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125.ピンポイントマップと見つからないシンボル

「さて、目的地に着いたのはええけど、正直あまり時間残ってへんよな」

「閉門まで残り3時間もないですね〜」

「帰りは転移クリスタルでもひとっ飛びとはいえ門閉まったら、結界で町に入れないっぽいしな。マジで急がなあかんわ」


ただいまの時刻はゲーム内時間で16時を過ぎている。閉門時間の19時まで3時間弱残っているとはいえ、探索するには少し短い。

俺達は時間を出来る限り有効に使う為、作戦会議を開く。


「まずシンボル探しのタイムリミットは閉門30分前に設定したいと思うんやけど、みんなはどう思う?」

「私は賛成です。時間ギリギリまで粘ると予期せぬ戦闘で帰れなくなるかもしれないですし。ですよね黒百合さん!」


「ええ。それなら余裕を持ってお二人を無事にホームへお返しする事が出来そうね」

「おうちに帰るまでが冒険ですよ!」

「それ言うなら遠足やろ。まあ5時間弱の冒険じゃ遠足と大差ないけど」


プロスの天然混じりの発言にツッコミを入れつつも、まずはタイムリミットを決める事ができた。


「さて肝心のシンボルの場所なんやが、聞いた話では町とは逆方面にあるらしいから、まずはそこまで向かおか」

「え!?その情報初耳ですよ!?一体どうやって調べたんですか?」

「ヒ・ミ・ツ。そう簡単に情報源はオープン出来へんで」


「ムムム〜。まあ良いでしょう。黒百合ちゃん、今の情報をマップに書き込んじゃって」

「はいはい」

黒百合は懐から地図を取り出し、今の情報を書き込んでいく。黒百合の持つ地図は、以前俺が本から書き写した大陸の全体図とは大きく違う。まず網目上に線が引かれており、その上から泉周辺の地図や採取情報などが描かれていた。


「おお!黒百合が持ってるの、泉周辺だけをピックアップしたやつなんやな」

「場所は事前に聞いてたしね。泉周辺の地図を用意してたのよ」


「マジで助かる!俺の持ってるの大陸全体のやつしかないから、細かい場所は分かりづらいねん」

「ふふ〜ん。ピンポイントマップは【オモイカネ】の主力商品なんですよ!ソーイチさんも気軽に買いに来てくださいね!」


「商売っ気出てるわよ。でも特徴のある場所はすべてピックアップしてるから、気になったら見に来てね」

「ああ。別の冒険の時は買わせてもらうわ。それよりこの地図の・・・」


「ストップ!地図トークは歩きながらでも出来ます。とにかく探索場所まで行きましょう」

「おおっと、これは失敬。続きは歩きながらにしよか」

「ええ。そうしましょう」

モチョが止めなければ貴重な探索時間がかなり削られていただろう。俺達は反省をしながら歩き出し、再び地図トークへに花を咲かせる。


「【オモイカネ】の地図は白紙じゃなくて、方眼紙というか網目状に線引いたのをベースにして、その上から地図描いてるんやね」

「ええ。9×9マスの線を引いてます」


「なんで線引いてるんや?地形と色分けしてるから見分けはつくけど少しややこしくないか?」

「ふっふっふ。実はこの網目上の線の役割は途轍もなく大きいのですよ」

俺の素朴な疑問に対して、待ってましたと含み笑いを浮かべるプロス。


「マジで?一体どんな効果があるんや?」

「例えば、ある地点で薬草の群生地があったとしますよね。それを仲間にも共有する時、ソーイチさんならどうしますか?」


「う〜ん。多分『泉の出っ張りの上』みたいなあやふやな説明になりそうやな」

「ですよね!でも地図に網目の線を引く事で、『2-4の地点に薬草の群生地あり』と具体的に情報共有出来るんですよ!」


「よく考えたな〜って、9×9マスといい、ポイントの表し方といい、まるで将棋やな」

「よく元ネタに気づきましたね!メンバーの大半が将棋好きなので、棋譜の読み方を参考にしたんですよ」

「まあ、将棋は武士が遊びながら軍事行動を学んだという話もあるし、情報共有の手段に応用効くんやろうなぁ」

「ええ。っと話してるうちにスタート地点に到着ですよ!」

地図談義に夢中になっているうちに、スタート地点に着いたみたいだ。


「ホンマや。じゃあ、ここからはシンボル探すために、目を皿にして地面を探し尽くすで」

「ちょっと待って」

いざシンボル探し開始と意気込む俺だったが、黒百合から待ったがかかる。


「うん?どうしたん?」

「悪いんだけど、シンボル探しは私以外の3人でお願いできないかしら」

「別にええけど、黒百合はどうするん?」

「この辺はセーフティエリアじゃないでしょ?だから魔物への警戒と迷わないように地図係をするわ」

「確かに1人は必要か。黒百合だけで警戒するのは大変かもしれんけど、よろしく頼むで」

「ええ。任せておいて」


こうして役割分担を終えた俺達は、今度こそシンボル探しを開始。異変を絶対見逃さないように、ひたすら地面や周りを探り続ける。途中魔物の襲撃も何度かあったが、黒百合の警戒のおかげで難なく撃退する事ができた。

だが順調な道のりとは裏腹に、探索範囲を調べ尽くしてもシンボルを見つけ出すことは出来なかった。


「やばい、後45分しかないのにマジで見つからへん」

「それに暗くなってきましたよ!」

「う〜ん、3万人のプレイヤー達が、今日まで誰もシンボルを探し出せてないだけあって、探すのに一苦労ですね」

「何か、手がかりがあれば良いんですが・・・、ってそうだ!」

シンボル探しに暗雲が立ち込め始めた中、プロスが何かを閃いたのか声を挙げた。


次回は5月10日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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