8.ユサタクからの提案
一部表記を変更いたしました。(2024年1月8日)
『いきなり特別依頼とは凄いな!しかもめちゃめちゃAGPの効率もいいし』
『そうやろ?最初思ってたより遥かに早く司書ギルド入れそうでサイコーやわ』
ユサタクの驚く声を心地よく感じながら自慢げに話す。
『それは良かった。というか今公式掲示板見てるんだけど特別依頼が発生してる人が全然いないっぽいんだが、心当たりあるか?』
『3万人もいて全然いないん?そりゃ戦闘職は似たり寄ったりやから序盤は発生しにくいやろうけど、生産職とかはスキル次第で出てきそうなもんやのに』
『隠してるやつもいるだろうけど、少なくともプロゲーマーや配信者で出たという情報はないな』
『うーん。念のため聞くけど、登録の時に職とスキルも提出した?』
思いあたる理由がそれくらいしかないしユサタクに聞いてみると、納得と悔しさの混じった声で答えた。
『それがあったか!うちは受付で最速で登録お願いって言ってるな。スタートダッシュ決めたいし、並んでるプレイヤーからの圧もあるしな』
『この世界来た時のプレイヤー達の猛ダッシュといい皆余裕がないな〜。俺の場合は逆に遅いから特別依頼引けたかもしれんのに』
このMJOの世界に来て最初に見た光景を思い出し少しげんなりする。
『遅いから引けたって?何か心当たりがあるのか?』
『いや、渡り人が想像以上に多かったからそれに対応するために特別依頼を発行したって流れやから、もし最初の方で受付できてたらこの依頼出てなかったかもやし』
『それはありそうだな。ベータでお前が受けた依頼がなかったのはギルドのキャパシティを超えなかったからか』
『ああ。しばらくの間はプレイヤーの人数が多いって理由で起きるトラブルが特別依頼の種になると俺は読んでる』
特別依頼を受けた時から思っていたことを伝えるとユサタクも納得の声をあげる。
『俺もそれで合ってると思う。この情報はうちのチームで共有していいか?今後のMJOで有利になりそうだし』
『ええよ。というか俺のゲームって仮とはいえそっちのサポートチームのやしな。よっぽどじゃない限り協力するから』
少し気にし過ぎなユサタクに今後も含めて情報提供の意思を伝える。
『ありがとう。それで話は変わるんだが、今ソーイチが受けてる依頼って100枚依頼書を作ったらランクをFに上げれるんだよな?』
『ああ、休憩しながらゆっくりやってるよ』
『1つ提案なんだが、MPポーション使ってでも最速で終わらせられないか?』
『いや、まだ16枚しか終わってないんやぞ。確か初心者用のポーションて50回復が3個やから全部使ってコピーしても66枚とまだ1/3も残るで』
いきなりの提案だが最速でもかなり時間がかかってしまう事を伝える。
『いや、問題ない。今聞いた感じだと、キャラのレベルが後少しで上がるだろ?』
『ああ、8枚手書きかコピーで上がるで』
『だったらいける、いける。キャラのレベルが上がった時はサブとは違いHP・MP・STの3つがマックスまで回復するんだよ』
『え。マジで?【見習い司書】が上がった時はステータス上昇分しか回復してなかったし、キャラの方もそうやと思ってた』
『ああ、それで【見習い司書】がLv2でキャラLv2だと MPが確か60前後まで回復すると思う』
『お前、よく不遇職のステータス推移まで覚えとるな』
半ばネタ職なのに詳細なステータスを知られて若干びびる。
『それがプロゲーマーだよ。まあ、ベータから変更ありかもしないけどゲーム前に見たステータスから大きくは外れてないと思う』
『そういえば、待機所でステータス見せたか。で、それでどうなるんや?』
『だから、回復した分もコピーに全部注ぎ込んだら85、6枚くらい、そこから手書きと【待機】での回復分合わせたら後1時間ちょいでランクがFに上がるんじゃないかと思ってな』
『まあ、そりゃそうやけど、なんでそこまで最速を押すんや?こっちとしても早くランクは上げたいけどアイテム使わんと【待機】頼みでも構わんのに』
(しばらくは使わんとは思うけど、なるべくアイテムはケチりたいんよな〜)
勿体無い精神から反論してみる。
『いや、ソーイチにもどデカい理由が2つある』
『理由?』
『ああ、まず1つ目はサブジョブの【見習い農家】のギルド登録は一刻も早く必要なんだよ』
『なんでや?多少遅くなってもいいやろ?』
『全然良くない。他の生産職はギルドに入ればすぐに生産が始められるが、【農家】系統は違う。種を植えてから実るまでが長いんだよ』
『あっ、そういうことか!?』
当たり前すぎるのに思いつかなかった自分に愕然とする。
『でだ、ギルドで買える種で1番収穫が早いのが【カブ】なんだが、それでも12時間はかかる。それで他の作業時間とか考えると合計で14時間程』
『な、長いな・・・』
『ソーイチが明日以降も特別依頼受けるんなら6時には冒険者ギルドに行きたいやろうし、逆算すると、今日の15時までにはFにならないとダメなんだよ』
『なるほどな。それで今何時なんや?』
『今はゲーム内で12時ちょい、大体開始から2時間経ってるな。というか時計機能あるだろ?』
『いや、【瞑想】の取得条件に挑戦してるからまだ目を開けれんのや』
『そういえば言ってたな。っと話を戻すけどそこからアイテムありの最速でランクFにして大体14時と本当にギリギリになるんだよ』
『なるほど、確かにアイテム使ってでもランク上げた方が良さそうやな。それで、もう1個の理由ってなんなん?』
最速でのランクアップの必要性に納得しながらも更なる理由を尋ねる。
すると、ユサタクは勿体つけながら、驚きの理由を告げてきた。
『ふっふっふ。もう1つの理由、それはMJOの賞金を手にするためのポイントが手に入るかもしれないからだよ!!』
tips
レベルアップ
MJOでは自身のキャラレベルとメインやサブのジョブレベルの2つが存在する。どちらもレベルアップ時にステータスは上昇するが、恩恵がそれぞれ異なる。
キャラレベルはステータスの上昇値が全プレイヤー共通である。また上昇時はHP・MP・STの3つの数値が全回復する。
ジョブレベルはステータスの上昇値がジョブごとに決まっており、またHP・MP・STも上昇分のみ回復する。ジョブレベルには上限があり、その際には上位職などに転職が可能になる。(ただし特殊職に関してはこの限りではない)
日間VRゲーム(SF) で9位にランクイン しておりました。
一日複数話を更新してたからかもしれないですが、この結果は驚きとともに最高に嬉しいです!!
本作をご視聴の皆様、ブックマークや評価していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。