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50.計画栽培と設備増強

「うぉ!急にどないしたん?」

完全に不意を突かれ、驚きながら聞き返す。


「いきなり話しかけてごめんなさい!リーダーから伝言があって」

「ユサタクから?」


「はい。【地主】持ちのメンバーはクランクエストの納品分を優先して欲しいそうです。」

「ああ、そりゃそうか」

クランとして当然の要求に納得しつつ農地の状況を整理する。


「えっと今回収穫したんが玉ねぎはモチョの分やからそれ以外に4品目と2時間後に収穫できるジャガイモ、カブ、シイタケの計7品目はクリアか」


「ギルド全体で農地をシェアしてる状況ですし玉ねぎも使っちゃって下さい」

「ホンマか。じゃあ残りは小麦と薬草の2品目か」


「それとソーイチさんに出来ればシイタケ多めで栽培して欲しいそうです」

「ああ、シイタケは生産職ランクEからで俺しか栽培できんか。今はキノコ小屋2棟建ててるから明日のギルド閉まるまでには100個収穫出来るけどそのままでええか?」


作成依頼を聞き、栽培状況から100個収穫までの時間を計算し、現状維持でいいか確認する。


「今後も同様の依頼があるかもですし、経験値効率も良いのでもう2地区増やして欲しいそうです」

「増やせって言われてもお金ないよ。2地区を原木と農地フルセットで14,000ゴールドもするんやで?」


種代は払わなくても良くなったとはいえ、まだまだ寒い懐事情では難しいと告げる。


「2棟分の予算は既に用意してるんで大丈夫です」

「マジか!」


「ええ、ただ追加の2棟から収穫したシイタケは今回の納品に限り無料での取引になります」

「ああ、そもそもお金出るんか」


「勿論です!【超大型保管箱】に10個単位で作物を入れて頂いたらその分【ギルド貯金箱】からお金を引き出すって取引になります」

「ふむ。因みに取引のレートはおいくら?」


「通常依頼と同じく12時間系が1,500で22時間系が2,500になります」

「オッケー。今の段階やと、さっき収穫した5品目納品とキノコ予算で26,500引き出したらええんやな」


「いえ、既にあるキノコ小屋の原木って確か今日までですよね?その原木40株分の資金も出すそうなんで合計30,500ゴールドですね」

「マジで太っ腹やな。これで手持ちが4,000ゴールドやからそれ込みで新しい農地と回収ボックス買えるわ」

出費が抑えられたおかげで更に設備を増強出来そうでテンションが上がる。


「回収ボックスって、たしか自分以外が収穫しても農地の持ち主に転送される倉庫ですね」

「そうそう、いくら同じクランでも完全にフリーにするには危険やからな。まず自分が確保した上で共有するんは大事やろ?」


「なるほど、確かにそうですね!」

「と言う事で急いで種蒔きして農業ギルドに買いに行ってくるわ」

「頑張って下さいね」


こうしてモチョとの会話を切り上げた俺は空いている農地に小麦、薬草を含めた5種類を手作業で種蒔き、水やりを行う。


途中【水撒き】と【種蒔き】を覚えたので【古代語】と【エルフ語】をメインスキルから外し、代わりに覚えたての3種の農業系スキルをセットする。


「サブジョブやのにスキル構成が完全農家やな〜。便利やし別にええんやけど」


自分のジョブについて疑問を持ったが気を取り直し、残り作業をアーツで終わらせた俺は次の収穫に間に合う様、農業ギルドまで駆け出した。


「アレン、買い物に来たで」

「あら、ソーイチさんいらっしゃいませ!早速クランの方達がいっぱい農地を買いに来られましたよ」


「此方こそアレンのヒントのお陰でクラン称号と特別クランクエストを受注出来たしお互い様よ」

「そう言ってくださると助かります。それより買い物でしたね。何をご希望ですか?」


「南地区の農地を5地区とキノコ小屋2棟、原木80株と回収ボックスお願い」

「まあ!沢山購入されるんですね!」


「今クランでキノコ小屋買えるの俺だけやからクランから予算出たんよ。それにクランで農地シェアするんやったら回収ボックスも必要やしな」

「なるほど。でも予算が出てよかったですね」


「万年金欠やから予算出るのは助かるわ。で、おいくら?」

「えっと・・・全部併せて34,000ゴールドですね」


「調整したとはいえ、また金欠生活になりそうや」

「が、頑張って下さい」

残金が500ゴールドになり嘆いていると、アレンが戸惑いながらも応援してくれた。


「じゃあ、畑仕事せなあかんしこれで失礼するわ。まだ【見習い農家】になってない面々も農地買いに来ると思うからその時はよろしくしたって」

「勿論です。ソーイチさんもいってらっしゃい」


アレンに見送られて俺は農地へ向かう。

数分で到着した俺は畑作業の前に人参ジュースを飲み干す。

(ここからは畑作業ノンストップやからな。経験値は稼げるだけ稼ぐで)


気合いを入れ直した俺は、買ったばかりの農地チケットを5枚使用し、内2地区にキノコ小屋を建て、残り3地区は通常の農地に設定する。


(ここも土いじりはアーツで残り手作業でええか)

STと時間を鑑みて、耕すのはアーツ、残りは手作業で進めていく。20分弱で作業を終えた俺はキノコ小屋にシイタケの原木をセットしていく。


(昨日も思ったけど原木設置で経験値入らんのは残念やな。まあ、その分水やりは判定が1株単位やからめっちゃ稼げるけど)


キノコ栽培の利点と欠点を思い浮かべながらも、霧吹きで水を与えていく。そうやって作業しているうちに【見習い農家】もレベルが6に上がったのであった。


tips

CGPチケット

ジョブクランが発行する特別クランクエストのクリア報酬の一部。受注したギルドに持っていくと500CGPが追加される。


なぜ一律でCGPの配布にではなくチケット方式なのかは、

①生産系ジョブギルドに未登録の者やクエストクリアに関わっていないメンバーには付与しない為

②功労者には優先的にチケットを渡せる様にする為

の2つの理由からである。



ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こうして小屋や畑やキノコの原木が増えていくと テンションが高くなるだろうな〜 他のクランは全然気がついておらず、作物納品系の依頼がガンガン行けそうなのが最高。
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