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35.宴会と食レポ

「今日もお疲れ様って事で乾杯!!」

「「乾杯!」」


俺の掛け声と共に宴会が始まる。出された料理を食べる前にモチョが一言、

「あっ、共有モードにするんで少しお待ちを」といってシステムを変更する動作をする。

「出来ました!では今度こそ乾杯です」

共有モードが何か気になるがとりあえず目の前の酒と料理に専念する事に。因みに本日モチョが作ったのは、


ブラウンボアと採れたて野菜の塩炒め

じゃがバター

カブのピクルス

たっぷり野菜のポトフ(〆用なのでまだ出されていない)


の4品である。


「これはエール系か?いつも飲むラガータイプと違って冷えて無いけど香りがええな。炭酸も少ないけど微かな苦味とコクがアクセントになって料理とも合いそうやな」

「そうですね。私もこのタイプのは初めてです。ビールなのにワインっぽいと言うか」


「そりゃエールは材料こそ違うが楽しみ方はワインに似てるらしいからな。まったり飲んで行こうや」

「そうだな。俺もギルドにラガータイプがなくてガッカリしてたがこれもアリだろう」


普段飲まないタイプのお酒に対してにわか知識がどんどん出て来る。

ある程度酒を堪能した所で次は料理へと箸を伸ばす。


「カブのピクルスって珍しいな。漬物なら家でも食べるけど」

「今働いてるお店の名物メニューなんですけど、今日の飲み会の話をしたらレシピを教えて貰えたんです」


「そんなレシピ獲得のケースもあるのか。NPC相手とはいえ積極的にコミュニケーションは取らないとダメそうだな」

「そんな固い話は後ででええから料理を楽しんだらどうや?カブのポリポリした食感と甘酸っぱさでお酒が更に進むで」


「おい!俺の分まで食うなよ!」

「あはは、他にも料理あるんでそっちも食べて下さいよ〜」

モチョの勧め通り別の料理も食べ始める。


「じゃがバターはリアルと同じ味やな。でもジャガイモのアチアチホクホク感やバター絡めた時の濃厚さを出せるってこのゲームヤバ無い?」

「ヤバいな。ここまで再現度が高いとダイエットや病気で食事制限しないと駄目な人達のオアシスになるかもな」


「確かに!賢いな」

「ソーイチも飲み過ぎでそうなるかもと思ったら思い付いた」

「おい!縁起でもないこと言うなや」


「じゃあ、まずは節酒だな」

「うう〜、ここで呑んで満足する」

暗そうな未来を振り切るように1杯目を飲み切る。


「さて、メインディッシュと行くか」

2杯目をグラスに入れた俺はいよいよメインである【ブラウンボアと採れたて野菜の塩炒め】に箸をつける。


まず最初に感じるのがキャベツ、人参、玉ねぎのシャキシャキした歯応え。更にシンプルな塩味のお陰で野菜の甘みが際立ちそこから更に野生味と旨味がたっぷりのブラウンボアのバラ肉を一緒に口の中に入れる事により料理のステージを更に上げていた。


「最高やな!これ塩だけの味付けやのにめっちゃ美味いやん」

「ありがとうございます。でもソーイチさんの野菜やリーダーのお肉に助けられてる部分が大きいですよ」


「そうかな〜」

「ええ、まだ調味料が殆ど見つかって無いんでシンプルになっちゃうんですよ。だから旨みが強いお肉と野菜が使えるこの環境は料理人からしたら天国ですね!」


酔いが回ったのか頬が少し赤くなったモチョが如何にいい素材なのかを早口で捲したてる。

「そこまで褒めんでもええよ。ありがとうな」

「俺も狩りの副産物だしな。それより調味料が無いって本当なのか?」


「はい、塩、胡椒、砂糖、お酢とコンソメボールというお肉や野菜を錬金して作るスープの素くらいですかね」

「それは少ないな〜。大豆系が全く発展してない世界なんかな?」


「醤油も味噌もないからな、明日は大豆植えたらどうだ?」

「そやな。米が見つかる前に醤油・味噌は確保しときたいしそうするか」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

この世界で和食を食べるため、次回の作付け分を決定する。


「じゃあそろそろ〆のポトフでも食べよか。」

「〆にしてはボリューム凄いがな」

「ちなみにこのポトフは聖水を使用して作ったのでアイテム性能も確認して下さい。個別モードにしてるんで」

そう言いながら大鍋からポトフをお椀に取り分けていく。


「そいえば気になってたんやが共有モードとか個別モードってなんなん?」

「ああ、それはモードによってアイテムの効果が変わるんですよ」


「マジで?」

「ええ。共有モードは1つの料理を複数人で分け合うことができるモードです。そのため満腹度以外の効果が消失してしまうんですよ。逆に個別モードは1人専用なので効果はそのままなんです」


「なるほどな〜。一口食べるのも全部食べるのも同じ効果やったら不公平やし共有モードで効果を減らすんは納得やな」

「ですよね。ただポトフは一人分がお椀一杯分なんで個別モードで対応できるんですよ。聖水の効果も見たかったんで丁度良かったです」


説明しながらモチョがお椀を差し出す。ウインナーと野菜たっぷりのポトフは見た目と香りのせいで、すでに結構飲み食いをしてるはずなのにいくらでも入ると錯覚してしまう。


「はよ食べたいし先に効果確かめよか」

「そうですね」

そうして聖水入りのポトフの情報を見ると、


たっぷり野菜のポトフ:ブラウンボアのウインナーと4種類の野菜を聖水で煮込んだポトフ。

満腹度50%回復 ST20回復 食後1時間、獲得経験値10%上昇


盛りだくさんの効果であった。


tips

コンソメボール

3種類以上の食物アイテムを組み合わせて錬金のアーツを使用すると作成が可能。

組み合わせ次第で味や効果が変わるため、錬金術師ごとに秘伝の調合があると言われている。




ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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[良い点] 少しずつ君の世界を知る...もどかしいー [気になる点] 豚肉とお酒はきになるけど... アレルギーとお腹がダメ弱い (´•ω•`) [一言] 朝なのに肉を食べたいよおおぅ!! (┛✧Д✧…
[一言] 飯テロ ご飯の描写がうまい
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