23.露店委託とレベルアップ
農地に戻った俺はまずチケットで農地を増やし、その後急いで買い込んだ分の種蒔きを始める。
「もうネットでも宣伝してるらしいし、早いとこ新聞をチームの店に持っていかんとな」
STに余裕があった為、全ての農作業をアーツで終わらせた俺はノア・タイムスまで走る。
「いらっしゃい、ソーイチさん。例の件か?」
「ああ、昨日と今日の2日分のまとめと新聞にマークした奴。ルーカスさんに渡しといて」
「あいよ」
朝からすでにくたびれた様子のコビーにまとめた分を渡し、次の目的地に向けて再度走り出す。
事前にユサタクに聞いていた場所を見るとチームの露店を発見した。並んでいる客も居たので裏側へとまわり売り子の女性に挨拶をする。
「おはようさん、ソーイチです」
「おはようございます。アマネと言います。先ほどはワールドアナウンスおめでとうございます」
「ありがと。それよりユサタクから話は聞いてる?」
「はい、新聞の件ですよね」
「そうそう。もう並んでる人もいるし先に約束のブツをどうぞ」
そう言って纏めた原稿を50部渡すと、アマネからは【初級MPポーション】4本と3,000ゴールドが返ってきた。
「ポーションはともかくお金はなんでや?」
「このお金はソーイチさんの農地に小屋付きを1つ追加して欲しいそうなんですよ」
「もしかして宿屋問題の件」
「ご存じだったんですか?」
「いや、新聞に載ってたからな」
「なるほど。ソーイチさんのお察しの通り泊まる場所が厳しいんですよ。昨日は無事に宿を取れたのですが今後はどうなるかわからないでしょ?保険で眠れる場所をキープしたいとリーダーが言ってました」
「なるほどね、すでにモチョが同じことしてるから問題ないで。ただ、もう冒険者ギルド行きたいから農地増やすんは夕方以降になるかもやけど大丈夫?」
「今日中であれば大丈夫だそうです。後余ったお金の分は魔力草かスタミナ草を植えて欲しいそうです」
「オッケー。あれ時間かかるから気長に待っといてな」
「そう伝えておきます」
「よろしく。俺はもう行くからアマネも売り子頑張ってな」
「ありがとうございます!ソーイチさん、いってらっしゃい」
取引を終えた俺はアマネと別れる。少しして後ろから聞こえるアマネの新聞売り出し開始を告げる大きな声に少し笑いながらギルドの裏口まで急いだ。
「おはよう、昨日の依頼受けたいんやけど」
「おはようございます。では本日も依頼書の作成依頼の受注希望を受理しました。昨日と同じ部屋へお進みください」
フレンから昨日と同内容の特別依頼書を渡された後、トーマスの待つ作業部屋へと進んで行った。
「おはよ〜!今日もよろしくね!」
「トーマスおはよう、昨日と同じ場所に座ったらええんか?」
「うん、席には元となる依頼書あるからこれと同じのをいっぱい書いてね!」
席に座ると置いていたのは昨日と同じベビースライムの討伐依頼書であった。
「さてと早速始めるかな」
そう呟くと早速依頼書を別の用紙に【メモ】していく。
(めちゃめちゃ書きやすいな。大陸語が補正込みでLv3に上がったから多少のズレでも文字判定してくれるみたいやな)
大陸語のレベルが上がった事で昨日は3分かかっていた書き写し作業が1分程で終わらせる事ができた。
「じゃあ、早速コピーしていくか。【2枚刷り】!」
手書きで1枚書き上げた後、覚えたてのアーツを連発していく。
「おお!もう2枚ずつコピー出来るようになったんだね!」
「睡眠ボーナス込みでやけどな」
「そういえば渡り人さんは寝たらスキルに補正かかるんだっけ?どれくらい今日は持つの?」
「11時半までやから後4時間半やな」
「そっか〜。じゃあその間に【メモ】を4に上げるのは難しいかな?」
「どうやったら上がるか知ってるんか?今Lv3なんやけど」
「 Lv3から4にはコピー230枚だね」
「それって2枚刷りの分も含まれるん?」
「普通は含まれるんだけど、今回みたいなボーナス付きじゃどうなるかわからないかな?」
「含まれるとええな。でも目標がはっきりしたしやる気も出てきた」
「うん、頑張ってね!」
応援するトーマスに感謝を述べつつLv3に上がってからのコピー枚数を思い出す。
(昨日の新聞の前半でレベル上がったからここ来た時点では大体7〜80枚か。2枚ありなら今日中に上がるな)
【メモ】が上がるまでの時間を予想しながらもMPが続く限りアーツを使う。
そしてMPが空になったタイミングで聞き覚えのあるファンファーレが鳴り響き
ーソーイチ自身のレベルが4に上がりましたー
俺は更に成長したのであった。
tips
露店
プレイヤー用の一時的な販売店舗
商業ギルドに行き、申請を行えば露店専用のエリアで露店を開くことができる。使用料はゲーム内時間の24時間で500ゴールド
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