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121.【見習い記者】と出発

「すいませんでした!!【見習い記者】があまりにも情報屋にとって魅力的すぎて理性が蒸発してました・・・・」

「私もすぐに止めることができず申し訳ないです」


「ははは、それくらい別にええよ。血走った目で詰め寄られる感覚はキャラの描写で活かせそうやし、ぶっちゃけ良い経験になったわ」

「ソーイチさん、それ全くフォローになってないです・・・」

「え?そう?」


慰め半分、ネタ提供感謝半分でフォローしたつもりだったのだが、さらに恐縮し縮こまる【オモイカネ】の2人。

正直一緒にパーティーを組む2人がこのままの調子だと少し気まずい。どうにか元気を出させる方法はと考えたが、やはり【見習い記者】の情報の開示がベストと思い、俺は少しだけ情報開示をする事にした。


「まあまあ、これから冒険やし明るく行こうや。なんやったら【見習い記者】の情報ちょびっとだけなら提供するで」

「ええ!?良いんですか?」

「ああ、転職方法や重要っぽいのは、他のメンバー達と相談するから無理やけど、ジョブの説明くらいならお漏らししてもええやろ」


「ですね!お漏らし情報という名のニンジンをぶら下げて、がっぽり本命の転職情報で稼ぎましょう!」

「ははは・・・。お、お手柔らかにお願いします」


商売っ気マシマシのモチョの言葉に、冷や汗混じりで返すプロス。そんな2人の掛け合いを眺めつつも、俺はステータス画面を立ち上げ、先程獲得したばかりのジョブとついでに称号の詳細を表示させた。


【名誉ノア・タイムス記者】

【メモ】系スキルを使用時、熟練度上昇(微)


【見習い記者】

300文字以上書かれた紙に【コピー】系スキルを使用した際、経験値&熟練度上昇(微)

???〈未解放〉

経験値補正(サブにセット時はマイナス0.2)

司書系の行動1.2倍、戦闘0.8倍


「未解放!?」

「うわっ!どうしたんですか?」

「実はな・・・」

俺は今見た【見習い記者】の詳細を紙に書き写した上で【コピー】を使用し全員に配っていく。

早速モチョ達は目を通していくが、読み進めていくうちに、予想通り驚いた表情に変わっていく。

各々がこの情報について考え込んでる中、最初に口を開いたのは、このジョブに並々ならぬ情熱を燃やすプロスだった。


「ほぇ〜。【見習い記者】って補正や説明文的に情報を広める役割持ってるんですね〜」

「そこ!?いや、それより注目すべきところあるやろ」

「わ、わかってますよ。〈未解放〉の部分ですよね」

「私達【オモイカネ】はジョブ情報も随時買い集めてはいるのですが、詳細に〈未解放〉と書かれたジョブは初めてです」

「情報屋クランでも見たことないのか・・・」

何か情報がないものかと思っていたのだが、向こうも見た事はないらしい。


「ソーイチさん、今回の表示に何かお心当たりはないのですか?」

「そうやな〜」

モチョに尋ねられた俺は改めてアナウンスが鳴り響いた前後を思い返す。すると帰り際にルーカス社長から言われた発言を思い出した。


(【メモ】レベル上限で教えてくれるって話、〈未解放〉と関係絶対あるやつやな。でもこの情報は相談前にウチ以外には流すの無理やな)


いくらジョブ情報はサービスすると宣言したとはいえ、初出の情報は俺だけの判断では教える事は無理だ。そこで俺は軽めのフェイクを入れ話す事で誤魔化すことにした。


「思い浮かばんな〜。でもノア・タイムスの社員なら知ってるかも?近いうちにアポ取って聞いてみるわ」

「ええ〜。せっかくですし、今から行きましょうよ〜」

「こらこら、私達が何のために来たのか忘れたの?」

「あっ。ソーイチさんとモチョさんの護衛です・・・」


また暴走し掛けているプロスを止める黒百合。顔まで漆黒の装備で覆われてるはずなのに、プロスを諌める声だけで呆れまくりの顔をしてるんだろうな〜と予想ができ、正直少し面白い。


「だよね。その護衛役が守る対象の予定を私欲で捻じ曲げるとかありえないでしょ。ちょっとは頭を冷やしなさい」

「そ、そうですね。また暴走してしまい申し訳ございませんでした・・・」

「気にせんといて。それより長話で時間押してる。そろそろ出発しようや」


少しキツめのお説教にまたしても縮こまるプロス。俺は空気を変える為にも出発しようと提案すると、

「ですね。って出発前にソーイチさんに渡すものがあるんだった」

モチョがストップをかけながら大小2つの袋を取り出した。


「なにこれ?」

「大きい袋は装備です。ソーイチさんって未だに初期装備で今回の冒険には少し不安なので、みんなからお下がりを集めてきました!」

「マジで!?ありがとう、すぐに着替えてくるわ!」


俺はウキウキで自分の小屋に戻り、頭装備から順番に身につけていく。全て装着後、鏡で姿を確認するとお下がりの寄せ集めというのもあり、若干のチグハグさが感じられる。

だが、その姿が俺のイメージする駆け出し冒険者にピッタリじゃないかと逆に気に入った。


「どや?貧乏な農家の倅が一念発起して、なんとか寄せ集めの装備集めましたって感じ。初心者冒険者の俺に似合いすぎじゃない?」

「その表現はどうかと思いますが、確かにお似合いですよ」

「ええ、カッコいいです!」

「そうですね」

女性3人からお世辞込みとはいえ褒められ、俺は若干顔を赤く染める。


「照れるからそれくらいで!それより小さい袋は歩きながら聞くし、もう冒険行くで」

「ふふふ。了解です。では門まで転移しましょうか」

照れ隠しで先を急ごうとする俺と、生暖かい目で見る他の3人は共に門へと転移したのだった。


いよいよ初めてにパーティー組んでの冒険ですが、次回は幕間になります。

次回は4月5日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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