39.読書と仲間達の活躍
冒険者ギルドに到着した俺はフレンに挨拶した後、いつも通り依頼書作成の部屋へと向かった。
「おはよう、ソーイチ!」
「おはようさん、今日もよろしくな」
トーマスに挨拶をし早速依頼の作成に取り掛かる。まずは1枚手書きで作成した後、経験値を確認するとキャラが6exp、【見習い司書】が8exp増加していた。
(10%増加で本来はキャラ5.5expで司書は7.7のはずやし
端数は四捨五入やな)
気になっていた小数点以下がどうなるのか確認した後は【2枚刷り】をMPが尽きるまで放ち続ける。
途中、キャラと【見習い司書】のレベルが上がったおかげでMPが尽きた頃には77枚の束が積み上がっていた。
(結構コピー出来たな。MPも尽きたしステータス見るか)
その結果に満足しつつレベルアップ後のステータスを確認する。
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ソーイチLv6(3,448/5,000EXP)
見習い司書Lv6(2,370/3,500EXP)
見習い農家Lv5(1,830/2,200EXP)
HP:107/107 MP:1/121 ST:112/112
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(うんうん、成長してるな〜。ただ次のレベルまでは遠いしあれやるかな?)
レベルの上昇に満足しながらも更なる成長の為にトーマスにある許可を取る。
「トーマス、MP使い切ったんやけど回復中に読書してええか?」
「もちろん良いよ!ボクも昨日ソーイチが目を瞑って回復してる間に読んでたしね!」
「そうなんか。じゃあ遠慮せずに読むか」
そう言いつつ俺は図書館で借りた本の中から【農業のコツ①見習い編】を手に取った。
(おお!農業についての基礎知識以外に農業系スキルの取得方法と効果が載ってる!肥料についても載ってるしマジで助かる)
見習い版だけあって基礎的な知識が殆どだったがスキルの効果や習得法やアイテムなど今の俺に必要な情報に興奮が止まらない。
そのまま2時間かけて読書した結果以下の知識を手に入れた。
【スキル】
【耕す】
効果:スキルLv×1%の確率で収穫時1つ作物が増加する
習得法:アーツを使用せず50回農地を耕す
【水撒き】
効果:スキルLv×1%の確率で収穫時1つ作物が増加する
習得法:アーツを使用せず50回水撒きを行う
【種蒔き】
効果:スキルLv×1%の確率で収穫時1つ作物が増加する
習得法:アーツを使用せず50回種まきを行う。
【収穫】
効果:スキルLv×3%の確率で収穫時1つ作物が増加する
習得法:アーツを使用せず50回収穫を行う
【アイテム】
【白い灰】
効果:1個で農地1つ分に効果がある。収穫量増加の可能性が僅かに上がる。
入手法:錬金失敗時に入手出来るアイテム
(全部欲しいな!【水撒き】はシイタケ栽培ですぐ習得出来そうやけど他は殆どやってないな。昨日種蒔いた分の収穫が16時半で朝の分が18時半に収穫可能か。2時間あるし最初の方は手作業でやるか)
金遣いの荒い自分にとって収穫率アップの恩恵が大きく、一刻も早く習得する為今の内から予定を立てる。
(MPは・・・まだ半分以下か。瞑想してないとはいえ遅いな〜。仕方ないしもう1冊読むか)
そう考えて2冊目に手をかけた時、
《ユサタク様がプレイヤーで初めて【見習い斧戦士】のレベル上限に到達いたしました》
《ユサタク様がプレイヤーで初めて【見習い木こり】のレベル上限に到達いたしました》
《フワフワ様がプレイヤーで初めて【見習い付与魔術師】のレベル上限に到達いたしました》
と立て続けにワールドアナウンスが流れ、その直後にユサタクからコールが入った。
『今のアナウンス聞いたか?』
『おう!ユサタク上限達成おめでとう!フワフワも確か同じクランやろ?』
『もちろん!ただ他のメンバーは【円卓の騎士】連中がすでに達成して流れなかったな』
『それは残念やな』
『だがこれでクラン設立までの依頼達成まで漕ぎ着けたから、急いでそっちへ戻るよ』
『マジか!あとどれくらいかかりそうや?』
『オープニング含めて後1時間くらいだな。勿論クラン設立に立ち会うよな?』
『勿論!ギリギリまで依頼書作成したいから作成の直前で呼んで』
『わかった』
ユサタクとのコールを終えた俺は2冊目を読むのをやめて目を瞑る。
(ユサタクからの到着まで完全回復の体勢でいるか。【瞑想】のレベル上げもしたいしな)
時間を有効活用する為に、回復体勢に入った俺に疑問を覚えたのかトーマスが話しかけてきた。
「あれ?もう読書は終わり?」
「ああ、友人からコールが入ってな。あと1時間後にクラン設立の手続きするから2冊目はお預けや」
「おお!ソーイチはもうクランを立ち上げるんだね!」
「まあ、俺はリーダーちゃうけどな」
「そうなんだ?じゃあリーダーってどんな人?」
「ユサタクって言うんやけど知ってる?」
「ああ!彼もソーイチ程じゃないけど評判良いよ!」
「ホンマに?」
「うん、渡り人さんのトップって戦闘ジョブが殆どだからね。その点ユサタクくんは片方は生産系だし行くのが面倒な森の木材を採ってきてくれるから助かるんだよ。トラブルも起こさないしね!」
「なるほど、でもトラブルってそんなに起きてるん?賞金首の制度が出来るのは聞いてるけど」
「そうだね。この町の住民との小競り合いは沢山起きてるし、いつ大きな事件が起こるのか怖がってる人もいるよ」
「マジか」
「それに、命を大事にしない渡り人さんもいるしね」
「ああ、門限破った奴もいるしな」
「知ってるの?まあ、閉門時間以降もフィールドにいるの自体は良いんだけど全滅するのはいくら復活出来る渡り人さんでも好感が持てないな!」
「トーマス以外も全滅する渡り人は嫌ってる感じ?」
「そうだね。頑張ってくれるのは有難いけど・・・って意見が大半だね」
(この反応的に好感度ダウンもデスペナに隠されてる?まあ好感度自体がマスクデータっぽいし仕方ないけど)
「じゃあリーダーには無茶せんように言っとくわ」
「お願いね!図書館には野外宿泊についての本もあるしそれ読んで教えてあげてね!」
「そんな本もあるんか!じゃあクラン設立後に急いで借りにいくわ」
これからお世話になりそうな情報を手に入れた所で、
《ユサタク様がプレイヤーで初めて斧戦士に転職いたしました》
《ユサタク様がプレイヤーで初めて木こりに転職いたしました》
《フワフワ様がプレイヤーで初めて付与魔術師に転職いたしました》
ユサタク達が中級職へランクアップした事を告げるアナウンスが流れた。
tips
書籍紹介1【農業のコツ①見習い編】
農家の家には必ず置いてある不朽の名作
アーツを使わない農作方法や基本的なスキルや肥料など正に初心者向け。
ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。