3.待機ルームとステータス確認
キャラ作成より数日後の4月1日の朝、直近の予定を全て終わらせ、食事もカレーを大量に作り、更にレトルトや缶詰を買い揃え完全に引きこもる準備が完了した。
「ご飯よし!掃除・洗濯よし!トイレよし!予定無し! これで完全にゲームに専念出来るな〜。準備万端にし過ぎた気もするけど、ネタ集めとはいえ本気でゲームしたいな」
言い訳じみた独り言を呟きながらサービス30分前ではあるが、早速ゲームを起動した。
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数日振りに訪れた部屋には以前はなかったテーブルと椅子が置かれ大型薄型テレビが壁に設置されていた。
テーブルに置かれたリモコンのボタンを押すとMJOのオープニングムービーが流れ出した。
「暇つぶしと世界観説明に用意したってとこかな?家でも見たけど大画面やと更に迫力あるな〜」
白熱した戦闘シーンや戦争の傷跡残る街の悲痛さ、それでも立ち上がる人々など様々なシーンで心が揺さぶられる。夢中になって鑑賞し続けたムービーが終わった頃、部屋の中に黒髪で筋肉隆々の大男が入ってきた。
「えっと、どなた?ここ個人毎の部屋やと思ってたんやけど・・・」
「拓也だよ。待機ルームはフレンドなら入れるからな、ソーイチ」
「拓也かい!ゴツいな。ここではなんて呼んだらいいんや?」
「ユサタクと呼んでくれ」
何故かボディービルダーのようなポーズで名乗る拓也。
「ユサタクって名前短縮しただけやん」
「いや、名前そのままのソーイチには言われたくないぞ」
(確かに・・・)図星を突かれたが誤魔化しながら疑問に思ってた事について尋ねる。
「そ、それよりお前チームのリーダーやろ?開始前はミーティングとかあるんちゃうん?」
「準備は完璧で問題なし!何かあったらコールも入るしな。それよりソーイチに知らせたほうが良いことがあるから来た」
「知らせたいこと?」
「今の時間でステータスとスキルの詳細が出るようになってたから、ソーイチも今のうちに確認したほうがいいと思ってな」
「マジか!?どうやんの?」
「ステータスオープンと思い浮かべたら出てくる」
「王道やな、ステータスオープン!」
右手を前に突き出し若干格好つけながら唱え、ステータスを確認する。
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NAME:ソーイチ L v:1(0/50EXP)
称号:
HP (体力):30/30
MP (魔法力):45/45
ST (スタミナ):30/30
STR(筋力):G DEX(器用):F
INT(知力):F DEF(頑強):G
AGI(俊敏):G LUK(幸運):G
ジョブ メイン 見習い司書Lv:(0/50EXP)
サブ 見習い農家Lv:(0/50EXP)
メインスキル(5/5)大陸語Lv1/古代語Lv1/エルフ語Lv1/待機Lv1/メモLv1
アーツ:見習い司書:消費MP0/見習い農家:消費ST5/メモ:消費MP0
控えスキル
所持金:5000ゴールド
持ち物:初級ポーションx5 初級MPポーションx3 初級STポーションx3
スキルアップポーションx1
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「作成時よりだいぶ情報増えてるな〜、この中で大事そうなのある?」
見覚えのない項目を見ながら拓也に尋ねる。
「まずステータスだけど、MPは魔法系アーツ、STは主に物理アーツに使用する。他は大体のゲームで一緒やから説明は省くぞ」
「オッケー、それでアーツはスキルレベルが上がったら覚えるって考えで合ってるか?」
「さすがファンタジー系のラノベ作家先生は、よくわかってるね〜」
(急にテンション上げるやん)と思いながらも更に質問を続ける。
「茶化すな。それでスキルの5/5ってなんや?」
「メインスキルは今の自キャラに反映できるスキルでその上限が5つまでって意味。これは条件次第で増えるらしいから今後に期待だな」
「ふむ、じゃあ、控えスキルと入れ替えは可能なんか?」
「控えスキルとサブジョブは教会で変更できるし、バンバン入れ替えていいと思うぞ」
「じゃあ、古代語とエルフ語はしばらく控えにするかな?」
「それがいいと思う。っと、5分前やしチームの方に戻るわ。スキルの効果はスキル名をタッチしたら出てくるから自分で調べといてくれ」
「りょーかい。こっちは不遇職だしまったり進めるわ」
拓也と別れた後、一通りのスキル内容を確認し終えた時に部屋中に声が響き渡った。
「渡り人の皆さん、大変お待たせいたしました。これよりMJOの世界へと転送いたします。私どもの世界を楽しみ、そして復興に手助けしていただける事を願います」
その言葉と共に視界が歪んでいった。
tips
ステータス
HP・MP・ST以外のステータスがABC表記になっているが、実はシステムで数字に変更が可能となっている。だが、一部のスキルにより盗み見ることが可能であり、賞金ありのMJOでは致命傷になりかねないので、検証勢以外は基本的にABCから変更無しでプレイしている。
本日は18時にもう 1話投稿予定です