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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
4月2日①【ワールドクエストの告知と【瞑想】実験】

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145.せっせと頑張る記事作りと印刷作業

「ただいま戻りました〜」

「おかえりソーイチ、早速だけど取材メモのチェックするから出して」

「あ、内容のチェックもしてくれるんやね」

「そりゃ新聞は皆目を通すからね変なもの出せないもん」


取材を終えた後、寄り道せずにノア・タイムスに戻った俺をいつも通り無愛想な表情で出迎えるコビー。俺は言われるがまま取材メモを渡し、ドキドキと評価が下されるのを待つ。


「うん。初めての取材にしては要点もまとまっているし、補足説明もバッチリ書けてるね。それに所々に見られる個人的な所感、こういった記者自身の感想も記事の彩りになるからいいね」

「ええ!?一応メモのついでに書いてただけなんやけど、そこも使うんか?」


「取材した内容を正しく伝えるっていう大前提さえ守れば問題ないよ」

「なるほどなぁ」

(確かに今日まで読んできた新聞を思い出すと、記者の考えが読み取れるのもあった気がするな。この世界の新聞って、純粋な記事とコラムの合いの子なのかもしれんな)


「じゃあ時間ないし雑談はここでおしまい。次の依頼に取り掛かるよ」

「次は記事作成やな。書く場所って決まってるん?」

「一応どこで書いてもらってもいいんだけど、今回は僕が最終チェック任されてるし横の席に座って書いてよ」

「ここ受付やで?外部から丸見えやけどええの?」


「うん。今回ソーイチが書くのは、内容的に機密事項じゃないからね。移動時間が勿体無いしここでいいよ」

「それならええけど。ところで最終チェックやってくれるんやったら、ついでにアドバイスもしてくれへん?」


「ええ〜。ぼくの担当は受付と印刷で書き手は畑違いだよ?これで出せるって判断は出来ても、改善点とか教えるの自信ないよ」

「それでも俺よりはマシやって。お願い、頼むわ」

「仕方ないなぁ。いいよ」

「ありがとう!」

渋々といった感じではあるが、なんとかコビーを先生役にする事ができた。


(さて、どういうレイアウトで書いていくかな。まず前提条件としては、俺の【スキャン】では画像なしで、使える文字色は黒1色だけ。そこからできる事は枠線と文字の大きさでメリハリ付けるのが一番やし、使うのは・・・)


「コビー、サンプル2番のやつに決めたわ」

「はいどうぞ。もう確定なんだったら、記事用の300枚を準備したいんだけど大丈夫?」

「変更する気無いし、準備してくれてオッケーや」

「わかった。じゃあ用意してくるから、ソーイチは記事書き始めちゃって」

そう言ってコビーは印刷作業で使う300枚の用紙を準備する為、席を離れた。


(さてとまずは見出しやな。とりあえず一番でかい見出しを【解放宣言から早1日、今冒険者ギルドで何が起きているのか?】にして、ちっちゃい見出しは取材中にフレンがアクセントつけて発言した中から拾ったらええかな)

うんうんと悩みながらも大小の見出しを埋めていく。そして見出しに沿った内容を取材メモから拾ったり、戻ってきたコビーの助言を参考にして、少しずつ記事のクオリティを上げていく。


「う〜ん。地味に【大陸語】で書くの面倒やなぁ。【司書】のジョブ補正のおかげで、少しは楽になってるかもしれんけど」

「まぁノア・タイムスはこっちの世界の住民向けだからね」

「そりゃそうか。もうこうなったら【大陸語】のスキル上げって割り切って頑張るしかないか」


当たり前の話だが、ノアタイムスは住民向けの新聞、なので使用言語も【大陸語】なのである。そんな言語的なハンデについての愚痴をコビーに吐きつつ少しずつ書き上げていき、なんとか7割を占める取材部分を書き上げる事が出来た。


「記事パート完成〜!残りの文面考えるから、その間に内容のチェックお願い」

「はいよ」

「さて、残りは自己PR欄やけど、何をアピールしたらええんや?」


いざ自分の事を書くとなると少し悩んでしまう。それでも自分の名前や所属クランなどの本人情報や、今回の取材や渡り人で初めての記事掲載についての感想等を手堅くまとめて紙面を埋めていく。


「う〜ん、あまりオモロい内容書けんかったなぁ。我ながら無難すぎる」

「別にウケ狙いしなくてもいいんだよ。それより完成でいいの?」

「せやな。これ以上は望めそうにないしこれでええか」

自分の未熟さに少しの情けなさを感じつつも、1時間程で1枚分の記事を書き終える事ができた。



「うがぁ〜。あ、考え過ぎて頭ぐわんぐわんするわ」

「あらら。大丈夫なのかい?」

「まあ残ってんのは何も考えんと、ひたすらポーション飲んでスキル連打でクリアの印刷作業だけやし大丈夫や」


「そっか。じゃあ早速だけど出来たてホヤホヤの記事【スキャン】しちゃいなよ」

「あれ?今作ったやつ、手書きやから【スキャン】無しでもデータ保存されてるんと違うん?」


「保存はされてるね。でも【スキャン】経由で印刷しないと、その枚数分の熟練度が【スキャン】に加算されないよ?」

「マジで!?【スキャン】にそんな仕様が隠されてたんか・・・。スキルレベル上げたかったしマジで助かるわ。コビー教えてくれてありがとう」


「気にしないで。ソーイチには早く【スキャン】を3まで上げて、本格的に手伝って欲しいからね」

「ああ。画像も保存出来るやつか?」

「そうそう。早く育って僕らに楽をさせてよ」

「はは、了解。精一杯頑張るわ」

冗談混じりで発破をかけるコビーに、同じく軽口を返す。


「じゃあ作業スタート・・・って、その前にコビー、ここって飲食OK?」

「飲み物なら大丈夫。じゃないとポーション飲めないし」

「あ、ポーションって飲み物扱いなんやな。それじゃあ、お言葉に甘えて」

そう言いながら取り出した、フワフワ特製のリンゴジュースを飲み、獲得経験値を上げてから印刷作業を始めた。


「ねえ、これから嫌って程ポーションを飲むのに、なんでジュース飲んだの?」

「【5枚刷り】!【5枚刷り】!って、理由?そりゃ効率よくレベルアップするためや」

「もしかして獲得経験値アップの効果付きなの!?それって今回の報酬じゃ赤字にならない?」

確かに、今飲んだジュースの材料はリンゴと聖水。他所で買うと赤字になるのは確定だ。だが、


「これはウチでとれた果物や物々交換でゲットした素材使ってるから実質タダやし、さらにクランメンバーがレベル上げで大量に作った余りもんでな。割とゴクゴク飲んで大丈夫なんよ」

「ふ〜ん、羨ましいね」

「ええやろ?」


コビーと雑談しながらも、【5枚刷り】とポーション使用をひたすら繰り返し、ドンドンと記事の山を作り上げていく。そしてポーションの飲み過ぎでお腹が張り裂けそうになる頃に、

「うっぷ・・・。これで300部。完成や・・・」

【見習い記者】としての初仕事を全て終えることが出来たのだった。


次回は10月18日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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