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122.パーティーリーダーと黒歴史

「さてと、出発前にパーティー組んじゃいましょう。という訳でソーイチさんリーダーお願いします」

転移により4人揃って門に到着した後、モチョはこんな軽い感じでリーダーを俺に押し付けてきた。


「お、俺?パーティー組んでの冒険すら初めてやのにリーダーとか無理やって」

「誰にだって初めてはありますよ。それに今回の冒険はソーイチさん主導で決まったんですし、リーダーもソーイチさんがするのが筋ですよ」

「護衛の私達がリーダーを務めるのも変ですしね」

「うんうん」

「そこまで言われたらしゃ〜ないか。じゃあパーティー誘うからOKして」

「「「は〜い」」」


他のメンバーからの正論で殴られた俺は、渋々ながらリーダーを引き受ける。

ただ目的地までのルートは大まかにしか把握していないので、先頭を一番戦闘力のある黒百合に譲り、続いて俺・モチョ・プロスという並び順で進むことに。


「ところでソーイチさん。今回のジョブ構成はなんですか?」

「せっかく護衛付きでの冒険やしメインを【見習い記者】で、サブを【見習い付与魔術師】と低レベル2職を選択したわ」

「ええ!?【見習い記者】選んでくださったんですか!?」

モチョにジョブ構成を聞かれたので、正直に答えたのだが、側で聞いていたプロスがハイテンションで聞き返す。


「まあジョブ適性的に戦闘での経験値低いんやけど、【コピー】ばっかりで上げるのも大変やろ?だから今回メインジョブにセットしたって訳や」

「な、なるほど。それじゃあ【見習い記者】のレベルがバンバン上がるように張り切って護衛しますよ!」

「頑張れ〜。もし冒険中にスキルとかアーツ覚えたら、ご褒美も兼ねて無料で情報提供するで」

「わ〜い。黒百合ちゃん、おもてなしマシマシで行きますよ!」

「ええ。頑張りましょうね」

「ははは。頼りになりますね・・・。って、そうだ!」


俺の言葉が発破になったのかやる気ゲージが目に見えて上昇する護衛ペア。その様子を苦笑いしていたモチョだったが、何かを思い出したのか急に大きな声を挙げた。


「ソーイチさん、出発前にお渡しした小さい袋。あれの説明を忘れてました」

「そういえば、大きいやつしか聞いてなかったな」

「ええ。実はまだ開けていない袋には経験値稼ぎ用の秘密兵器が入ってるんですよ。というわけでオープンTHE袋プリーズです」

「文法も単語も無茶苦茶すぎやろ・・・」

エセ英語で促すモチョに呆れながらも言われた通り袋を開けると、中にはぎっしりと小石が詰まっていた。


「えぇ〜。入ってるのただの小石やけど、これが秘密兵器なん?」

「ふっふっふ。実は・・・」

「なるほど!戦闘貢献度を稼ぐんですね」


「ああ〜!私が言おうと思ったのに〜!!」

「あ、すいません。つい声が出ちゃいました」

「無意味に勿体ぶるからや。って、それより戦闘貢献度?」


小石の活用法をモチョより先にネタバレするプロス。俺はぷりぷり怒るモチョにツッコミをいれながらも気になるワードについて改めて尋ねる。


「実はMJOでの戦闘経験値って均等割じゃなくて活躍によって変動するんですよ」

「ああ、昔のRPGみたいな感じじゃないって事やね」


「ですです。おそらく完全寄生プレイを防ぐためでしょうね」

「ふむふむ。だから1ポイントでもダメージ与えるためにこれを投げつけるってわけやね」


「ええ。これなら投げるのに丁度いいサイズですし、フィールドにいくらでも落ちてるので残弾気にしなくてもいいという、まさに秘密兵器と言うに相応しいアイテムなんですよ!」

「こんな小さい石ころがそこまで活躍するとはビックリやな。でも・・・」

「でも?何か不安点でもありますか?」


小石をお手玉のように手遊びしながら、その重要性に驚く。ただ、小石でダメージを与える為のある動作に不安がある。それは、

「それにしても、俺のコントロール悪いし魔物に当てれるか不安やわ」

肝心の小石当てれるか問題である。


「え、そうなんですか?」

「ああ。昔からずっと執筆と読書にどっぷりハマってたから、マジで運動神経がニブニブやねん」

「へえ〜。でもリーダーは大丈夫って言ってましたよ?」


「ユサタクが?俺の運動音痴っぷりはあいつも知ってるはずやのに、なんでやろ?」

「いや、ソーイチさんって昔【指弾】とか言いながら小石を弾いて的当てしてたって聞きましたけど・・・。って、これは内緒話でした!」

「うぼぁぇええ!!??なんで!?」

小石のコントロールの話だったのに、急に黒歴史を暴露され奇声が止まらない。


「あのボケー!!なに人の黒歴史を漏らしとんねん!?」

「お、落ち着いてください!私は可愛いと思いますよ。黒百合さんもそう思いますよね」

「え、ええ。プロスもそう思うわよね」


「はい!ある意味でっかい特ダネを掴んだ気分ですよ!」

「わ、バカ!」


「特ダネ〜?プロスちゃ〜ん。今後も仲良くしたいんやったら、これを広めたらどうなるかわかるやんな〜」

「は、はぃ〜。お口チャックします」

「わかればええねん・・・」


みんなの慰めの声の中で、聞き捨てならない言葉を聞き、俺はゾンビのような目でプロスを脅迫、なんとか黒歴史がこれ以上広まらないように手を打つことができた。


「あぁ〜もう!こうなったらヤケや!このフラストレーションは魔物に小石ぶち当てて発散したるわ!」

「指弾の登場ですね」

「それはもうええって〜〜!」

空元気と情けなさが入り混じった声が草原に響き渡った。



tips

パーティーを組んだ際、魔物討伐で得られる経験値分配の仕組み


魔物を討伐した時の経験値。その内半分をパーティー人数で均等に分割し、残り半分を戦闘での貢献度によって振り分けるシステムとなっている。

ちなみに分割した際に割り切れなかった余りはパーティーリーダーの経験値に加算される。


※アーツを使用した場合は、アーツ毎に設定された経験値が討伐経験値とは別枠で加算される。

次回は4月19日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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