57.4日目開始と残り1レベル
リアル事情により毎日投稿が厳しくなってきた為、本日より隔日更新に変更致します。
更新頻度は下がり申し訳ございませんが、これからも本作をよろしくお願いします。
楽しかった宴会を終えてリアルへと帰還する。時計を見ると18時少し手前であり次のログインまで50分ほどしかなかった。
(晩御飯用に早く切り上げるつもりが、撮影が早まったせいで予定狂ったな〜。飯食うのに中途半端やしどうしよう)
3時間前にどら焼きを食べたのもあり空腹感も少なく、どうしようか悩みつつ辺りを見回すと睡眠ポッドが目に付いた。
(折角の初日やし今日は睡眠ポッド併用で廃人プレイしちゃうか?ジョブの見習い取れるの近いし追い込みかけるんもありやろ)
自分が駄目になってるのを自覚しながらも30分のアラームをセットし、睡眠ポッドで横になる。すぐさま意識は遠のきあっという間に30分が経過した。
「ああ〜!よく寝た!!」
思わず声に出しながら起き出した俺は、寝起きのストレッチをしながら4日目の動きを考える。
(初動はいつも通りでいいとして・・・。あっ、新聞用のポーション貰ってないな。結構余ってるから後の精算でもええけどそこは応相談やな)
夜の間に貰うはずだったポーションに気付き、心のタスク帳に刻み込む。
(で、今日からは農地シェアしてるおかげで常に畑仕事出来そうやし依頼書作りながら本読んで、ST回復したら農地へダッシュしよか)
いつもよりアクティブに動く事を決めた俺はストレッチを切り上げ、コーヒーを飲みながら再ログイン時間を待った。
「さて、ログインするか」
コーヒーを飲み終わった頃、予定の時間が来たので再ログインをする。
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「おはよ〜さん」
「おはようございます、昨日遅かったのにお早いですね」
「やりたい事一杯あるからな。休んでばっかりじゃいられんって」
「なるほど」
(よし、睡眠ボーナスちゃんと付いてるな。じゃあ早速活動していくぞ!)
既にログインしていたモチョに挨拶しながら、ボーナスが付いているのを確認する。
そして満タンになったSTとMPを消費すべく手付かずの農地を2面分の種蒔きまで終わらせた後、サインを5枚【コピー】する。
(ログアウトしても、最後に手書きしたデータは残ってるんやね。良いデータ取れたわ)
思わぬ発見に喜びながらの、休む事なく次の作業に取り掛かろうとする。
その先駆けとしてまずは余りのポトフを朝食に食べながら新聞を読みこんでいく。
(おお!今日の一面は渡り人クランについてか。中でも【ユーザータクティクス】が大々的に載ってるやん!クラン第一号やし当然やけど他のクランも5つ出来てるんやな)
記事の上半分には【ユーザータクティクス】の紹介が、下半分には同日に設立されたクランの紹介が纏めてある。そして渡り人の活躍は止まる事を知らないと〆られていた。
(これ要約するにしてもウチの自慢話に思われんか心配やな。そうならん為にも少しこっちの紹介は少な目にするか?)
そう悩んでるとユサタクが話しかけてきた。
「ソーイチおはよう。食べながらの新聞は行儀が悪いぞ」
「ああ、経験値ボーナス欲しいからついながら食事してたわ。それより相談があるんやけど」
「なんだ?」
「今日の新聞の一面が渡り人のクラン特集なんやけど半分近くウチの紹介やねん。これを要約したのを売るのは自慢話を売ってると思われんかな?」
俺の懸念を伝えるとユサタクは少し考えた後に答える。
「俺の意見だが全く気にしなくて良いと思う。というか内容を変えるのは駄目という方が正しいか」
「どういう意味や?」
「あくまでソーイチの要約は【ノア・タイムス】の好意によって許可が出てるに過ぎないし、要約とはいえ記事を曲げる権限がそもそも無いんじゃないか?」
「あっ!なんで忘れてたんや!」
【ノア・タイムス】を広めるのが前提なのに、故意に記事を変えようとした自分に愕然とする。
「だから評判とか一切気にしないで要約してくれ。ウチらプロは目立ってなんぼだしな」
「わかったわ」
ユサタクの助言に従い、主観が入らないように要約していく。
「よし!これで問題ないやろ」
10分後、完成した物を一通り見直し満足の出来になったのを確認する。
「完成したか!じゃあ今日の発行枚数だが、ソーイチお披露目初日だし300枚いけるか」
そう言ってポーションの束を渡してくる。
「300枚って多いな!ポーションも10本は飲まなあかんやん」
「レベル上げにもなるし頼むよ!」
「仕方ないな〜」
無茶振りを受けた俺は早速【3枚刷り】を使い量産していく。
ポーションを大量に飲み干しながら作業をしていると、
ー見習い司書のレベルが9に上がりましたー
【見習い司書】のレベルアップを告げるシステムアナウンスが流れた。
(後1レベで見習い卒業か!ここからも長いけど今日中に絶対卒業するぞ!!)
見習い卒業が近づいてきた事によりモチベーションがマックスになる。その後もポーションを詰め込みあっという間に要約した書類が300枚完成した。
「ユサタク、出来上がったから持ってって。見本はいつも通り俺が持ってくから」
「横から見てたが凄いな。鬼気迫る顔で【コピー】し続けてたぞ」
「途中で【見習い司書】のレベルが9になってな。卒業も近づいてテンションあげあげでやってたわ」
「それはめでたいな!次まで2000ちょい、頑張ってくれよ」
「任せとき!と言いたいがポーションでお腹タプタプや。ちょい休憩」
自信満々に頷いた俺だったが朝からポーション11本とポトフを食べたので限界寸前までお腹が膨らんでいた。
「お腹パンパンだな」
「五月蝿いな〜。どうせ収穫可能になるまで暇やし丁度ええねん」
「おお、もうそんな時間か。門で待ち合わせだし早く行かないとな」
「ちょいストップ!伝言あるの忘れてた」
そう言って狩りに行こうとするユサタクに待ったをかける。
「なんだ、伝言って?」
「みんな【見習い農家】になったやろ。それで納品以外に余った作物を聖水に替えれるよう教会の人に紹介したいなって思ってな」
「ああ、聖水は万能アイテムだから数が欲しいもんな」
「だから夕方以降に集まって行こうって誘っといて」
「わかった。後で広めておくよ」
そう言って今度こそ狩りに向かうユサタクを見送りながら、パンパンのお腹が治るまで横になった。
tips
朝のパーティー事情
全員ジョブが異なる為、コールでの点呼の後、開門時間の7時までに門の前に集合となっている。
次回の更新は3月8日(金)午前6時を予定しております。
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