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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月2日①【ワールドクエストの告知と【瞑想】実験】

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163.なぜルーカスはボーナスクエストを受けさせたのか

「1000枚!?ここ使い放題って考えたら妥当かもしれへんけど吹っ掛けたな!」

「グローブや発表前の記事みたいな、重要なモノが多いからね。この挑戦にクリアもらわないと、彼らに示しがつかないよ」


そう言って作業中の社員達を見渡すルーカス。


「あ〜他の社員への配慮って事か。因みに、さっき受注した依頼の報酬とか支給ポーションなしの挑戦なん?」

「いやいや。いくら僕でも既に受注した依頼をナシにする事は出来ないよ。あくまで今回のチャレンジはおまけのボーナスクエストだからね!」


「ボーナスか……。そこまで御膳立てされたら受けるしかないな。うん、是非ともボーナスクエスト挑戦させてもらうわ」

「意気込み抜群、挑戦決定だね!」


出入り自由権や【デュアルグローブ】を使う為ならタダ働きまで想定してたので、想像していたより緩いチャレンジに即参加を表明する。

その言葉を聞いたルーカスは嬉しそうに頷いた。


「それじゃあチャレンジ開始!今日中に累計1000枚分印刷するのを楽しみにしてるよ」

「ああ、期待しといて!」

こうしてルーカスの号令により、ボーナスクエストが始まった。

(さて、勢いに乗って挑戦したのはええけど。締切まで10時間弱で残り900枚。【コピー】するだけのMP回復出来るんかね?)


ボーナスクエストや報酬に釣られてしまった訳だが、1人になると達成できるか少し不安になってくる。


(とりあえず現状を整理やな。トータルで必要なMPやけど、【5枚刷り】+【デュアルグローブ】+【記者】のジョブ効果全部盛りで10MPで10枚。という事は今から900必要。そこからポーションとジュースで5〜600は稼げるから……。あれ?余裕ちゃう?)


だが、しっかりと計算してみると、1000枚チャレンジというインパクトに反して簡単過ぎる依頼だと気付く。


(ここの社長がこんな簡単な事に気付かん訳ないよな。という事は……まさか!俺が気兼ねせずに作業部屋を使えるように、あえてインパクトのあるチャレンジ出したんか?)


考えてみれば【デュアルグローブ】を半ば諦めていた時、ルーカスは慰めるだけでよかった筈なのだ。

それなのに依頼とは別枠のボーナスクエストを提案して、俺にチャンスを与えてくれたのは彼の優しさから来ているのではないか?

彼の真意は不明だが、俺にはそう思えた。

そんな感動的な考察から数時間が経過。MPが貯まればアーツを放ち、STが貯まれば畑仕事。暇になれば借りたてホヤホヤの本を片っ端から読んでいく。

どこか退屈でルーティン化した作業をこなしつつ、700枚目の束に挑戦を始めたタイミングで事件は起きた。


ー称号【社畜】を取得しました。報酬としてMPが20ポイント上昇します。

また、この称号はプレイヤーでは初めての獲得になりますが、称号名は公表しますか?ー


現実ならば絶対に持ちたくない、称号【社畜】の獲得を知らせるアナウンスが頭に鳴り響いたのだ。


(えっ!何この嫌過ぎる称号……。ゲームの中とはいえ【社畜】呼ばわりはキツい)

急なアナウンスに混乱しつつ、反射的に公表しない事を選択。


《ソーイチ様がプレイヤーで初めて称号【◯◯】を獲得いたしました》


その甲斐もあり、なんとか他のプレイヤー達から【社畜】呼ばわりされる危機を乗り切った。

【社畜】

一部のNPCの友好度補正(小)


パニックから数分、なんとか平常心を取り戻した俺は、【社畜】の効果を吟味していく。


(なんや、友好度補正って名前の割にありがちな効果やな。正直MP20ポイントの方が嬉しいまであるな。……って、ナイスタイミング!ルーカス来たし称号について聞いてみよ)


名前の割には平凡な効果だったので少しガッカリ。そんな時にひょっこりとルーカスが様子を見にきたので、【社畜】について尋ねてみる。


「なぁルーカス、今【社畜】って称号ゲットしたんやけど、心当たりある」

「な、なんだって!?ソーイチ君、もう【社畜】になったのかい!?」


「ああ、なってしまったわ。で、質問なんやけど、この称号って新聞の印刷となんか関係あるん?」

「関係大有りさ。なんてったって1日に1000枚の書類仕事を行なった場合にゲットできる称号なんだから」


「あれ?でも俺、まだ600枚ちょいしか印刷してないで」

「僕の想像なんだけどソーイチ君、ウチに来る前に【メモ】系アーツをたっぷりと使ったんじゃない?」

「ああ。ここ限定じゃなくてトータルなんや。じゃあ使いまくったし納得や」


なぜ600枚と少しというタイミングで【社畜】をゲットしたのか、そのナゾが解けて少しスッキリ。


「いやぁ。こんなに早く条件をクリアするとはねぇ。はい、フリーパスだよ」

「いやいや。まだ1000枚印刷終わってないし、フリーパス進呈は気が早いって」

「いや。もうクリアしてるもん」

「クリアしてへんって。ってあれ?ま、まさか……」


ルーカスとの間で話が全く噛み合わない。だが話している内にだんだんと嫌な想像が膨らんでくる。


「……まさかやと思うんやけど、今回のボーナスクエストの1000枚印刷するって、新聞を1000枚印刷するのが本質じゃなくて……」

「今日1日で1000枚印刷してもらって、ソーイチに【社畜】になってもらう事が目的だよ!」


「マジか……。言われてみれば確かに新聞1000枚とは言われてないけど……」

「同じ【社畜】同士なら、ここに居るみんなも納得してくれるからね」


少し前に考えたルーカスの優しさとはなんだったのか?今回のボーナスクエストは気遣いでもなければ、ご褒美でもない。ただの【社畜】仲間を増やすためのクエストだったのだ。

その証拠に、同じ部屋で紙束を量産していた社員達が、【社畜】の仲間入りを果たした俺を笑顔と拍手で祝福する。もっとも眼は疲労で濁っていたのだが……。


(フリーパス=【社畜】仲間……。ジョブ効果に書いてた『一部のNPCに友好度補正』って、社畜同士のシンパシーなのかもしれんな)


こうして知りたくない事を知ってしまった俺は、また一つ成長したのであった。

初の叙述トリックもどき、不備あったら訂正するかもです(~_~;)

次回は頑張れば11月14日(金)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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