196.BランクパーティーVSレイヤースライム②
「うわっ、聞いてた以上に転がる速度と勢いがスゴイですね!」
「それに土や草を鎧にした事で、縮み始めていた体が、元の大きさに戻ってるっぽいです!」
一度大きく飛び跳ねた後、凄い勢いで転がってくるレイヤースライムの姿を見たメンバー達は、聞いていた情報と目にした情報を擦り合わせる様に声に出して行く。
「よっ!はっ!当たると後衛陣は危険だから 俺とノーマン以外は魔術を放つ時以外は回避に専念する事!」
「は〜い。支援欲しい時は声掛けて下さいね」
「【ストーン】、【ウォーター】【ウインド】【ファイア】。土や草の外殻が硬すぎて、初級魔術では膜1枚剥がす事が出来ませんね!」
ガキン!
「くぅ〜!?すれ違い様に付与付きの剣戟を浴びせたが、こっちも弾かれて無理だ!これ防御力だけならBランク以上あるぞ」
「マジか……。俺そんなヤバいやつとタイマン張ってたんか!?」
検証が進むに従い判明していく、第二形態の無法さ。俺は撮影と回避に専念しつつも、報告を聞くにつれて、如何に昨日の自分が無謀な闘いをしていたのか、改めて気付かされる。
「よし!防御力の検証はここまで!次は障害物を利用して転がり攻撃を止める事が出来るか確認するぞ」
「オーケー、とりあえず俺があそこの木に誘導する。みんな援護を頼む。【挑発】!」
「【ハイスピード】。被ダメージの確認もあるので、防御アップは無しでいきます」
「わかってる!ソーイチが耐えきれたんだ。バフ無しでいけるだろう」
ノーマンがアーツを放ちレイヤースライムの敵意を自分に集め、フルールがサポートに入る。
そして彼らの思惑通りに執拗にノーマンに転がり攻撃を続けるレイヤースライムは、
「ほらほら、こっちだよ!このままコイツに突っ込んじまえ!」
ゴロゴロゴロゴロ!ドバギッ!!
誘導通りに俺の胴回りほどの太さのに激突。木の折れる鈍い音を響かせながらも、その衝撃で転がり攻撃は止まった!
「よし!ぶつかると同時に装甲も取れた!ソーイチ、撮影は出来てるか!?」
「ああ、衝突の寸前と後。その両方バッチリ撮れとる。それより今のうちに攻撃せんの?ってもう復活しとる!?」
しばらくはダウンしていたレイヤースライムは、再び弾んでから転がり攻撃を再び繰り出してきた。
「復帰まで5秒ちょいか。今回はダメージ無しだとどれくらい復帰に時間がかかるのかの調査だからな。次のターンから5枚ずつくらい剥いでいくつもりだ!」
「オーケー、計画通りなんやったら問題ないな。それより転がりまくってるで」
「ああ、今の誘導にキレてるな。【挑発】なしでも狙い続けてる。おーい、次は体で止めてくれ!」
「おうよ!」
ここから先はノーマンとレイヤースライムの一騎打ち。体で受け止めたり、ひたすら避け続けたりと調査を重ねる。俺はその姿を【ビジョンスキャン】で撮り続ける。そんな繰り返しを外殻が50枚剥く頃、戦況は新たな局面を迎えた。
「ふむ、50枚で第二形態は終わりか。ここからはソーイチも知らないんだよな?」
「ああ、体で止めた後はひたすらしがみ付いてたから何するかわからん!小さくなっとるけど、注意しといて」
「はは、誰に言ってんだよ。それよりお前たち、しばらく攻撃パターンが見たい。攻撃は無しで回避に集中してくれ」
「「「「了解」」」」
こうしてレイヤースライム調査は最終章へと突入した。
「おお!?体伸ばして鞭みたいに振り回してきたぞ!しかも本体も結構速い!って、先っぽから酸攻撃だと!?!?」
「うわぁ、近距離攻撃だと油断させてからの、間合いを伸ばす酸の水鉄砲。これCランク以下は初見で回避は無理でしょ?」
「だが酸は先端部からしか出ないようだ。避け方を工夫すれば酸は無いものと出来るって、鞭で撒き散らすな!?」
「直線的だけじゃなく鞭を横に振る勢いで、扇形の散らせるのもあるんですね。かしこ〜い!」
「コラコラ!俺だけに任せるんじゃ無い!触手は2本までなのか検証の為人数増やすぞ!」
「は〜い」
体の体積以上に伸ばした触手を2本。鞭のように振り回し、先端からは酸の水鉄砲。攻撃のパターンはシンプルだが、組み合わせることで攻撃の間合いにバリエーションを生み出している。
だが、それを相手するのは熟練の冒険者。初見殺しの攻撃もなんのその、ダメージ測定用にワザと当たったものを除き全てを避け切ってしまった。
「いやぁ〜、結構な速度で振り回してるのに、安定しすぎて緊張感なくなりそうや」
「俺も護衛についてるしな。それより攻撃性能は見切ったし、そろそろ終わりが近いぞ」
クロードの言う事は正しかった。調査を終え遠慮がなくなった彼らは、魔法や物理攻撃を繰り出して行く。
「お、ついに物理でも剥けるようになってきたな」
「ああ、50枚も外殻が剥がれた事でスピードが上がる代わりに、防御性能はガクッと落ちたみたいだ」
「せやな。お〜い、全部撮り切ったし、もうやっちゃってええで」
俺の声を聞くや否や、遠慮気味な攻撃は終わり、倒すための攻撃に切り替わる。パターンも見切り防御力も落ちたレイヤースライム相手では波乱など起こりようもなく、
ピギャアアアアア!
断末魔の悲鳴を最後に1戦目の調査は幕を閉じたのだった。
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