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117.ティータイムと休憩系スキル

「感情を持つレベルのAIの作品ですか。たった1冊の文庫本を読むだけで、そこまで思考が飛んじゃうなんて作家さんってそういう習性を持ってるんですか」

「習性って違う種族扱いやめ〜や」

「いやいや、ホントに同じ人間とは思えないですもん」


AI作品についての考察を書き終えた俺は、いつの間にか戻ってきていたモチョ相手に考察内容について簡単に語っていた。

だが話が進む内、興味深そうにワクワクしていた笑顔があんまりな内容に徐々に引き攣っていった。


「こほん。ソーイチさんの人外エピソードはこれくらいにしましょう。それより紅茶と採れたて果実を使ったスイーツ用意したので、ティーパーティーと洒落込みましょう!」

「スイーツ完成したんか!オーバーヒート寸前まで頭使ってクタクタやし、めっちゃ甘味が欲しかったんよ」

「なるほど!じゃあ超特急で準備しますね!」


そう言ってモチョは、テキパキとカップを並べて紅茶を注ぎケーキを2人分お皿に盛った。


「今回ご用意したのは採れたてりんごを使ったアップルパイです!」

「バターとリンゴの甘い香りが堪らん!早速頂くわ」

モチョの説明もそこそこに俺はアップルパイにナイフを入れる。サクッと心地良い音に感動しつつも、一口大に切り取ったパイを口の中に入れる。


「うんまっ!!これガチで美味いな!?」

「お口にあったみたいで嬉しいです」

俺の反応に満足そうにしながらもモチョも自作のアップルパイを食べ始める。


「我ながらいい感じですね。ただ、シナモンは店売りの物を使ったので完全自作って訳じゃないのは少し残念ですけど」

「いやいや、ハーブ類まで自分で用意は難しすぎやろ。ギルドで種も売ってないし」

「そうなんですよね〜。料理ギルド内でシナモンが売ってるってことは、手に入れる方法があるはずなんですよ。でも農業ギルドには種や苗が売ってないんですよね」

悲しそうな声を出すモチョだが、パイを食べる手は止まらない。


「そもそもシナモンってどんな植物なん」

「う〜ん。私も詳しくはないのですが、小さい木の樹皮なんですって」


「へぇ〜。あれって木の皮やったんや」

「びっくりですよね。という訳でソーイチさん、再確認しますけど、苗の販売リストにシナモンってなかったです?」


「う〜ん。リストを端から端まで見たけどなかったなぁ」

俺の返事を聞くとモチョは軽くため息をついた。


「そうですか・・・。じゃあ種や苗木を手に入れるには農業ギルドのランクを上げるか、【農家】の更に上のジョブに転職するしかないっぽいですね」

「それより魔物のドロップとかは?ファンタジー世界やしシナモントレントとかいるかもしれんやん」


「ははは、それ面白いですね。で、周辺の魔物図鑑を読了済みのソーイチさん、居ました?」

「居なかったです・・・」

周辺の魔物は全て把握済みだったのに、関係ありそうな魔物すら心当たりはなく、答える声が小さくなる。


「ご、ごめんなさい。責めてるわけじゃないんです。逆に考えればノア以外の場所にいるかもですよ」

「そ、そうか。それなら【アースの町】解放クエに力入れんとあかんな」

「ええ、頑張りましょう!」

俺の勘違いから少し気まずい空気が流れかけたが、未来への奮起で誤魔化し、なんとか元の空気に戻る。


その後は近況などについて談笑していると、

ースキル【待機】のレベルが4に上がりましたー

ースキル【休憩】のレベルが4に上がりましたー

と、立て続けにレベルアップのアナウンスが流れた。


「お、【待機】と【休憩】のレベル上がったわ」

「おめでとうございます!ちなみにそれぞれ何レベです?」


「両方4やね」

「休憩系スキルって上がりづらいのに、もうレベル4ですか!」


「冒険行ってないからな。ただ同じ休憩系スキルの【瞑想】はまだ2レベなんよ」

「ああ〜。【瞑想】はじっと目を瞑る必要がありますし、なかなか発動しないんですよね」


「暇な時は本読んでるか書き物してるから、目瞑る暇もないわ」

アンバランスな成長に不満ではあるが、プレイスタイル的にも仕方ないのかもしれない。だが不満が顔に出ていたのだろう。モチョはあえて明るい声色で【瞑想】についての情報を話し始めた。


「そういえば【瞑想】ですが他の休憩スキルに比べ、レベルアップまで半分くらいで済むそうですよ」

「マジで!?ちなみに休憩系のスキルレベルって時間と回復量のどっちなん?」


「回復量ですね!なので睡眠ボーナスでスキルレベルが上がってるタイミングで育てるのも一つの手ですね」

「なるほどな。ただレベル1じゃほとんど変わらんやろ?畑仕事とか充電作業とかやる事多いし、【瞑想】の為に目瞑りっぱなしは無理やな」

「う〜ん。確かにボーナス中に目を瞑るだけって、勿体無いですね〜」


【瞑想】の効率的なレベル上げはやはり難しい。何かないかと2人してウンウン悩んでいると、

「話は聞かせてもらったぞ!って美味いな!?」

卓上のアップルパイを掴み取り、ムシャムシャ食べながらユサタクが話に割り込んできた。


「リーダー!手掴みとかお行儀悪いですよ!」

「そうそう。畑仕事の後手づかみはあかんって」

「い、いいじゃないか。それより【瞑想】についてだ!」

「ああ、盗み聞きしてたんか」


「まあな。それより【瞑想】のレベルアップに良さそうな案が出ててな。準備が出来次第、その実験に付き合ってくれないか?」

ユサタクはニヤリとした笑顔で提案してきた。



次回は3月8日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
畑仕事後の手づかみもそうだけど、無断で食べたことにも言及するべきでは? ※親しくてもだめと思います。 ※もちろん盗み聞きも
シナモンと呼べるのはセイロン産のみだそうです それ以外の産地では偽物で日本ではシナモンベトナム産とか売ってますから OKみたいですが国際的にはアウトだそうです カシアと呼ばれているのがセイロン以外の物…
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