21.1/2920と今後の方針
ログアウトを選択した数秒後に自分が現実世界に戻ってきたのだと実感する。
「ああ〜、おもろかった!!起きるまで50分くらいあるし何しよかな」
空き時間に何をしようか考えながら現在の時間を確認する。
(まだ12時になってないやん。あんだけ色々あったのにこっちでは2時間も経ってないんか)
体感時間とのギャップの大きさに驚く。
ゲーム中、ずっと寝転んでいた体が硬くなっていたので軽いストレッチをする。
ただ頭の中では時間のギャップについて考えていた。
(体感時間が8倍やから1年間だと2,920日か。あんだけ色々あったのにまだ0.1%以下かい!?序盤とはいえ盛り沢山やったな。小説のネタもいっぱい手に入ったしまだまだ楽しめそうや)
当分の間は楽しめそうなMJOを思い浮かべながらニヤリとする。
(そろそろほぐれてきたかな?ってタイマーつけるの忘れてた)
アラームをセットし忘れていた俺は慌ててストレッチを切り上げる。
(下手にネタ帳をメモしてたら完全にオーバーするとこやったな。それよりお昼やけどどうしよ?朝メシは遅かったし昼は抜きでええか。時間あるしテレビでも見よかな。MJO特集とかあるかもやし)
少し期待しながらテレビをつける。チャンネルをポチポチ変えていると幾つかの局でMJOの特集が組まれCMもかなりの頻度で流れていた。
(賞金付きの大型ゲームってのもあって初日は民放でも特集はやってるんやな。ゲームチャンネルはどうやろ?もっとガッツリ特番まで組んでないかな?)
そう思った俺は契約しているゲームチャンネルに変える。そこでは期待通りMJOの特番が生放送で放映されていた。録画の準備をしながら眺めていると1日目のハイライトが流れた。
(ソーイチの名前めっちゃ出るやん。小説関連以外でテレビに紹介されるの初めてやからめっちゃ照れるな)
興奮しながらソーイチを連呼するMCに気恥ずかしくなってきたのでテレビを消す。
黒くなったテレビの画面を見ながら、1日目を振り返りつつ自分のプレイスタイルを考える。
(最初はどうせトップは無理と思ってたから、まったりと傍観者で行くかと考えてたけど、だいぶ予定が狂ったな・・・。そこを踏まえて、俺は今後このゲームでどう動くべきなんやろ?はじめの予定通り傍観者でいるのか、このまま全力で挑む主人公になるのか。俺の目的にはどっちがええんやろ?)
小説のネタ集めで始めたゲームだが、選べる選択肢が増えた事でMJOとどう付き合うのが正解か改めて考える。
ただ、自分の中では初めから答えは固まっていたのか5分もしないうちに結論が出た。
(ぐだぐだ考えても仕方ないな。全力で取り組んでこそ生きたネタも転がり込んでくるやろ!傍観者振るのはいつでも出来るし全部出し切るか)
がむしゃらにプレイする事を選んだ俺は早速2日目の朝をどう過ごすのか紙に書き出していく。
(ここでもメモか・・・。やっぱりペンは剣より強いんやな)
ずれたことわざを思い浮かべながらも、取るべき行動をリストアップする。
(俺が朝イチでやるのは①睡眠ボーナスの確認、②農作業、③新聞関連の3つやな。これ2日目以降も同じだしルーティーンに入れるか)
ずっと使えそうな内容であったので、付箋に書き留め机のよく見える位置に貼り付ける。
(それはともかく、まずボーナスの確認やけど【メモ】と休憩3種の確認だけでいいか。特に休憩は1時間でどんだけ回復するかは把握しときたいしな。そんで2つ目の農作業やけど・・・あっ!!)
農作業について思い浮かべた俺は大きなミスに気付く。
(ジャガイモとカブの収穫は出来るけど、空いた土地に蒔く分の種買うの忘れてたあああああ)
畑と同数しか種を購入してなかった為、収穫後に蒔く分を完全に忘れていた。
もっとも所持金が0なのでどの道買うことはできなかったが・・・。
(こうなったらオープン前に農業ギルドで待機して開くと同時に依頼達成。その後ダッシュで戻って畑作業続きやるか。依頼達成分で新しい農地買うつもりやったからどっちみち戻る必要あったし、今回の買い忘れは逆に都合が良いまであるんかも?)
自分を誤魔化しながらも予定を埋めていく。
(あとは今後の為に種は常に多めに買うようにするとして、最後の新聞について考えるか。今日やってみた限りやと大体作業時間が1時間かかるな。農業ギルドにオープンと同時にいくならもう少し早く起きるかな)
5時起きの予定を少し早めて全ての予定を組み終える。再ログインまで時間が少し余ったのでトイレとネタの整理などの雑務をこなしているとセットしていたタイマーが鳴り響いた。
(よし!時間やな。準備万端やし2日目もガンガンいくで!!)
雑務を済ませた俺は気合いを入れ直しMJOの世界へと再び旅立つのであった。
tips
MJOの世間からの評価
史上初の体感時間8倍でかつ賞金付きゲームということで様々な業界から注目されている。
更にタレント活動をしているプロゲーマーチームもある為、そのファン向けに多くの番組で特集が組まれている。
ブックマークや評価・誤字報告をしていただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。