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126.プロスの閃きとシンボル発見

「おっ、何か名案が思いついたみたいやな」

「ええ!でもデータが不足してるのでちょっとお待ちください」

プロスは興奮混じりの早口で俺達に一声かけると、目を瞑り手をバタバタさせ始めた。


「どうやらクランチャットを送ってるみたいですね」

「ああ、データがどうたらって言ってたもんな。黒百合のところにも来てるんやろ?」

「ええ。少し前に通知が来ました。・・・ってプロス、面白いことに気づいたわね。」


「ふむふむ。何やら好転しそうな匂いがプンプンしますね」

「せやな。と言うわけで、見張りしてるから黒百合もクランの会議を覗いてくれば」

「いいの?一応護衛役なのに」


「かまへんよ。その代わり呼んだら直ぐに戻ってや」

「わかったわ。数分で戻るから見張りお願いね」

俺の勧めを受け、黒百合はプロスと同様に目を瞑りクランチャットに集中し始める。

その間、俺とモチョは護衛2人を守るため背中合わせで立ち、魔物の襲来がないか緊張しながら周囲を見渡し続けた。


「お待たせしました!私の閃きはデータ的にもあってそうです」

「二人ともおかえり。どうやらいい結果になりそうやな」

「ええ!お陰様でシンボルがありそうな場所が見つかりました!時間もないですし、まずはここへ向かいましょう!」

そう言ってプロスが地図のある場所に印をつける。現在地と見比べると案外近い場所で少し安心した。


「10分弱で行けそうやな。」

「近場で助かりますよ。って、それよりプロスさんは何を閃いたんですか?」

「そうそう、それが聞きたかったんや。焦らさんで教えてや」

「わかりました。その点は歩きながら説明しますね」

そう言ってプロスは目的地に進みながら、何を閃いたのか説明を始める。


「まず、シンボルの役割ってなんですか?」

「そりゃ登録したら、その場所に転移可能になるってやつやろ?」


「ええ。ただ、転移先の登録だけだと、『問題があるぞ?まだ隠れた機能があるんじゃないかと?』っと疑問に思ったのがひらめきのスタート地点なんです」

「隠された機能ね〜。それって一体なんなん?」


「ふっふっふ。それは魔物避け、もしくはセーフティエリア生成機能です!」

「魔物避け?・・・ってそうか!?その機能なかったら、転移してすぐに魔物からの襲撃されたり、最悪シンボルの破壊も考えられるな!」


「そうなんですよ!最低限のそれらの機能が備わってないと、フィールドでの転移なんてギャンブルすぎて出来ませんよ!」

「う〜ん。確かにプロスさんの閃きは正解っぽいですね。でもシンボル探しにはあまり役に立ちそうにない気がするんですが・・・」


モチョは不思議そうに尋ねる。確かに俺も[隠された機能]自体には男の子心がくすぐられる。だがシンボル探しにどう活かすのか想像も出来ない。

そんな俺達の疑問に対し、プロスは待ってましたとばかりに不敵な笑みを浮かべ話し始めた。


「皆さん、シンボル周りは魔物が出ないという事はですよ?逆にいえば泉周辺の魔物出現スポットさえ把握してるなら、その空白地点にシンボルはあるという事なのです!!」

「理屈で言えばそうやけど・・・ってまさか!?」

「魔物が出る場所を全部記録してるんですか!?」


「ええ!【オモイカネ】が今日までに冒険し、魔物と対峙した場所は全て地図にマーキングしてるんですよ」

「ええ〜!?作業量エグすぎやろ」


「確かにエグかったです・・・。最初は出現する魔物が資料と一致するかのデータ収集が目的だったんです。でも出てくるのは本の通りで、全くイレギュラーは無し!意味あるのか疑問に思う日もありました!でも、その苦労が完全に報われたんです!」

「ええ。やったわね」


マーキング作業が本当に面倒だったのだろう。いかに苦労したのかを力説しつつ、努力が実を結びそうな現状に2人が涙ぐむ。


「じゃあ、さっきのクランコールは泉周辺での魔物の出現情報を尋ねてたんやな」

「ええ。各メンバーが集めたデータをまとめる、マザーマップがあるので、そこから空白地点を探して貰いました。すると明らかに魔物が出ない空白地点が〜って、見えましたよ」

そう言って指さしたのは泉の少し窪んだ箇所。そこには双子のような2本の木が並び立っていた。


「いかにも目印ってかんじの木やな。なんで1周目は見逃してたんやろ?」

「単純ミスの可能性もありますが、多分魔物避けの何かが私達にも作用してたのかもしれませんね」

「なるほどなぁ」


「フラグや意図的でないと出現しない、ゲーム的なお約束って可能性もありますけどね!ってそんな事より、気づきました?少し前に比べて地面の感触が違いますよ」

「あっ、ホンマや!ちょっとふわふわしてる!」


「この辺は周辺と同色の特殊なコケに覆われてるのか、妙に弾力性のある地面ですね。この感じならシンボルはコケに覆われて埋まってるかもしれませんよ」

「そう言えば埋まってるかもってペーター(情報提供者)が言ってたかも?」


「また謎の伝手からの情報ですか・・・。それって」

「はい!詮索は後にしてまずは探すわよ」

「ですね!じゃあ、お宝掘りスタートです!」


その言葉に合わせて俺達はバラけて埋まっているであろうシンボルを探し始めた。

俺は一番可能性の高い2本の木の周りから探す。すると、


「おっ、ここの地面、ふわふわの地面の中に固い何かあるで!」

「ビンゴ!早速掘り返してください」

「おいよ!」

意気揚々とコケまみれの地面を掘り進めると縦長に楕円状の岩が姿を表す。俺は、その岩を完全に露出させた上で付着したコケを丁寧に払い落とす。


すると、掘り出した岩が光り輝き、

ー【泉のシンボル】を解放しますか?ー

と、システムアナウンスが流れた。

どうやらこの岩がシンボルで間違いなかったようだ。

俺は歓喜に震える指をなんとか制御して【はい】を選択、すると


ー【ノアの泉】のシンボルを解放しました。以後、転移クリスタルへの登録が可能になりますー

ー称号【初のシンボル解放者】を取得しました。報酬として全ステータスが2ポイント上昇します。

また、この称号はプレイヤーでは初めての獲得になりますが、称号名は公表しますか?ー

ー称号【泉の解放者】を取得しました。報酬として全ステータスが1ポイント上昇します。

また、この称号はプレイヤーでは初めての獲得になりますが、称号名は公表しますか?ー


と、システムアナウンスの濁流が頭の中に流れ込む。

俺は予想以上の内容に驚きつつも、


《ソーイチ様がプレイヤーで初めてフィールド上のシンボルを解放しました》

《ソーイチ様がプレイヤーで初めて【ノアの泉】のシンボルを解放しました》

《ソーイチ様がプレイヤーで初めて、称号【初のシンボル解放者】を獲得致しました》

《ソーイチ様がプレイヤーで初めて、称号【泉の解放者】を獲得致しました》


あえて称号名を隠さず、全ての偉業を世界に鳴り響かせるのだった。

次回は5月17日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
一緒にいるパーティーじゃなく個人名のアナウンスだと、アナウンス数競ってる部分あるゲームだから、荒れそうな気がする…
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