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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月2日①【ワールドクエストの告知と【瞑想】実験】

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149.【晴耕雨読】とお食事会

「ぜぇ〜はぁ〜。ご、ごめん。まだいけるか?」

「まだ転職はできますが……大丈夫ですか?」

転移先から急いで駆け寄る俺に、クリスが少し引き気味で尋ねる。


「ちょっとの距離しか走ってないし大丈夫や。それより転職のお祈りしてもええ?」

「はい。案内しますので着いてきてください」

そう言って先導するクリスの後を歩きながら、ここまで急いでいた事情を話す。


「実は今日中に転職する必要あってな。微妙な時間やったしマジで間に合って良かったわ」

「ふふ、なら急がないといけませんね。……ではソーイチさん、こちらの女神像へ祈りを捧げてください」

「はい」


クリスに促された俺はいつものように女神像へ祈る。するとシステムボードが立ち上がり、転職選択画面が表示された。

(よし、【晴耕雨読】は開放されてるな。……でも新しいジョブは増えてへんなぁ)


ついでに新ジョブがないか色々と探したのだが、その期待はすかされてしまった。

少し残念な気持ちになりつつも、当初の予定通り【晴耕雨読】へと転職し、

《ソーイチ様がプレイヤーで初めて晴耕雨読に転職いたしました》

ワールドアナウンスを響かせた。


「ふぅ。お陰様で【晴耕雨読】へ転職できたわ。夜遅い時間に対応してくれてありがとう」

「どういたしまして。それより今回転職されたのって【司書】と【農家】から派生したものですよね?」


「うん。その通りやけど」

「実は派生先と同格まで成長した職業は、派生元の低い方のレベルが上限となってしまうんですが、ご存じでした?」

「いや、初耳やわ。えっと、要するに【晴耕雨読】のレベル上限は【司書】と【農家】のレベル低い方に併せた仮天井ができてしまうってことやね」


今までとは違う仕様に戸惑いながらも、クリスの説明を整理して問い返す。


「ええ、その通りです」

「マジか。派生系のジョブって、両方の経験値入るしすぐにレベル上がるからなぁ。これからはジョブのレベル管理も意識する必要あるんか」


「まあ、数日間ステータスを見ないとかでもない限り、大丈夫ですよ。どうしても心配なのでしたら、起床時にステータスチェックを習慣にしてみるって手もありますけど」

「おっ、それ採用。大事な情報から対処法まで教えてくれるとか、改めて教えてくれてありがとう」

「いえいえ、気にしないでください」

有益な案を教えてくれたクリスに礼を言った。


「さて、目的も達成したし帰ろかな……って、忘れるとこやった。はい、今日の交換分」

「いつもありがとうございます。準備するのでちょっとお待ち下さい」


今日の交換アイテムはいつもの野菜から趣向を変えて、取れたての果物を10個を取り出すと机の上に並べる。それを見たクリスは嬉しそうに微笑みながら、同じように聖水を並べていく。


「あら、今日は果物なのですね。普段食べる機会が少ないので助かりますわ」

「甘いもん1品増えるだけで嬉しいもんな。ところで果物ってあまり食卓に出ない感じなん?」


「ええ。皆様のご厚意や寄付のおかげで野菜やお肉は足りているのですが、嗜好品ともなるとどうしても少なくなってしまいますね」

「へぇ。じゃあ今度から俺が持ってくるやつは果物メインにするわ」

「あ、ありがとうございます。子供達も大喜びすると思います」


綺麗な笑顔でお礼を言うクリスを見て、自分の選択が間違ってなかったとほっこりする。


「ところでソーイチさん、もう夕食召し上がりました?」

「それは急いでて何も食べてないわ」

「それなら、こちらで食べていきませんか?」

「え、いいんですか?」

突然の食事のお誘いに驚き聞き返す。


「勿論です。実は前から食材を持ってくるお兄さんにお礼がしたいと子供達が話してたんですよ。豪勢な料理とはいきませんが、みんなに顔合わせできないかなと」

「律儀な子供達やな〜。でも、そういう事なら大歓迎、喜んでご相伴に与らせてもらうわ」


こうして俺は、教会と孤児院の間にある大食堂にてシスター・神父と孤児院のみんなと食卓を囲む事となった。

みんなが準備をしている中、こっそりとユサタクにお食事会イベントの発生を伝える。すると、楽しんで来いとの返信が送られてきた。


「お待たせしました。準備ができましたよ」

「ああ、もう出来たんか。準備の手伝いサボってごめんな」

「いえいえ、気にしないでください」


クリスに声を掛けられた俺は、コールから意識をこちらへ戻す。大人の席には具沢山のスープ・パンと俺が交換に出したリンゴが並び、子供達の席にはリンゴの入った器だけが並んでいた。


「あれ?子供達はデザートだけなん?」

「この子達はすでに食べ終わってますし、今回はデザートだけですね」

「そりゃ20時過ぎとか、とっくに食べ終わってるか」

「それよりソーイチさん……」


クリスが横をチラリと見ると、そこにはキラキラとした目をした子供。この子達が一斉に

「「「お兄ちゃん、いつも美味しいお野菜ありがとうございます!」」」

「ど、どういたしまして」

と、大きな声でお礼を言ってくれた。そのダイレクトな感謝の気持ちに心が暖かくなる。


「いやぁ、ここまで喜んでくれるとか【農家】冥利に尽きるわ。こちらこそありがとうな」

「ふふふ。ありがとうが返って来ちゃいましたね」


「感謝しあってこその人生よ。まあ、お礼の掛け合いはここまでにして、みんなも食べよ!」

「ふふ、そうですね。では皆さん、せ〜の」

「「「いただきます!!!」」」


その挨拶から始まったお食事会は、夜遅くまで笑いに溢れていたのだった。



tips

【晴耕雨読】の詳細


司書・農家系の作業時に得られる基礎経験値の上昇。

天候によって獲得経験値が変動する。


経験値補正(サブにセット時はマイナス0.2)

晴れ・曇:司書系の行動1.2倍 農作業系の行動1.5倍 戦闘0.9倍

雨・雪:司書系の行動1.5倍 農作業系の行動1.2倍 戦闘0.9倍


次回は10月30日(木)午前6時に更新予定です。


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今後とも本作をよろしくお願いします。

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