表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/160

77.付与魔術の検証と派生職

焼きそばパンを食べ終わり意気揚々と畑仕事を始めた俺だったが、STを使い切り手作業に移ろうとしたタイミングである事を思い出す。


「フワフワ、ちょっとええか?」

「はい、なんでしょう〜」

休憩していたフワフワに声をかけると、不思議そうにしながらこちらへ歩いてきた。


「司書ギルドで聞いたんやけど、付与魔術師のバフが農作業でも役に立つらしくてな。良かったら【DEXアップ】かけてくれへん」

「そうなんですか?町中では試した事無いですがかけてみますね〜」

驚きながらもフワフワは【DEXアップ】のアーツを俺にかける。


「効果時間は10分なので気をつけて下さいね〜」

「オッケー」

バフのかかった俺は、さっそく手作業で作物を収穫していく。

だが、ゲーム序盤で補正値があまり高く無いのか、体感できるほどの差を感じる事は出来なかった。


「う〜ん。あまり差は感じへんな」

「そうですか〜。でも、町中でスキルとレベル上げが出来るのは嬉しいので一杯かけていきますね」


フワフワはその言葉の後、農作業している全員に【DEXアップ】をかけていく。畑仕事をしながら各々の感想を聞いていると、効果を実感出来てるグループと出来てないグループにどうやら分かれてるようだった。


「う〜ん、効果が確認できたのは嬉しいんですけど、少し差が大きい気がしますね〜」

「そうだな。検証してみたいから全員ステータスを数値モードにして、後でそのスクショを送ってくれ」

ユサタクの言葉に反発する事なく、全員がステータス操作を行なっている。俺も言われた通りモードを変え、画面のスクリーンショットを撮る。


「ステータス撮ったけど、データはログアウト後でええか?」

「ああ、チームの共有フォルダに入れておいてくれ」

「オッケー。じゃあ俺は畑仕事に戻るわ」

再び畑仕事に戻った俺は、途中に休憩を1度挟み(ホットドッグもサイコーに美味かった)作業を進める。こうして1時間ほどで、


ー見習い農家のレベルが上限に達しましたー

《ソーイチ様がプレイヤーで初めて【見習い農家】のレベル上限に到達いたしました》

見習い卒業を告げるアナウンスが響き渡った。


「ソーイチやったな!」

「おめでとうございます!」

畑にいるメンバーからは直接、いないメンバーもクランコールにて祝福の言葉を嵐のように受ける。


「今回の卒業のおかげで町の解放依頼の受注条件も達成した事だし、早速冒険者ギルドに行く。誰かソーイチの転職に付き合ってくれるメンバーはいるか?」

「いやいや、今回も教会前が混雑するかもなんで、教会に登録してるリーダーが今回も付き添ってあげて下さいよ」

フレンが出した町解放の参加条件を達成した事で、早速向かおうとするユサタクだったが、混雑を予想したアマネがそれにストップをかける。


「そ、そうだったな。じゃあ俺はソーイチに付き添うから、みんなは冒険者ギルドに行って受付嬢に事情を伝えておいてくれ」

「「「了解!!」」」

ユサタクはこの場のメンバーに指示を出した後、クランコールを使いフィールド組にも連絡をする。その作業が終わると、俺とパーティを組み教会へと転移を行った。


「今回は礼拝堂に直接転移じゃないんやな」

「そりゃあ、事情説明無しで飛び込むのは無しだろ。まだアナウンスから時間は経ってないしな。門までで充分だ」

「なるほどね〜」

軽い雑談をしながら礼拝堂に向かう。既に夕飯準備の時間なのか離れの孤児院から美味しそうな匂いが微かに漂うのを感じながら扉を開けると、クリスが微笑みながら歓迎してくれた。


「こんばんは、ユサタクさん本日3回目ですね」

「ええ、ソーイチのサブジョブも見習い卒業出来たので転職をお願いしたくてね」


「そうだったんですね。ソーイチさん、おめでとうございます」

「ありがとう!これで混職の証を渡してくれたクリスの期待に応えられるってもんや」


「あら、私の為に頑張ってくれたんですね」

「まあね。それは兎も角さっそく転職お願い」

「そうですね。では、これより転職の儀式を開始いたします。ソーイチさんは女神像の前で祈りを捧げて下さい」


【司書】に転職した時と同じく、女神像に祈りを捧げていると、


ー【見習い農家】のレベル上限が確認出来ました。これより転職機能を解放しますー


前回同様、システム音声と共に、目の前にステータス画面が現れる。まだ派生職は開放されてないのか【農家】しか表示されてない為選択する。


ーサブジョブを【農家】に変更いたしましたー

ー初めてのサブジョブを転職した為、メインスキルの枠を1つ追加いたします。また新しいジョブをひとつ取得出来ますがこの場で選択しますか?ー


システムボードに新たな選択肢が表示される。

(ワールドアナウンスはまだ流れてないけど全部決めてからなんかな?)


少し疑問に思いながらも、予定通りに選択すると、控えサブジョブの所に【見習い付与魔術師】が追加されていた。それと同時に、


《ソーイチ様がプレイヤーで初めて農家に転職いたしました》

と、恒例のアナウンスが世界に響き渡った。


「おめでとう!」

「ありがとう。無事見習い卒業出来たけど、今回は派生職は発生せんかったわ」

「本当か?」

「ああ、転職の際に【農家】の選択肢しか出なかったで」

「派生職は中級職になった後に転職できるものなので、もしかしたら選べるかもしれませんよ」

派生職が表示されなかった事を残念に思っていると、横で眺めていたクリスが助言をしてきた。


「マジで!?じゃあ念の為、もう一度祈りを捧げてみるわ」

言うが早いか、再び女神像に祈りを捧げて転職画面を表示させる。すると先程無かった選択肢が1つ表示されていた。


(おお!本当に派生職増えてるな!名前的にメインにセットするには良さそうやな)

俺は派生職をメインジョブにセットし、システムボードを閉じる。その直後、


ーメインジョブを【見習い晴耕雨読】に変更いたしましたー

ー初めての派生職へ転職した為、メインスキルの枠を1つ追加いたしますー

《ソーイチ様がプレイヤーで初めて見習い晴耕雨読に転職いたしました》


新たなジョブの名前がMJO世界に知れ渡るのだった。



tips

【ユーザータクティクス】の共有フォルダ

MJO内で撮影したスクリーンショットやクランコールのログ、情報などをチーム内で共有する為に保存するフォルダ。

使用用途は情報の検証や周知などゲーム攻略に使用する以外にも、広報用にも使用される。



編集ミスで違う回のtipsを掲載してしまったので変更いたしました。

次回は4月17日(水)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おおおおっ! 誰も知らない派生職にへの初めての転職!! ワールドアナウンス2連チャンは快感ですよねえ。 これは燃える!!
[一言] 転職後に転職画面を再度開くのは盲点な気がする。 NPCに言われないと次のタイミングまで気付けないよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ