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旅人達

                                   ・



 私のようにまるっきりの丸腰という訳ではないものの、剣士のような前衛職にも魔導士のような後衛職にも見えない風体のプレイヤーを時折見掛けるのだ。

簡素な武器を携えてはいるものの、そもそも"戦闘職" であるのかも定かでない。

かといって生産職(クラフター)採集職(ギャザラー)にも見えない。  ( 商人ではないのは明らかだ )


 語らう道連れも無しに彼方の地平に向かいただ黙々と街道を歩む人々。

早馬やパーティ用の馬車で追い越して行く高装備プレイヤー達に目もくれない。

明るい陽光の射す長閑な平原では心なしか目にする機会が多いように感じた。

勿論私自身その一人であった訳だが、 ( というより最も極端な一例か )

通常のプレイヤーの目には奇異に映るのも郁子なるかなと云うところだろう。




「ごめんなさい そこの貴方」


 ある日そんなプレイヤーに声を掛けられた。


「? 僕ですか」


 FQでプレイヤーに話掛けられたのはそれが初めてだった。

やや緊張して返事をした私だが、相手の表情も砕けた雰囲気では無かった。


「武器を持たれていないようにお見受けしますが()()()()()()んですか?」


 声を掛けて来たプレイヤーは若い女性だった。

( 女性のアバターが中高年設定であることは殆ど無いと言って良いのだが )

ビギナーチュニックにショートソードという出で立ち。  剣士の初期装備だ。

私と同じ路を来たのであれば彼の王都から30km超を歩いている事になる。




「はい、大丈夫でしたよ」


 私は努めて朗らかな口調で応えた。


「まだ一度も襲われていないのです。 昼間しか歩いていませんので」

「 ! 」


 女性剣士(のアバター)は驚愕の表情で開いた口を両手で覆った。


「あぁ そ それなら・・・!」


 得心した表情でしきりに頷いている。


「確かに武器は必要ありませんね。 昼間だけの()()()ならば・・」



 ほぼ独白と思しき彼女の呟きに私は驚かされた。


( "お散歩" だと? 彼女も私と同じ目的でFQにログオンしているというのか )





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