38.【小作人制度】と新情報
「【小作人制度】って俺の農地の水撒きとかを友達が代行出来るようになるって事?」
管理する農地が増えてきてSTが厳しいかなと思った所に一気に解決できそうな機能解放に驚きながら聞き返す。
「ええ、小屋の時と同様に初期設定は必要ですが耕す所から収穫まで全てを他の人も行えるようになります」
「マジか。農地増えて管理が難しく感じてきたとこやったから、他の人にお手伝いして貰えるのはありがたいわ」
「そもそも畑仕事って周りの人達と協力していくものですしね」
「なるほどね〜。ちなみに収穫まで任せれるって話しやけど、その場合作物は収穫した人の物になるん?」
フレンド達とはいえ他人でも関われる様になると出てくる問題点について質問する。
「その点は個別に設定すれば大丈夫ですよ」
「どう言う事?」
「耕作・種蒔き・水撒き・収穫と段階毎にお手伝い可能かどうか設定が出来るので収穫のみ自分限定にする方法があります」
「それはええな!」
「後は回収ボックスを購入された場合は、どなたが収穫したとしても作物が自動的にボックスへ収納されるようにも出来ますね」
「便利やな〜。おいくらするん?」
「魔道具ですので1万ゴールドとお高くなってます」
「マジか・・・。でも自分がその場に居なくても収穫できる事を考えたら買い一択か」
「そうですね。【地主】持ちの農家の方はみんな持ってますよ」
(どうやらMJOの世界じゃこれが常識みたいやな)
値段は張るが農業ギルド一推しの便利すぎるアイテムにゴールドが貯まれば即購入する事を心に決める。
「でも土地持ちの俺は良いとして代わりにやってくれる人にはメリットあるん?」
「もちろんです!駆け出しの農家の方は時間はあるけど土地はない人ばかりですからね。自らのレベルやスキルを育てる為に無償でもやりたい人は大勢います」
「タダでも!?まあモンスターの相手は危険やしリスク無しでレベル上げれるのはデカいんかな?」
「そうですね。また冒険者と兼任されてる方達は閉門後の経験値稼ぎにもなるので仲の良い土地持ちの方と畑で談笑しつつSTが回復するたびに側の畑にアーツを使って経験値を稼ぐと言うのもよく見る風景ですね」
「おお!それは良いな!食糧問題解決の為に実は俺が入る予定のクランメンバーに農地を持たんかと勧めてるんやけど、戦闘職が多いし説得出来る材料を探してたんよ。でも管理を他メンバーと共同で出来る様になる&閉門後の経験値稼ぎが出来るならみんな協力してくれそうやな」
「まあ!そこまで町の事情について考えて下さってたんですね!それなら私もちょっとした情報をあげちゃいましょう」
「マジで!それはありがたいわ」
「では、所属クラン内に農業ギルド登録経験者が10名以上いる場合、特別クランクエストを受ける事が出来ます!」
「おお!特別依頼のクラン版やね!どんな内容?」
「3桁単位での納品やノアの住人の畑仕事のお手伝い等ですね」
「お手伝いもか。余裕出てきたら受けるの有りやな」
「特に昔からの農家さんは非売品の種とか報酬になってるので受けるのはオススメです」
「非売品か!なんの種やろ!?」
「ふふ。嬉しそうですね」
「茶化さんといて」
微笑ましく見るアレンに照れながら返す。
「ごめんなさい。お詫びにもう1つ。クランに10人以上【地主】所持者がいる場合良いことがありますよ」
「新称号とか!?」
「どうでしょう?それは確かめて見てからのお楽しみです」
「焦らすな〜、でもこれで説得が更にやりやすくなったし必ずメンバー全員に農地持たせるから楽しみにしといて!」
「ええ、心よりお待ちしておりますね」
貴重な情報を聞けた俺は収穫の為一旦帰ると告げギルドを出た。
(マジでええ情報やったな。時間的に狩り中と思うしコールで内容だけ送っとくか)
ユサタクに今の話を要約しコールを送った頃、
《アーサー様がプレイヤーで初めて転職いたしました》
《アーサー様がプレイヤーで初めて中級職に転職いたしました》
《アーサー様がプレイヤーで初めて騎士に転職いたしました》
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【円卓の騎士】の転職ラッシュが始まった。
(序盤とはいえPP獲得数がやばいな。幸い俺やユサタクのジョブは無いけど早いとこ追いつかなあかんな)
どんどんとチームレベルでPP獲得数に差がつく事で焦りが出てくる。だが職業的にレベルアップまでの近道がない為、少しでも差を縮めるため農地へと走って向かった。
(収穫までもうちょっとやな。間に合うようにポトフ食うかな)
経験値10%アップの恩恵を得るためポトフを大急ぎで食べる。
収穫可能になった後は30分ほど時間をかけてジャガイモとカブを1地区ずつとシイタケを40株を、アーツと手作業を駆使し収穫した結果、ジャガイモ15個、カブ14個、シイタケが53個収穫出来た。
(1回目の収穫終わったけど原木は2度目の水撒きはいらんみたいやな。【見習い農家】のレベルが上がったとはいえ、経験値獲得チャンスが増えなくて少し残念)
簡単に経験値が稼げる霧吹き作業が行えずガッカリしながらも空いた農地にカブとジャガイモの種まきを行い、その後ステータスを確認する。
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ソーイチLv5(3,214/3,300EXP)
見習い司書Lv5(2,058/2,200EXP)
見習い農家Lv5(1,830/2,200EXP)
HP:94/94 MP:106/106 ST:1/99
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(ポトフの効果はジョブ補正後に追加じゃなくてベースの経験値に10%プラスの効果みたいやな。コピーにも反映されるし収穫した分の納品は夕方にして先に冒険者ギルドに向かうか)
ポトフの効果時間の内になるべく経験値を稼ぐため、俺は急いで冒険者ギルドへと走っていった。
tips
(特別)クランクエスト
クランを結成していると受ける事が出来るクエスト。
通常のクランクエストはジョブ関係なく受ける事のできる討伐依頼や採集依頼。
特別クランクエストは募集してる技能を一定人数以上習得している場合に取得する事ができる。そのため依頼内容はさまざまである。
ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。