32.新しい作物と農業ギルドの悩み
ユサタクとのコールを終えた俺は作物が実るまで少しの休憩をする。数分後収穫可能のシステム音が立て続けに鳴り響く。
「流石に8面分のシステムアナウンスはうるさいな。まあ、気付かんよりはマシか」
少し愚痴をこぼしながらも収穫を続けていく。その結果収穫できたのが、
ジャガイモが28個、カブ・小麦・人参・キャベツ・薬草・玉ねぎをそれぞれ13〜15個ずつ収穫ができた。
(さて、納品に行くかな。玉ねぎはモチョの分やから間違えて出さんようにせんとな)
収穫量を確認し終えた俺は、提出可能の作物を【メモ】し、早速農業ギルドへ向かった。
「こんばんは、いっぱい収穫してきたんやけど、この中で受けれそうな依頼ある?」
挨拶をしながら先程書いた【メモ】を見せると、
「まあ、沢山ありますね。全ての作物で10個納品の依頼がございます」
「おお、それはよかった。その依頼っていくら?」
「そうですね。収穫時間ごとで同じ価格なのでそれぞれ見本をお見せしますね」
そういってアレンは2枚の依頼書をこちらへ手渡した。
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ジャガイモを10個納品:報酬 1,500ゴールド CGP40 AGP20
小麦を10個納品:報酬 2,500ゴールド CGP70 AGP35
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(こうしてみると、時間当たりの効率は圧倒的に12時間系統の方が上やな。ただプレイヤーに販売する場合は逆に値段釣り上げれそうかも)
12時間系統と22時間系統の依頼を見比べた俺はどちらが得かを考察する。
「どうされます?」
「じゃあジャガイモ20個と後が10個ずつ納品するわ」
そう言って対応する依頼書と作物を同時に提出する。
「確認いたします・・・。はい、ジャガイモが20個、カブ、小麦、人参、キャベツ、薬草が10個の納品依頼全て達成ですのでソーイチ様には1万4,500ゴールドと400CGP、200AGPを付与致します。また累計CGPが200ポイントを超えましたので生産職ランクをEランクへと昇格させて頂きますのでギルドカードをこちらへお願いします」
「ランクきた!カードどうぞ」
いつも通りカードを提出して手続きを待つ。
「お待たせしました。カードをお返し致します。只今よりソーイチ様はEランクとなります。おめでとうございます!」
「ありがとう!」
「また今回も購入出来るものが増えましたので後ほどご確認ください」
「りょーかいです。」
早速俺は返却されたギルドカードを確認する。
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NAME:ソーイチ
冒険者ランク E(400/5,000AGP)
生産職ランク E(480/5,000CGP)
(登録ギルド:司書・農業)
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「よし、ランクアップした事やし早速購入出来るリスト見せて」
「はい、こちらをどうぞ」
アレンから渡されたリストには新しく
【キノコ小屋】3,000ゴールド
【シイタケの原木】100ゴールド
が追加されていた。
「このキノコ尽くしはなんなん?」
「【キノコ小屋】は農地を1地区使用して建てれる物件です。この中ではキノコ系の原木を最大20本栽培する事が出来ます。ちなみに収穫までのアクションは水やりと収穫の2つだけとなっております」
「STの効率は良さそうやけど原木高くない?」
「こちらの原木ですが12時間毎に1〜2個を合計3回収穫出来るんですよ」
「通常の3〜6倍か。因みに依頼はどんなもん?」
「シイタケですと12時間系依頼と同じ価格ですね」
「原木1株買ったら300ゴールド以上の利益で1地区20株まで栽培可能なんか。やばく無い?」
「キノコ系は食用以外に錬金術でも活用出来るので需要が高いんですよ。」
「なるほどな〜」
新要素を確認した俺は
【キノコ小屋】2棟:6,000ゴールド
【シイタケの原木】40株:4,000ゴールド
【南地区の農地】1地区:2,000ゴールド
カブ・ジャガイモ・人参・キャベツ・玉ねぎ・薬草・レタス・ピーマンの種×10粒:2,400ゴールド
の合計1万4,400ゴールド分買い上げた。
(また所持金がほぼゼロやけど今回は後悔全くないな。明日から楽しみや)
「今回も一杯買い物しましたね!」
「まあ稼ぎも増えるし町の為にもなるやろ?」
「そういえば教会に野菜の差し入れして下さったらしいですね」
「もう話出回ってるん?」
「ええ、嬉しそうに話してましたよ」
「それは良かったけど結局聖水と交換になったし却って得してる気がするわ」
「そうかもしれませんが気持ちが嬉しかったんだと思いますよ」
「それならええけど。それより俺らが来て2日目やけど農家なる人増えた?」
食料問題を抱えた状況から進展があったのか聞くとため息をつきながらアレンは答える。
「それがまだ全然でして」
「マジで?そろそろ渡り人全員がFランクなっててもおかしく無いのに」
「ですよね。でも現状は農家を選んだ渡り人は少ないですし農地の売れ行きも用意した分の0.1%以下しか埋まって無いんですよ」
「確か3万地区やったよね」
「ええ」
「じゃあ30以下なん!?売れてる農地のほとんど俺やん」
「その通りなんです!このままじゃこの町の食糧事情が本当にマズくなりそうで。何かアイデアとか無いですかね」
「う〜ん、思いつかんな」
「そうですか・・・。このままじゃ他の町への支援どころかこの町の存続も怪しいですね」
「えっ?他の町への支援?」
「あ!?気にしないでください!」
「怪しいな〜」
アレンの独白を深掘りしようとしたがはぐらかされてしまう。
(どうもこの町から他の町へ支援してるみたいやな。でも島には他の町ないけど一体どうやってるんやろ)
少しずつピースは集まってきたが結論にはまだ足りない。
「と、とにかく農家の方を増やすいい案が浮かんだら教えてくださいね」
誤魔化しも含んでいたがアレンの切実なお願いを聞きながら俺は帰途へとついた。
tips
MJOにおけるキノコの使い道
①そのまま料理に使用する。
②旨み成分を抽出し調味料として使用する。
③一部の錬金アイテムを作成する際に使用する。
ブックマークや評価していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。