27.本の貸し出しと物々交換
シナリオの都合上、1ヶ月の暦の名称を、「天の月」を「陽の月」に、「地の月」を「冥の月」に変更しました。
(これでPP獲得は9回目、何回聞いても嬉しいもんやな。それにスキル枠増えたしあとで教会いかなあかんな)
2種類のアナウンスを聞き次の予定を決める。
アナウンスを聞いたのか、ユサタクからお祝いと同時に話したいことがあるとコールが来たので1時間ほど後に折り返すと返事をした後、改めてシーラと向き合う。
「登録おめでとうございます。これよりソーイチ様はここから右側の1〜3番の棚にある書物の閲覧と貸し出しの許可が与えられます」
「貸し出しもやってるんやね」
「ええ、司書ギルドは本当に稼ぎが少ないので兼業の方も多いんですよ。そういった方々が少しでも読書の時間を増やすために貸し出しを行なっています」
「でも、返却忘れたり無くす人とか出てこないん?」
「貸し出しされる本はスキルにより一時的に複製された本なので紛失などの心配はございません。また、返却期間が過ぎますと延長手続きをされない限りは開けなくなる仕組みとなっております」
「セキュリティがしっかりしてるな〜。ちなみに貸し出し期間ってどれくらいです?」
「1回の貸し出しで3冊まで、期間は16日間となっております」
(リアルで48時間って所か。寝る時間とか入れたら妥当なんかな?)
「ちなみに1ヶ月500ゴールドお支払い頂きますと特別会員となり1回で5冊まで、期間も24日まで貸し出し可能となっております。」
「逆にお金取るんかい!」
「経営が本当に厳しくて・・・」
(ここも不遇ポイントなんか?それよりMJOで1ヶ月って何日やろ?体感8倍やから現実と同じやったらめんどいけど)
「ちなみにこの世界の1ヶ月って何日です?」
「ああ、暦が違うのでしたね。こちらでは1ヶ月224日〜248日です。ちなみに本日は陽の月の5日目ですね」
「月は数字じゃ無いんやね」
「ええ、【陽の月】と【冥の月】が交互に巡っていくんですよ」
「じゃあ、1年は2月ごとってこと?」
「その通りです」
(めっちゃ雑かと思ったら変に凝ってるとこもあるな)
運営の力の入れ所がわからず困惑する。
「まあ1ヶ月がそんなに長いんやったら登録するわ」
「ありがとうございます」
こうしてシーラの勧め通り特別会員になった。
(流石にこのレベルじゃアナウンスなしか)
少しだけ期待してたが流石に甘くはなかったと納得する。
「それじゃあ、早速本選んで来るけどおすすめの本はある?」
「そうですね・・・。では【モンスター情報①ノア周辺】・【採集図鑑①ノア周辺】・【ノアの歴史】・【図書館の歩き方】の4冊と興味のあるジョブ関連を選ぶのがおすすめですね」
「じゃあ、おすすめの本探してきます」
「今挙げた本は全て1の棚に置いてますよ」
「教えてくれてありがと〜」
シーラにお礼を言いつつ早速1の棚でおすすめの本を探す。5分ほどでおすすめの本と【農業のコツ①見習い編】を手にカウンターまで戻ってきた。
「では、以上の5冊の貸し出しが完了しました。こちらはスキルでのコピーなので汚しても弁償はありませんが大事に読んであげてくださいね」
「自分も本好きなんでそこは大丈夫です。ではこれで失礼します」
別れの言葉をいい司書ギルドを出る。
(さてと、これからどうしよ?まずはユサタクに頼まれた土地と種買いに行って、それから教会でエルフ語をメインに戻すか。あっ、野菜余ってるしいくつか差し入れもしとくかな)
次の予定を決めた俺はまず農業ギルドへと向かう。
「いらっしゃいませ、ソーイチさん」
「こんにちは、買い物しに来ました」
そう言って早速南地区の小屋付きを1地区購入する。
「そういえば、今日生産職ランクがFに上がって冒険者もEになったんやけど何か出来るようになった事ってある?」
「まあ、冒険者ランクがEになったんですね!おめでとうございます」
「ありがとう」
「そうですね〜。まず生産職ランクがFに上がった特典は所持可能農地が15から30へ増えた事ですね」
「農地って所持制限あったんやね」
「ただ街の農地は全て合わせて3万とかなり余裕があるので食料事情を加味して生産職ランクをEまで上げれば所持制限を解除しようかという流れになってますね」
「じゃあ農地を一杯持てるよう頑張らんとな」
「ええ、頑張って下さい。それと冒険者ランクの方ですが、当ギルドの特典はないですね」
「無いの!?」
「ええ、生産職は自身の技量が最重要なので基本的にはジョブを成長させないと特典がつかないんですよ」
「なるほどね」
こうしてランクアップの特典を確認し終えた俺は次の目的地である教会へと向かった。
教会の前で遊んでいる子供達に挨拶をして礼拝堂に入る。
クリスは席を外してるようだったのでまず祈りを捧げ、【エルフ語】をメインスキル枠に移動させると、
「ソーイチさん来られてたんですね」
「ええ、スキルの入れ替えと差し入れを」
そう言って手持ちのジャガイモとカブを全て差し出した。
「朝とれたばかりの野菜です。依頼のあまりですので気にせずどうぞ」
「これは助かります。野菜の値上がりが始まりそうなので差し入れは本当に助かります。そうだ!代わりにこちらをどうぞ」
そう言ってクリスは8本の瓶を差し出した。受け取り説明を読むと、
聖水x8:シスタークリスの祈りが込められた水。様々な用途で活用することができる
「これは畑の水撒きからポーションなどの水素材の代用、武器にかけると10分間の聖属性の付与とできる事いっぱいあるのよ」
「めっちゃ凄そうなアイテムですやん」
「気にしないで。私にとっては祈りを捧げると作れますからね。子供達への食事に変わるなら喜んでお渡ししますよ」
「マジですか。色々使い道ありそうなんでたくさん欲しいんやけど、いくつまで交換できます?」
「そうね〜。食材1個と聖水1本交換で1日10本までにしようかね」
「おお!それじゃあ明日も一杯食材差し入れに来ますわ。ちなみに瓶はどうします?」
「できるだけ持ってきてくれるとありがたいね〜」
「じゃあ次の差し入れの時に持ってきます」
こうして俺とクリスの物々交換が今後も続くこととなった。
tips
MJOの週・月・年
MJOでは体感時間が通常の8倍である為、暦が現実と違っている。
1週間は8日(現実で1日)
1ヶ月は28〜31週間
1年は【陽の月】と【冥の月】の2ヶ月間
とかなり特殊になっている。
ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。