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Final Quest

                                   ・



 TFから新たなアカウント(ファイナルクエストの)は得たもののアクセス時間は増えなかった。

ダイブ装置であるDSの使用時間が一定なのは一般のプレイヤーも同様である。

アクセス時間をFQと分け合えばKFのプレイヤーが減少するのは当然だった。

FQをプレイした私はそれを痛感することになる。



( これは・・・ ()()()VRなのか? )


 私はアカウントがセットされた事を確認するなりFQにログオンしたものだ。

( やはり心のどこかにオープンワールドVRへの渇望があったのかもしれない )

キャラクリは 同じTechno Frontierが提供するKFと然程違和感は無かった。

早くプレイが始めたかった私は殆どの項目をデフォ承認で済ませてしまったが

( パターンはランダムで提示されるので似たようなキャラばかりになる事は無い )

設定を終えてフィールドに転送されるとそこは正に "別世界" だった。

・・・KFとも全く違う。



 初めてKFをプレイした時は ”自由に動ける身体” を取り戻せた事に感動した。

FQは私に文字通り "自由に動き回れる世界" を再びもたらしてくれたのである。


 KFの世界は閉じている。

自分自身と対戦者以外その場に存在するのは ”地面()” だけだ。

ヒット時の閃光 のようなギミックも一切無し。

リアルな対人徒手格闘の再現に必要となる要素以外は一切排除されている。

レンダリング演算に要するリソースを徹底的に節約しているのは明らかだ。

コスチュームもボディスーツのようにシンプルなものが殆どだった。

(最も要素数が多い ”拳神コスチューム” は例外的存在であったと言える)

広大な世界に多人数が集い好き勝手に行動するFQとは根本的に異なる。


 それはFQとのアカウント料金の差に如実に表われていた。

KFはDSというハードのローンチソフトであるということもあって、 その料金は意外とリーズナブルに設定されていたものだが FQの料金はその十倍近かった。

現存するオンラインゲームの料金としては最高額となっていたのである。

だが、それを 『高価過ぎる』 と言う者は皆無だった。

内容が従来のコンテンツとは比較にならない程圧倒的だったからである。


 従来のMMORPGとFQとの差をありていに言えば 黎明期のスプライト式テーブルゲームと現状のMMORPGとの差に等しい。




( ・・・KFをやっていて良かった )

FQの舞台世界であるデルモニアの大地と空を眺めながら私は心からそう思った。

真剣に鍛錬に励んで良かった。 

拳神の座まで昇れて、それを維持できて良かった。

と。


 エントリポイントである聖堂の外には賑やかな街並みが拡がっていた。

街道の遥か彼方には緑の丘陵が見える。 あの丘までこの足で歩いて行けるのだ。

気が付くと私は遠く聖堂から歩み出していた。

クエストの受注や他プレイヤーとの交流はすっかり脳裏から抜け落ちていた。


 暖かな日差しと穏やかな風を頬に感じる。

私は両腕と両脚を拡げ、全身でその感触を嚙み締めた。

味覚と臭覚はサポートされていないというが、それもいつかは実現するだろう。



( 三倍のアクセス時間に感謝を! )



 私は世界を取り戻したのだ。




                                   ・

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