 此処は危ない。 早く逃げろ!」
ログインして来た私に気付いた剣士が叫んだ。
長剣を地から持ち上げて両手で構える。
「街までもう直ぐだ。 此処は俺が持たせる。 死ぬ気で走れ!」
私に向かおうとしていたゴブリン達が剣士の方に向き直った。
強力な "挑発" を放ったのだろう。
たった今会ったばかりの視も知らぬ私を救う為に。
「おらぁあああ 来やがれ!」
剣士は自分に向かって来るゴブリン達に向かって吠えた。
ボスと思しきオーガを倒すより私の逃走支援を優先しようというのか。
その場に残る十匹近いゴブリン達が全て剣士に向かって殺到して行く。
( 何だ。 この状況は )
私はただ、のんびりと散歩を楽しもうとしていただけなのに。
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