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18.ノア・タイムス

「新聞ですか!?」

この世界で初めて【メモ】以外でのレベル上げの可能性に興奮しながら聞き返す。


「ええ、この町の日々のニュースや恒常以外の依頼や特別依頼の募集など様々な情報が載ってるんですよ」

「そんなんがあるんですね。渡り人の中には全然広まってないみたいですけど」


「ああ、以前渡り人の方々が来られた時は一時的な来訪だとわかっておりましたので、周知はされてなかったんですよ。後、新聞は大陸語で書かれておりますし、宅配用に拠点も必要です。なので両方持ってるソーイチさんに初めてお伝えしたんですよ」


「おお、マジですか!ありがとうございます」

(新しい発見きたああああ・・・けど、この情報って俺以外にいるんかな。司書ほとんどおらんやろうし)

喜びながらもユサタクへ伝えて意味があるのか少し疑問に思う。


「ちなみに新聞ってどこで購入できるんですか?」

「司書ギルドの裏手すぐにあります【ノア・タイムス】という新聞社です」


「ノア・タイムス?」

「はい、この町の情報誌ですのでノア・タイムスです」


「あ、この町の名前ってノアだったんですね」

今更この町の名前を知る。


「ああ、どこにも標識とかないですし、地図も渡り人様は個人のをお持ちだそうですし知る方法がないみたいですね」

(ああ、マップ機能には確かに町名はなかったな・・・って追加されてる!?

情報GETして更新するタイプの地図なんかい!)

急に地図に増えた情報を見ながら、町の名前すらフラグ開放しないとわからないシステムに驚く。


「じゃあ、町の名前も知れたことやし早速ノア・タイムスまで行ってみます」

「はい、行ってらっしゃい。明日もよろしくお願いしますね」


早速俺は、ノア・タイムスまで向かう。

5分弱で巨大な司書ギルドの陰に隠れてひっそりと佇む小さな建物がそこにあった。

中に入るとカウンターにメガネをかけた痩せた男が座っていた。


「いらっしゃい」

「ここで新聞を契約できるって聞いたんですけど合ってます?」


「合ってるよ。ただ、うちの新聞は大陸語で書いてるけど読めるのかい?」

「はい、読めます。後南地区に小屋付きの農地も持ってます」


「住居が必要なのも聞いてるんだね。それなら契約出来るよ」

「よかった〜。ただ、今財布がちょっと寂しくて・・・。おいくらかかります?」


「うちでは8日で500ゴールド、配達は毎朝4時となってるよ」

「良かった〜。じゃあ8日間で契約お願いします」


「あいよ。それじゃあこちらの用紙に名前と住所書いてくれ」

渡された契約書に必要事項を書き込む。


「それじゃあ契約は完了だが今日からにするかい?あまりがあるからすぐ渡せるよ」

「今日からで!!」

「お、おう。じゃあどうぞ」


反射的に返事をしたせいかちょっと声が大きくなってしまった。

向こうも驚きながら本日分の新聞を手渡してくる。


「これがノア・タイムスなんですね」

「ああ、渡り人が初日からうちに来るとは思ってなくて驚いたよ」


「運が良かったんですよ。それより新聞って渡り人の言語で発行の予定ないですか?」

「誰も文字わかんないから無理だね。将来は扱いたいけど」


必要そうな情報が多いので、他のプレイヤー用に発行予定がないか聞いてみるが無理っぽい。

(勿体無いな〜。ちょっとダメもとで聞いてみよかな)


「じゃあ、渡り人用の新聞発行までの間、俺が一部を要約して配っちゃダメですか?」

「どういうことだ?」


「いや、せっかくいい情報が載ってるのに渡り人がほとんど読まれへんのは勿体無いと思ってね。一面と依頼募集の一部だけでも広めたいなと思って」

「ふむ、面白そうだし社長に聞いてくる。少し待ってろ」

そう言って席を離れる。しばらくすると身なりの整った背の高い金髪の男性がこちらへとやってきた。


「君が当社の新聞を渡り人用に抜粋して配りたいと言ってる渡り人かね」

「はい。そちらが渡り人の言語で新聞を販売するまでの間だけでいいんですけど」


「ふむ。うちが言語の対応する前に渡り人の間で新聞を読む習慣がつきそうでいいね」

「そうでしょ!いい新聞だとみんなに知ってもらいたいですしね」

好感触の様子にさらにアピールする。


「そこまで褒めてくれると嬉しいね。それじゃあ、許可しちゃおうかな」

「いいんですか!?」


「うん、情報は広まってこそだからね。それに面白そうだ」

「ありがとうございます!」

無事新聞の要約の配布の許可が出たので詳しい契約に進む。


「では契約前にまずは名乗ろうかな。私はノア・タイムスの社長ルーカスだよ。そして受付の彼はコビー君だよ」

「渡り人のソーイチです。よろしくお願いします!」


「はい、よろしく。それで許可は出すんだけどただって言うのはね〜」

「そりゃそうですよね」


「でもコビー君に聞いたけどお金ないんだよね?」

「お恥ずかしながら・・・」


「そうなると・・・。お、いい案が思いついたぞ!」

「どんなアイデアです?」

思案顔から一転、何か閃いたのか指を鳴らしルーカス。


「まず、君には新聞を毎日2部契約してもらう」

「となると後500ゴールド渡したらいいんですね」


「うん、それで君には渡り人用に抜粋した時は、君が書いた分を1部と余分に契約したノア・タイムスに抜粋したところにマークを付けて貰いたい」

「えっと、どういった意図で?」


「それはね、君の新聞とマークされたノア・タイムスがあれば、私たちが君達の言語を学ぶための教科書がわりにならないかと思ってね」

「なるほど!それはええですね」


お金がほとんどかからないこの案に感心する。

また、教科書がわりにするということは、向こうから渡り人に寄り添っていく姿勢を感じて嬉しくなる。


「じゃあ、それで契約を結びたいんですが、1つだけ確認していいですか?」

「なんだい?」


「私たち渡り人は8日間の間に平均3日程この世界にいない事があるのですがその期間はどうしましょう?」

「ああ、君たちにはそれがあったね。なら君が新聞を書いた分だけでいいよ。

我が社的には、君が書いたのと新聞にマークした分が揃ってたらいいんだからね」


「そう言ってくれると助かります」

「気にしないで。それじゃあ契約すすめるよ」


そう言って俺とルーカスは契約を進め、5分後には完了した。

俺の財布はまたすっからかんになったが悔いはない。そう思っていると、


《ソーイチ様がプレイヤーで初めてこの世界の住民と個別に契約を結びました。》


いつものアナウンスが流れた。


tips

ノア・タイムス

創設3年と割と新しい会社。大戦の傷跡が残るこの世界に、少しでも復興の希望があることを広めようと考えたルーカスが私財を投じて設立まで漕ぎ着けた。その情熱と理念から町の人々に愛されている会社である。

ブックマークや評価していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。応援してます。
[気になる点] エセ関西弁がすんごい気になる、RPとか人によって変わるとか興奮するとつい出ちゃう系でもなさそうだし
[気になる点] 名前が既出の受付嬢がアレン→フレン→カレンになってますが別人ですか? 話の流れ的に一人に感じますが…
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