43.ジョブシステムの変更と説得
この度、本作が10万文字&1万ポイントを突破できました!これも全てMJOを読んで下さった皆様のお陰です。本当にありがとうございます!!
「話すの苦手なんでここから先はリーダーにお願いしていいですか〜?」
「ああ、大丈夫だ」
フワフワから説明役を引き継いだユサタクは話始めた。
「まずベータ版と違いを説明する前にMJOのメインとサブの違いについて改めて共有するか。ゼロはその違いについて説明出来るか?」
「はい。メインジョブは初期に設定したジョブの上位または派生にしか転職出来ない代わり、これまで獲得したステータスの合算分が反映されます。
サブは条件をクリアしてればどのジョブにもなれるが、現在サブにセットしてる1職分しか数値が反映されないですね」
急に話を振られたゼロだが戸惑う事なく違いを説明して行く。
(そういうシステムやったんか。でも聞いた限りやとステータス上昇値が低い【司書】系をメインで選ぶ人少ないんもわかるな。図書館利用だけならサブでええわけやし)
「そうだな。後はレベルアップ時のステータス上昇やジョブ専用アーツを使用した時の経験値補正もメインの方が多い。ここまでで質問はあるか?」
前もって勉強してるのか誰も手を上げなかった。
「じゃあ次に行くぞ。これまでの説明からMJOではメインの派生を多く出し恒常的なステータスを手に入れるというのが大切だとわかる。
因みに派生ジョブはレベル上限のメインとサブの組み合わせによって出現する事がベータ版で判明している」
「じゃあ【見習い農家】育ててたら他のサブジョブが育たへんから全員なるのは危ないって事か?」
説明から全員農家計画の危険性がここにあるのかと質問する。
「いや、【見習い農家】は他ジョブとレベル上げのやり方が根本から違うからな。だからベータ版の様に自由に転職出来るのなら問題なかったんだ。だが本番からは転職システムが変わってしまったんだ」
「どういう事や?」
「サブジョブなんだが、レベル上限後はその上級ジョブ以外だと1つしか選べるジョブが解放されないんだ」
「???」
「イメージしにくいから例出してくれへん?」
俺とセキライは話に着いて行けてないので具体例を求める。
「例えばサブジョブ【見習い剣士】のプレイヤーがレベル上限になるとする。その後転職の際に【見習い農家】を選択してしまうと【剣士】か【見習い農家】が上限に達するまでは他のジョブを選べなくなってしまうんだよ」
「それはキツイな」
「ベータ版では好きに選べたんだがな〜。それで今回の問題点はメインの派生を増やして行くのがMJOでの王道プレイングだが、派生が発生しにくそうな【見習い農家】にギルドメンバー全員がなると【円卓の騎士】含めたライバルに後れを取るかもしれないって事だな」
ユサタクの説明を聞いた俺はようやくフワフワが挙げた議題の内容を理解出来た。他のメンバーもこの話を聞いて【見習い農家】になる事を迷っている気配を感じる。
「そう言えば初期ジョブのレベル上限までの経験値ってどれくらい必要なん?」
空気を変える為に質問をして行く。
「どの職業も【見習い】系のレベル上限に必要な経験値は9,000だ。
【見習い農家】の場合、全てアーツを使ってレベル上げをするなら750回使用で消費STが3750になる。ただ水撒きなど手動で行える作業もあるしモチョの経験値アップの料理も併用すればもっと早く上がるだろう」
フォローしたつもりだろうが途方も無い数値に更に辞めた方が良いという空気が蔓延していく。
「ここまで問題点ばかり挙げてきておいてなんだが俺はクランメンバー全員が【見習い農家】になるのは賛成だ」
「悲観的な材料しかないのになんでリーダーは賛成なんですか?」
ミコトが代表して全員の疑問を投げかける。
「まず派生関連なんだがそもそもまだ誰も派生ジョブに転職出来てないだろ?」
「そう言えば俺のリストに出なかったし【円卓の騎士】のアナウンスでも誰も転職してなかったっすね」
セキライが自分の転職時を思い出しながら同意する。
「そうだろう?ベータでは発生した組み合わせでも派生ジョブが出てきてない。これはおそらく中級ジョブ同士の組み合わせか何か別の要素が必要かもしれない」
「そうかもしれませんね〜」
「だからまずは中級ジョブのレベルを上げながらもう一方で経験値獲得が特殊な【見習い農家】に転職すれば無駄がないと思わないか?」
「要するに他の情報が出るまでの時間が無駄にならん様にするのが目的って訳やな。そんで俺が図書館とか聞き込みで別の要素がないかの情報収集すると」
「ソーイチの情報収集力は間違いなくMJOでトップだからな。他のプレイヤーが定石通りに次の【見習いジョブ】を育ててる間に俺らは中級ジョブのレベル上げに専念する。そしてソーイチが派生ジョブの情報を手に入れたら【見習い農家】で手に入れた資金を元手に一気に巻き返す」
「ゴールドもやけどポーションの材料育てたらアイテムでも圧倒出来るしな」
「そうだな。ポーションの争奪戦が激しく、狩りでは節約した立ち回りが主流になりつつある。その中で俺らは普段通りに出来るのもかなりのアドバンテージになるだろう」
「収穫まで時間掛かるけど今の手持ち分を惜しまず使えるのは大きいですね」
「これなら予定通り【見習い農家】になっても良いよね!」
ユサタクの説得により不安が払拭されたのか【見習い農家】に転職しようという空気が再び広がってきた。
(散々不安を煽ってからのこれはマッチポンプっぽいけど、不満の種を潰す為には必要やろな)
「今言った事以外にもクランに一定数の【見習い農家】がいると特別クランクエストが受注出来たり、【地主】の称号持ち10人以上で何かが起きるとソーイチの情報収集の結果わかっている」
今朝仕入れたばかりの情報を披露すると迷っていた空気が完全に無くなっていた。
「以上の理由から転職可能になり次第、全員【見習い農家】を選んで欲しい。異論はないか?」
メンバー全員に問いかけるがもう誰も反対意見が挙がる事は無かった。
tips
ベータテストから転職システムが変更された理由
転職が自由だと全員がテンプレ的な行動しか取らない恐れがあった。そこで敢えて不自由なシステムへ変更にする事でプレイヤー毎の個性や戦略性を高められる様にしたかったようである。
【ユーザータクティクス農民化計画】大成功!ここまで長かった・・・。
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